小さなパン屋の恋物語

第二部 一章◆心の準備◆

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早瀬設計事務所に勤める若き副社長、早瀬雄大は、職場近くに店を構える“小さなパン屋minami”の南部琴葉を愛してやまない。
琴葉に会いたくて終業後時間の許す限りminamiへあしげく通い、心を通わせてきた。

この度、琴葉と雄大は晴れて恋人になり、その距離はますます近くなっていた。

終業後にminamiへ寄ってパンを買って帰るという生活から、琴葉と一緒に夕食を共にしてから自宅へ帰るというスタイルに変化したのだ。

一方、琴葉は一軒家に一人で住んでいる。
両親は数年前に不慮の事故で亡くなっていて、minamiを経営していた父の後を継いで今のminamiを一人で切り盛りしている。
朝から晩まで働きづめだ。

minamiと琴葉の自宅は繋がっていて、仕事が終わってから自宅へ帰り、二人分の夕食を作る。
今までは売れ残ったパンを食べたりといった不規則な生活だったが、”二人で食事をする”と決めてから、雄大が帰ってくるまでの間にできる限りの家事をこなすようになった。