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プロローグ
002
しおりを挟む「…………はあ?」
思わず腹の底から不快な声が出た。
あまりの突然のことに理解が追いつかない。
別れよう?
好きな人ができた?
悲しみなんかよりも怒りとか悔しさの方がむくむくとわき上がり、その感情の大きさに涙すら出ない。
結婚するって伝えたとき、両親も兄も義姉も喜んでくれたし、今日だって両家顔合わせのために綺麗な格好で来てくれたというのに。それなのにメッセージ一通でフラれるなんてありえない。
「なぎさ、どうしたの?」
携帯を持って固まっている私を母が心配そうに覗き込み、ようやく我に返る。
深く深呼吸をすると少しだけ気持ちが落ち着いた。
「あ、うん、なんか私フラれたみたい。結婚できないって」
「ええっ?そんなっ!」
携帯に映し出されたままのメッセージを両親に見せると、母はこの世の終わりかのような悲痛な顔をして、父は目を見開いて青ざめた。
私は両親にそんな顔をしてほしかったわけじゃないのに。
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