41 / 114
三章◆彼女さん◆
41
しおりを挟む
雄大の帰りを待ち遠しく思っていた琴葉だったが、とんだ勘違いのような気がして仕方がなくなってしまった。
琴葉にとって雄大はとうてい縁がない雲の上のような人であり、そんな人が自分を好きになるなんてありえない。
「彼女さん、綺麗だったなぁ。」
ポツリと呟いた自分の言葉に、また落ち込む。
シワのない綺麗なスーツを着こなしていた杏奈の姿を思い出し、はぁとため息が出てしまう。
「そうだよ。あんな綺麗でスタイルもよくてキャリアウーマンな感じで。早瀬さんにはそういう人が似合うよ。」
ひとりごちては、先日までの楽しい日々を思い出して目頭が熱くなった。
琴葉には出張と言いつつ、本当は彼女と旅行をしていた雄大に幻滅をしたいのに、なぜだかそれができない。
彼女がいるくせに琴葉にも好きだと言う。
遊ばれているのかと、そんな風に思いたくないのに考えれば考えるほど虚しくなってきて、琴葉は振り払うように頭をブンブンと振った。
closeの看板をかける頃、いつもなら雄大がやってくる。
でも今日は来なかった。
海外から帰国しているハズなのに、来なかった。
琴葉は店の入口の鍵を閉めてから明日の仕込みに取りかかる。
期待してしまった自分に腹が立ち、何も考えたくなくていつも以上に無心で作業に没頭した。
琴葉にとって雄大はとうてい縁がない雲の上のような人であり、そんな人が自分を好きになるなんてありえない。
「彼女さん、綺麗だったなぁ。」
ポツリと呟いた自分の言葉に、また落ち込む。
シワのない綺麗なスーツを着こなしていた杏奈の姿を思い出し、はぁとため息が出てしまう。
「そうだよ。あんな綺麗でスタイルもよくてキャリアウーマンな感じで。早瀬さんにはそういう人が似合うよ。」
ひとりごちては、先日までの楽しい日々を思い出して目頭が熱くなった。
琴葉には出張と言いつつ、本当は彼女と旅行をしていた雄大に幻滅をしたいのに、なぜだかそれができない。
彼女がいるくせに琴葉にも好きだと言う。
遊ばれているのかと、そんな風に思いたくないのに考えれば考えるほど虚しくなってきて、琴葉は振り払うように頭をブンブンと振った。
closeの看板をかける頃、いつもなら雄大がやってくる。
でも今日は来なかった。
海外から帰国しているハズなのに、来なかった。
琴葉は店の入口の鍵を閉めてから明日の仕込みに取りかかる。
期待してしまった自分に腹が立ち、何も考えたくなくていつも以上に無心で作業に没頭した。
0
お気に入りに追加
344
あなたにおすすめの小説
年下男子に追いかけられて極甘求婚されています
あさの紅茶
恋愛
◆結婚破棄され憂さ晴らしのために京都一人旅へ出かけた大野なぎさ(25)
「どいつもこいつもイチャイチャしやがって!ムカつくわー!お前ら全員幸せになりやがれ!」
◆年下幼なじみで今は京都の大学にいる富田潤(20)
「京都案内しようか?今どこ?」
再会した幼なじみである潤は実は子どもの頃からなぎさのことが好きで、このチャンスを逃すまいと猛アプローチをかける。
「俺はもう子供じゃない。俺についてきて、なぎ」
「そんなこと言って、後悔しても知らないよ?」
その出会い、運命につき。
あさの紅茶
恋愛
背が高いことがコンプレックスの平野つばさが働く薬局に、つばさよりも背の高い胡桃洋平がやってきた。かっこよかったなと思っていたところ、雨の日にまさかの再会。そしてご飯を食べに行くことに。知れば知るほど彼を好きになってしまうつばさ。そんなある日、洋平と背の低い可愛らしい女性が歩いているところを偶然目撃。しかもその女性の名字も“胡桃”だった。つばさの恋はまさか不倫?!悩むつばさに洋平から次のお誘いが……。
十年目の結婚記念日
あさの紅茶
ライト文芸
結婚して十年目。
特別なことはなにもしない。
だけどふと思い立った妻は手紙をしたためることに……。
妻と夫の愛する気持ち。
短編です。
**********
このお話は他のサイトにも掲載しています
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
君と奏でるトロイメライ
あさの紅茶
ライト文芸
山名春花 ヤマナハルカ(25)
×
桐谷静 キリタニセイ(25)
ピアニストを目指していた高校時代
お互いの恋心を隠したまま別々の進路へ
それは別れを意味するものだと思っていたのに
七年後の再会は全然キラキラしたものではなく何だかぎこちない……
だけどそれは一筋の光にも見えた
「あのときの続きを言わせて」
「うん?」
**********
このお話は他のサイトにも掲載しています
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
訳あり冷徹社長はただの優男でした
あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた
いや、待て
育児放棄にも程があるでしょう
音信不通の姉
泣き出す子供
父親は誰だよ
怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳)
これはもう、人生詰んだと思った
**********
この作品は他のサイトにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる