甘い箱庭

マリモ

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エピローグ

出会い

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悪魔の子…そう言われる。この目と髪のせいで、
弟の居る母屋では母親が弟を慈しむように微笑み抱き抱えている。

弟も嬉しそうに母親に手を伸ばし笑っている。

何度も…何度もその笑みを、暖かみを求めただろう。確かに僕を母上は優しく接して下さるし配慮もしてくださる。

でもそれだけ、この容姿のせいで僕を皆遠ざける。優しい言葉をかけてくれていてもきっと"それ"は本心ではないのだろう。

でも…きっと僕が「それ」を手に入れることは無い。与えられるのは恐怖に怯える視線と「なんであなたは普通に産まれなかったの…」とあたかも自分が傷付くような声

僕だって普通に産まれて普通の家族として暮らしたかった。そんな事言ったって余計生意気に見えるだけだ。


「ごめんなさい…」ただ顔を俯かせそう呟くしか出来る事はない。


目が覚めるとベッドの上で手を上に伸ばし光に透かす。

「またこの夢か……僕に流れる血は皆と一緒だと思うのにな」

ベットから起き上がり部屋のテーブルに置いてあるスープ、パン、サラダを口にして窓の外を眺め1人ボーっとする。
「今日は良い天気だなぁ」そんな事をポツリと呟く。

ふと誰かが通った。綺麗な小麦のような金髪に青空を思わせる瞳が僕を捕らえる。
目を見開きずっと僕を見つめている人はずっと動かない。まるで美しい人形のように。

ハッとして物陰に隠れる。

見られてはいけないのだ…知らない人に見つかった事がバレたらまた母上の癇癪が始まる。


そんな事を思いながら急いで物陰に隠れる暫くしたからチラリと窓を伺うとその人は居なくなっていた。

ホッとしてベットに飛び込んで本を読んでいると扉が凄い音をさせドタンッ!と開いた。

音がする方を見ると母上と父上がニッコリと微笑みながら近付いてくる。
「あなたを引き取ってくださるそうよ。処で…本当に良いんですか?」そう後ろの男性に訪ねる。

先程目があった人だ。その人の後ろに何人かの人が僕を見つめる。
 

男の機嫌を伺う様にして
「この子です。処で本当に…」

「そう、この子だ。その事なら安心しろ。」
何やら後ろの人達に指示をする。一人の深い森のような髪色のした男性が近付いてくる。

「すいません大人しくしてくださいね。」そう言って僕を抱き上げる。

突然の事に身体が硬直する。
「ではご苦労。」そう言いクルリと背を返すと僕を抱き上げた人達も着いて行く。

屋敷を後ろ目に小さくなって行く屋敷をボーっと眺める。


馬車らしき物に乗せられると僕を抱き上げていた人は扉を閉め何処か行ってしまった。
目の前に優雅に座って居るのは先程の男の人だ。

「私の名前はアーリヤ・フリードヒ・ウェルヘイムだ。アーリヤと呼べ。名をなんと言う?」

「名前…フェイリン・リンドゥーネス」
「フェイリンか。良い名だ。」そう言って微笑む

「フィリー…なんで僕を連れてったこ?僕の……見た目…」きっとこの人も僕を殴り蔑むのだろう。でなければこんな見た目の者を連れていきたい等思うはずが無いのだから。

「いや…その見た目が気に入ったからだ。」そう言ったきりアーリヤは窓の外を眺めている。

僕の容姿を気に入った?なんで?そんな事をずっと考えていた。

暫くすると馬車が大きな城の壕の中に入っていく、馬車の扉が開き先程抱上げて僕を運んだ人が出てきて僕に近付く。

「少し、少しだけ我慢してくださいよ~」そう言って僕に大きな白い布を被せる。暴れたところでどうにもならない。
逃げた処で僕に居場所等存在しないのだから
そう思い大人しくする。
周りはガヤガヤと煩く何処かに運ばれていく毎にその煩さは減って行く。

扉を通り何処か広い部屋で下ろされ布を取られる。
眩い光に目を閉じる。
部屋の中には大きなベット、机………???大きな鳥籠のようなものがある。

「ここに入ってくださいね~大人しくするんすよ。」そう言って男は僕にハンカチを取り出し何か薬草を嗅がした。
少し身体の力が抜ける。と

鳥籠に押し込められ鍵を閉めて何処か行ってしまった。
唖然とし扉に近付く、鳥籠の扉を押してみるが開かない。

なんだか眠くなってきた。体が重い。

気がつくと眠りに堕ちていた。
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