38 / 117
この手を離したくないけど?
038
しおりを挟む
「プールはどこにあるの?」
「奥にあるよ。会員のみが使えるプールだからゆったりと過ごせると思う。屋内と屋外に1つずつ。まあ、レジャー施設みたいな大きなスライダーはないけど、小さいスライダーはあった気がする」
「ほんと?楽しみ!」
ランチを存分に堪能しながら大きなガラス窓から外を見る。青空に白い雲がよく映える、夏らしい良い天気だ。気温もなかなかに暑い、まさにプール日和。
更衣室で着替えてから出るとすでに潤くんが待っていてくれた。
「お待たせ。見て見て!新しく水着買ったんだよ~」
今日のために買った新しい水着。パープル花柄にホワイトレースがあしらわれていて、甘くなりすぎない大人っぽさと上品さも兼ね備えている。一目惚れして買ったから早く着たかったんだ。ラッシュガードの前ジッパーを開けてテンション高くお披露目すると、潤くんはほのかに頬を染め横を向いた。なんだよ、その乙女な反応は。私はニヤリと口角を上げる。
「どう?可愛い?ねえ?ねえ?」
潤くんのまわりをちょろちょろと回って目を合わそうとすると、大きなため息と共に肩をがしっとつかまれ動きを止められる。
「……なぎ、俺を誘ってるの?」
「潤くんったら私の体で欲情しちゃった?」
「当たり前だろ、今だって俺はなぎのことを抱きたい」
「若いからガツガツしてるねー」
「やっぱりプライベートビーチとか、プール貸し切りにすればよかった」
「は?」
「なぎの水着姿が可愛すぎて誰にも見せたくなくなる」
「プールに入ったら見えないから大丈夫よ。さあ、遊ぼう遊ぼう!」
笑ってごまかしたけど本当はドキドキしている。
茶化したのは私だけど、潤くんの気持ちが痛いほど伝わってきて胸が苦しくなった。こんな気持ち、まるで私も潤くんのことが好きみたいじゃないか。そうやってアプローチしてもらえることに悪い気はしないし、むしろ喜びを感じていたのかもしれない。
だけど私は自分の気持ちに蓋をした。
“好き”とか“嫌い”とか、そんな感情が芽生えてしまったら恋愛バカの私は後先考えずにすぐに傾倒してしまう。
考えなしのバカな恋愛はもうしない。
立派な大人なんだから、これからは上手く人生を乗り切っていくんだ。
「奥にあるよ。会員のみが使えるプールだからゆったりと過ごせると思う。屋内と屋外に1つずつ。まあ、レジャー施設みたいな大きなスライダーはないけど、小さいスライダーはあった気がする」
「ほんと?楽しみ!」
ランチを存分に堪能しながら大きなガラス窓から外を見る。青空に白い雲がよく映える、夏らしい良い天気だ。気温もなかなかに暑い、まさにプール日和。
更衣室で着替えてから出るとすでに潤くんが待っていてくれた。
「お待たせ。見て見て!新しく水着買ったんだよ~」
今日のために買った新しい水着。パープル花柄にホワイトレースがあしらわれていて、甘くなりすぎない大人っぽさと上品さも兼ね備えている。一目惚れして買ったから早く着たかったんだ。ラッシュガードの前ジッパーを開けてテンション高くお披露目すると、潤くんはほのかに頬を染め横を向いた。なんだよ、その乙女な反応は。私はニヤリと口角を上げる。
「どう?可愛い?ねえ?ねえ?」
潤くんのまわりをちょろちょろと回って目を合わそうとすると、大きなため息と共に肩をがしっとつかまれ動きを止められる。
「……なぎ、俺を誘ってるの?」
「潤くんったら私の体で欲情しちゃった?」
「当たり前だろ、今だって俺はなぎのことを抱きたい」
「若いからガツガツしてるねー」
「やっぱりプライベートビーチとか、プール貸し切りにすればよかった」
「は?」
「なぎの水着姿が可愛すぎて誰にも見せたくなくなる」
「プールに入ったら見えないから大丈夫よ。さあ、遊ぼう遊ぼう!」
笑ってごまかしたけど本当はドキドキしている。
茶化したのは私だけど、潤くんの気持ちが痛いほど伝わってきて胸が苦しくなった。こんな気持ち、まるで私も潤くんのことが好きみたいじゃないか。そうやってアプローチしてもらえることに悪い気はしないし、むしろ喜びを感じていたのかもしれない。
だけど私は自分の気持ちに蓋をした。
“好き”とか“嫌い”とか、そんな感情が芽生えてしまったら恋愛バカの私は後先考えずにすぐに傾倒してしまう。
考えなしのバカな恋愛はもうしない。
立派な大人なんだから、これからは上手く人生を乗り切っていくんだ。
10
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説

手を伸ばした先にいるのは誰ですか~愛しくて切なくて…憎らしいほど愛してる~【完結】
まぁ
恋愛
ワイン、ホテルの企画業務など大人の仕事、そして大人に切り離せない恋愛と…
「Ninagawa Queen's Hotel」
若きホテル王 蜷川朱鷺
妹 蜷川美鳥
人気美容家 佐井友理奈
「オークワイナリー」
国内ワイナリー最大手創業者一族 柏木龍之介
血縁関係のない兄妹と、その周辺の何角関係…?
華やかな人々が繰り広げる、フィクションです。


それは、ホントに不可抗力で。
樹沙都
恋愛
これ以上他人に振り回されるのはまっぴらごめんと一大決意。人生における全ての無駄を排除し、おひとりさまを謳歌する歩夢の前に、ひとりの男が立ちはだかった。
「まさか、夫の顔……を、忘れたとは言わないだろうな? 奥さん」
その婚姻は、天の啓示か、はたまた……ついうっかり、か。
恋に仕事に人間関係にと翻弄されるお人好しオンナ関口歩夢と腹黒大魔王小林尊の攻防戦。
まさにいま、開始のゴングが鳴った。
まあね、所詮、人生は不可抗力でできている。わけよ。とほほっ。

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載中しております。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。


俺様系和服社長の家庭教師になりました。
蝶野ともえ
恋愛
一葉 翠(いつは すい)は、とある高級ブランドの店員。
ある日、常連である和服のイケメン社長に接客を指名されてしまう。
冷泉 色 (れいぜん しき) 高級和食店や呉服屋を国内に展開する大手企業の社長。普段は人当たりが良いが、オフや自分の会社に戻ると一気に俺様になる。
「君に一目惚れした。バックではなく、おまえ自身と取引をさせろ。」
それから気づくと色の家庭教師になることに!?
期間限定の生徒と先生の関係から、お互いに気持ちが変わっていって、、、
俺様社長に翻弄される日々がスタートした。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる