私の上司は竜人で私はその番でした。

銀牙狼

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2話 目が覚めたら

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 目が覚めたら私の目の前には竜、猫、狼、犬など様々な生き物の顔があった。
 「あぁ、私は夢を見てるのね。」
 そう言って目を閉じる。
 「ね、寝ないで。夢じゃないから起きて。」 
 「ん?あぁなんだミーちゃんか。私ね、変な夢を見たみたいなの。夢のなかで私は大人になっててね。就職したんだけどね。職場の人たちが猫とか竜みたいな顔しててね。」
 「しっかりして。確かに私はミーちゃんでもあるけど夏希が見たのは夢じゃなくて現実なの。」
 「ミーちゃん……ん?ミーちゃんがしゃべってる?えっ!?」
 そこで私ははっきり目が覚めた。しかし、
 「あの、初日から申し訳ないんですけど病院にいった方が良さそうなんで帰っていいですか?」
 「倒れる前にちゃんと支えたけどどこか痛むの?」
 「いえ、皆さんの頭が動物の顔に見えます。どうやら幻覚が見えてるようです。」
 「あ、それなら安心してね。逆に人間の顔に見えてたらそれこそ問題だから。ここにいるのは皆、獣人か竜人だから。」
 「そうなんですか……じゃなくて。」
 ちょっと待って。今、とんでもない爆弾発言が聞こえたような。
 「今、何て言ったの?じゃ、じゃあ、あれは夢ではないんですか?私、部長が竜人になったように見えたんですけど。」
 誰かがため息をついた。その誰かが、 
 「だから入社直後に本来の姿を見せるのは避けたかったんだ。」
 と言った。言ったのは部長……竜人の。
 「……む、無理。」
 「夏希は昔から爬虫類が苦手だったものねぇ。……部長、ひとまず人の姿に戻ってください。」
 部長はさっきまでの姿が幻覚だったのかと思うくらい一瞬で人の姿になった。
 「はぁ、助かった。死を覚悟しましたよ。全国各地でたまにある行方不明者ってもしかしたらここに連れてこられて喰べられてるんじゃないかと思いました。」
 「「「……。」」」
 皆黙ってしまった。まあ、そうなるよね。人喰いの化け物だと思ったって言ってるようなものだし。 
 「で、夏希はここを辞めたいかい?」
 唐突な問いに、
 「出来れば辞めたいのは山々ですが……辞めれない事情がありまして。」
 と、この不景気で父が仕事を失ったので代わりに私が家族を養っていかなければいけないこと。そのうえ、すでに何十社も不採用でここ以外に就職先が見つかりそうにないことを伝えた。
 「ま、まあ運が良ければ他の支社に転勤させてもらえるかもしれないんだし。それまでの辛抱ですから。」
 部屋を満たす気まずい空気。皆、何か言うのを押し付けあってるようだ。結局押し付けられたのは猫獣人の相原先輩。
 「言いにくいんだけどたぶん夏希の転勤はないと思うの。私たちの本来の姿を見ちゃったから。」
 「そんな。」
 それを聞いて泣き出しそうな私を見て慌てた相原先輩は、
 「まあ、また私と一緒にいられるんだから喜んでよ。ね?」
 と言う。あれ?
 「あの、またも何も私が相原先輩に会ったのはじめてなんですけど。」
 私の知り合いに相原なんて人はいないし、そもそも猫獣人の知り合いがいない。
 「ね、ねぇ本当にわからないの?」
 泣きそうな顔で言われても、
 「すみません。本当にわからないです。」
 「これを見ても。」
 そう言って相原先輩はなんと普通の猫の姿になった。そして、
 「これでもわからない?」
 と聞いてきた。
 「小さい頃拾った猫に似てますね。」
 「似てなかったらおかしいわよ。あなたが拾ってくれた猫は私なんだから。」
 えっ?ええっ!?
 「み、ミーちゃん!?」
 
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