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かぼちゃがきえた!
しおりを挟む「それではみなさん、さようなら」
『さようなら~』
せんせいに さようならのあいさつをしたら、いそいできょうしつをでていく、りっくん。
そんなにいそいでどうしたの?
それはね。こんや、りっくんのおうちで ハロウィンパーティーがあるからです。
「おかあさん、ただいま!」
「おかえり、りっくん。ハロウィンのケーキ、かってあるよ」
「ほんと!? みせて、みせて」
れいぞうこに あった、あった。
ケーキやさんのはこを ぱかっとあけると、
なかには オレンジいろのケーキがぎっしり。
ハロウィンにぴったりのパンプキンケーキです。
それなのに ケーキをみたとたん、
りっくんのかおが ぎゅ~っとけわしくなっちゃいました。
「え~、カボチャのケーキぃ~?」
りっくんは ハロウィンのケーキを とってもたのしみにしていたようで、
おもっていたものと ちがうケーキだったのが よっぽど きにいらないみたい。
「いやだった?カボチャのケーキは、まだたべたことないでしょ。おいしいよ?」
「え~、おいしくないよぉ~」
カボチャって、あれでしょ?
かたいかわのくせして、ひがとおると ねとってしちゃう、あれでしょ?
にものにすると、しょっぱいんだか あまいんだか よくわかんなくなっちゃう、あれでしょ?
「カボチャってね。おいしくて、えいようもあって、すごいんだから」
「ふぅ~ん」
おかあさんが カボチャのいいところをつたえても、りっくんはきのないへんじ。
「ぼくは ぜったいたべないからね」
あーあ。せっかくのパンプキンケーキ、たべないせんげんです。
テーブルにかざられた カボチャのランプがみてるのに。
ふるふる、ふるえるカボチャのランプ。
あかりがゆれて、まるでないているみたい。
さて、パーティーのじゅんびはばんたん。
おかあさんは、おともだちをくるまでむかえにいきます。
ちょっとのあいだ、りっくんはおるすばん。
「いい?だれかきても、ぜったいドアをあけちゃだめよ」
「わかってるよ、いってらっしゃい」
おかあさんをみおくって おへやにもどったら、
あれ? なんだか おへやがおかしくないかい?
「あれ?カボチャがない!」
ここにもない!あっちにもない!
ぼくのうちから、カボチャがきえちゃった!
りっくんは ふしぎでしかたありません。
ハロウィンのかざりに、カボチャだけがいないのです。
べつにカボチャがなくたって、ハロウィンはできる。できるけど。
でも、やっぱりカボチャがないと。
「ぼくがすきなハロウィンじゃない」
すると、りっくんのめのまえをオレンジいろが ささっ、とよこぎりました。
「あ、カボチャ!」
カボチャあたまのかぶりものをしたこが、たたたっ。
ちょっとだけ あのカボチャのランプに にてる。
あのこにきいたら、なにかわかるかも。
りっくんはいてもたってもいられず、カボチャあたまのこをおいかけました。
「まって!」
どんどんさきへいっちゃう あのこをおいかけて、
げんかんのドアまでいっちょくせん。
『ぜったいドアをあけちゃだめよ』
おかあさんとのやくそく、まもれませんでした。
ガチャッ
ドアをあけると、そこにひろがっていたのはいちめんオレンジいろ。
カボチャのおうちに、カボチャのみち。そらだって、カボチャいろ。
りっくんのおうちのそとが、まちのぜんぶがカボチャで できた『カボチャのまち』になっていたのです。
「ウォン!」
「わ、きみもカボチャなの!?」
いつのまにかりっくんのそばにいた、カボチャのワンちゃん。
しっぽをパタパタふって、りっくんのまわりをぐ~るぐる。
「ウォン、ウォン!」
「ついてきて、ってこと?」
カボチャけんのあんないで、りっくんは カボチャのまちをあるいていきます。
そうしてたどりついた、ひときわおおきな カボチャのたてもの。
そのなも、カボチャのしゅうかいじょう。
なんだかみたことのあるカボチャあたまのひとたちが、ぞろぞろとなかへはいっていきます。
「あ、あのこだ!」
そんなカボチャあたまのれつのうしろに、おうちをとびだしたあのこをみつけました。
カボチャあたまのおじいさんといっしょです。
「やっと、みつけた!」
りっくんは あのこのそばまでかけよります。
「きみはぼくのおうちにいたこでしょう?ぼくといっしょに おうちへかえろう」
そういって あのこのてをひっぱるけれど、
あのこはしたをむいて、いしみたいにうごかない。
「ここではなすのもなんじゃ、しゅうかいじょうへおはいりよ」
カボチャのおじいさんのあんないで、しゅうかいじょうのなかへ。
すると そこには、カボチャあたまのひとたちがい~っぱい。
どうやら ハロウィンのカボチャたちが、みんなここにあつまっているようです。
「ようこそ、カボチャのまちへ」
「さあ、すわって すわって」
「おちゃを どうぞ。おかしもあるよ」
「ありがとう」
りっくんは せきにつくなり、カボチャたちから つぎつぎにおもてなしをうけました。
みんなこころやさしい、いいカボチャたちです。
りっくんは、どうしても きになってききました。
「なんでみんな ハロウィンのひにいなくなっちゃったの?」
みんな いっせいにシーン。
ゴホン、とせきばらいをした カボチャじいさんがこたえてくれるみたい。
「それは」
「それは?」
ほっぺをプクッとふくらませて、カボチャじいさんはいいました。
「みんな わしらのこと、だいじにしてくれないんだもん!」
りっくんは おもわず「ええー!?」と、
いすからひっくりかえってしまいました。
だいじにしてないって、そんな。
「そんなことないとおもうよ」
「そんなことないもんか!わしらはニンゲンのことをしってるんじゃぞ」
『そうだ そうだ!』
まわりにいた カボチャたちも、みんな いっせいにしゃべりだしました。
「わしらのこと、ほんとうはおいしくないとおもっているくせに!」
「ぼくらのこと、ハロウィンのかざりにしかおもってないくせに!」
「うわ~ん!」
「びえ~ん!」
「ウォ~ン!」
カボチャじいさんも、カボチャたちも、カボチャけんだって。
みんながみんな かなしくて いっせいになきだしてしまいました。
りっくんもほんとうは いっしょにないてしまいたい。
でも、みんなでおうちにかえらなきゃ。
それにりっくんはおもいます。
「みんな じぶんのよさをわかってないんだ」
カボチャのよさをつたえてあげたら、もしかしたら。
りっくんは いきをすいこみ、おおきなこえでいいました。
「みんな きいて!かぼちゃってね。ほんとはすごいんだ!」
みんな いっせいにザワザワ。
りっくんにちゅうもくして、きょうみしんしんです。
「カボチャってね。おいしくて、えいようもあって、すごいんだ!」
みんな いっせいにソワソワ。
りっくんにほめられて、てれているみたい。
「カボチャのないハロウィンなんて、ハロウィンじゃない。みんなはハロウィンのしゅやくなんだよ」
ほとんどおかあさんにおしえてもらったことばかりだったけれど、
『ハロウィンのしゅやく』だけは、りっくんのほんとうのきもち。
それをきいた カボチャたちは、おおよろこび。
「なんだか げんきがでてきた」
「なんだか ゆうきがわいてきた」
「ウォン、ウォン!」
そして、カボチャたちは だれからともなくいいました。
『ハロウィンにかえろう』
「ぼくらがいなきゃ、はじまらないでしょう」
「なんてったって、しゅやくだからね」
「ウォン、ウォ~ン」
ぼくも おうちにかえらなきゃ。
みんなで ハロウィンにかえろう。
すっかり くらくなってしまったカボチャのまちを みんなですすんで、
りっくんは おうちのドアをあけました。
ガチャッ
「りっくん、りっくん!」
「んえっ?」
めをあけると、そこには おかあさん。
おともだちも しんぱいそうにしています。
「あれ?カボチャは?ハロウィンは?」
「なにいってるの、りっくん」
「ハロウィンはこれからだよ」
りっくんはいつのまにか、おへやのソファでねてしまっていたみたい。
ハロウィンのかざりにはちゃんとカボチャたちがいます。
そして、テーブルにならぶオレンジいろのケーキも。
ハロウィンにぴったりのパンプキンケーキです。
りっくんがあんなにいやがっていたから、おかあさんはいいます。
「むりして たべなくてもいいんだよ?」
「ううん、たべるよ!」
だって、だいじにしてあげないと。
また カボチャたちがいなくなっちゃうもんね。
きょうは たのしい、ハロウィンパーティー。
おへやいっぱいに かざられたカボチャたちといっしょに、
りっくんのおうちは おそくまで たのしいこえにつつまれました。
そんなようすを あのこによくにた、カボチャのランプがみつめています。
ふるふる、ふるえるカボチャのランプ。
あかりがゆれて、まるでわらっているみたい。
こうして りっくんのおうちでは、
ハロウィンにパンプキンケーキをたべるのがおやくそくになったそうです。
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