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三章◆彼女さん◆
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早瀬設計事務所は海外のメーカーとの取引もしている。
今回の出張は、ヨーロッパの歴史的遺産の修復に携わる関係者との打合せと現地の確認だ。
副社長でありながら建築士として現役で働く雄大を筆頭に、プロジェクトチームが作られた。
その面々との海外出張になる。
杏奈もそのメンバーの一人だった。
空港に降り立ち異国の風を感じると、何とはなしに緊張感に包まれる。
当然ながら飛び交うのは外国語だ。
「ヨーロッパなんて久しぶり。ねえ、観光する時間もあるわよね?」
先を歩く雄大に小走りで追い付くと、杏奈が楽しそうに話しかける。
「雄大はどこ行きたい?」
「あのなぁ、俺たちはビジネスで来てるんだ。少しは緊張感を持てよ。」
「いいじゃない、ケチ。」
雄大に冷たくあしらわれながらも気にする様子はなく、杏奈は雄大の隣に並ぶと慣れた手つきで腕を組んだ。
「写真撮ろー。」
「やめろ。」
スマホを目の前に出され、雄大は組まれた腕を忌々しげに振り払った。
今回の出張は、ヨーロッパの歴史的遺産の修復に携わる関係者との打合せと現地の確認だ。
副社長でありながら建築士として現役で働く雄大を筆頭に、プロジェクトチームが作られた。
その面々との海外出張になる。
杏奈もそのメンバーの一人だった。
空港に降り立ち異国の風を感じると、何とはなしに緊張感に包まれる。
当然ながら飛び交うのは外国語だ。
「ヨーロッパなんて久しぶり。ねえ、観光する時間もあるわよね?」
先を歩く雄大に小走りで追い付くと、杏奈が楽しそうに話しかける。
「雄大はどこ行きたい?」
「あのなぁ、俺たちはビジネスで来てるんだ。少しは緊張感を持てよ。」
「いいじゃない、ケチ。」
雄大に冷たくあしらわれながらも気にする様子はなく、杏奈は雄大の隣に並ぶと慣れた手つきで腕を組んだ。
「写真撮ろー。」
「やめろ。」
スマホを目の前に出され、雄大は組まれた腕を忌々しげに振り払った。
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