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早く俺のものになれよ

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ベッドに倒れこみそうになって慌てて反対の手を着くと、坪内さんの顔が目の前にあった。
目と目が合って、これまでにないほど近くで見つめられ、一気に鼓動が早くなる。

「は、早く起きてくださいよ。遅刻しますよ。」

私はパッと坪内さんから離れると、冷たく言い放った。

「早く着替えて来てくださいね。朝御飯一緒に食べましょうよ。」

そう言って、ささっと部屋を出た。

扉を閉めて深呼吸する。
私は胸の辺りを両手で押さえる。

キス、されるかと思った。

ドキドキが全然治まらない。
ほんの少し、流されそうになった自分がいた。

あーもう、坪内さんのバカ。
朝から何をしてくれるんだ。


私が用意した朝食を前に、坪内さんは目を丸くした。

「秋山が作ったの?」

「そうですよ、早く食べて会社行きましょうよ。」

坪内さんはいただきますと言ってから、黙々と食べ始めた。
美味しいとか言ってくれないのかな?
もしかして口に合わなかった?
あまりにも静かなので、もしかして低血圧症かとまで疑ってしまう。

「なんか言ってくださいよ。」

「え?ああ、悪い。感動して言葉が出てこない。」

「感動する要素がどこにあるんですか。変な人ですね。」

可笑しくて私は笑ったのに、坪内さんはすっごく優しい目で私を見るから、今度はこっちが黙ってしまう。
何だか恥ずかしくなってしまうよ。

あっ!
時間!
私たちは片付けもそこそこに、急いで家を飛び出した。
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