4 / 50
一章◆お見合い
4
しおりを挟む
個室に案内されると、先方はすでに座って待っていた。
祖母同士が共に挨拶をし、自分たちの番が来る。
こういう場合、どちらから先に挨拶すべきなのかと考えていたが、相手側が一向に口を開かないので、居たたまれなくなって杏奈が口を開く。
「えっと…。三浦杏奈と申します。本日はよろしくお願い致します。」
ペコリと頭を下げつつ彼を盗み見ると、相手側の祖母が彼を叩いているのが見えた。
「しっかりせんかい。」
小突かれて、彼は頭を掻きながら柔らかい笑みを落とした。
「すみません。横山広人と申します。どうぞよろしくお願い致します。」
丁寧な挨拶の後、お互い目が合う。
と、ふいと視線を外されて杏奈はムッとした。
(何だこの態度は!)
じっと広人を見ると、ほのかに頬がピンクに染まっているような気がする。
(ん?もしかして照れてるの?)
そう思うと、何だか自分まで影響されて気恥ずかしくなってきて、杏奈はごまかすためにコホンと咳払いをした。
「えっと、広人さんとお呼びしても?」
「ええ、もちろんです。僕も杏奈さんとお呼びしてもいいでしょうか?」
お見合い前に祖母から写真と簡単なプロフィールを見せてもらっていた。
横山広人35歳。杏奈より7歳歳上だ。
目が悪いのか、分厚いレンズの黒淵メガネをかけていて、一歩間違えると牛乳瓶の底のようなメガネだ。
(…ダサいわね。)
けれどそれを除けば、シワのない上品なスーツを綺麗に着こなし、柔らかい物腰は好印象だ。
祖母同士が共に挨拶をし、自分たちの番が来る。
こういう場合、どちらから先に挨拶すべきなのかと考えていたが、相手側が一向に口を開かないので、居たたまれなくなって杏奈が口を開く。
「えっと…。三浦杏奈と申します。本日はよろしくお願い致します。」
ペコリと頭を下げつつ彼を盗み見ると、相手側の祖母が彼を叩いているのが見えた。
「しっかりせんかい。」
小突かれて、彼は頭を掻きながら柔らかい笑みを落とした。
「すみません。横山広人と申します。どうぞよろしくお願い致します。」
丁寧な挨拶の後、お互い目が合う。
と、ふいと視線を外されて杏奈はムッとした。
(何だこの態度は!)
じっと広人を見ると、ほのかに頬がピンクに染まっているような気がする。
(ん?もしかして照れてるの?)
そう思うと、何だか自分まで影響されて気恥ずかしくなってきて、杏奈はごまかすためにコホンと咳払いをした。
「えっと、広人さんとお呼びしても?」
「ええ、もちろんです。僕も杏奈さんとお呼びしてもいいでしょうか?」
お見合い前に祖母から写真と簡単なプロフィールを見せてもらっていた。
横山広人35歳。杏奈より7歳歳上だ。
目が悪いのか、分厚いレンズの黒淵メガネをかけていて、一歩間違えると牛乳瓶の底のようなメガネだ。
(…ダサいわね。)
けれどそれを除けば、シワのない上品なスーツを綺麗に着こなし、柔らかい物腰は好印象だ。
0
お気に入りに追加
65
あなたにおすすめの小説

白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。



最悪なお見合いと、執念の再会
当麻月菜
恋愛
伯爵令嬢のリシャーナ・エデュスは学生時代に、隣国の第七王子ガルドシア・フェ・エデュアーレから告白された。
しかし彼は留学期間限定の火遊び相手を求めていただけ。つまり、真剣に悩んだあの頃の自分は黒歴史。抹消したい過去だった。
それから一年後。リシャーナはお見合いをすることになった。
相手はエルディック・アラド。侯爵家の嫡男であり、かつてリシャーナに告白をしたクズ王子のお目付け役で、黒歴史を知るただ一人の人。
最低最悪なお見合い。でも、もう片方は執念の再会ーーの始まり始まり。

婚約者の不倫相手は妹で?
岡暁舟
恋愛
公爵令嬢マリーの婚約者は第一王子のエルヴィンであった。しかし、エルヴィンが本当に愛していたのはマリーの妹であるアンナで…。一方、マリーは幼馴染のアランと親しくなり…。



ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる