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3.トラウマ持ちの葛藤 side一真
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場が盛り上がる中、俺は目の前の杏子のことが気になって仕方なくなった。というか、怒りが湧いてくる。年下にバカにされてること、わかってんのか?
さっき泣きそうな顔をしていた杏子は、「わあ、美味しそう」とか一人呟いて、つくねをタレに絡ませ始めた。
ふと、杏子が顔を上げる。俺と目が合うと、「つくね、食べたかったですか?」とコテッと首を傾げる。イラッとした。
「何でヘラヘラしてるの?」
「え?」
「さっきこいつらにバカにされてただろ?」
ヘラヘラ顔だったのが、急に困ったように眉を下げる。そして小さく息を吐いた。
「……いいんですよ。だって本当のことだし。それに私は別に合コンに興味ないから」
「なんで怒らないの? 悔しくないの?」
「え……」
「合コンに興味ないのに何で来たの? 人数合わせ?」
「何でもいいじゃないですか。みんなが楽しかったらそれでいいですもん」
「……それ、君の本心なの?」
気づけば矢継ぎ早に責め立てていた。
杏子の箸からぽろりとつくねが転げ落ちる。杏子は何かを考えるように、そっと箸を置いた。そして、少し強い口調で俺を睨む。
「……なんでそんなこと言うんですか?」
「……なんとなく、君が泣きそうな顔をしていたから」
瞬間、杏子はふいっと顔をそらし唇を噛みしめる。俺たちが話をしているのを見た同級生が、「一真ぁ、杏子ちゃんから揚げ物のにおいする?」と笑う。どっと笑いが起きたけれど、俺と杏子だけは笑っていない。でも杏子はくっと口角を上げて笑おうとした。
なんでだよ、無理して笑う必要がどこにあるんだ?
杏子が笑うより先に、俺の怒りが爆発した。
「は? お前何言ってんの? そういう言葉、人を傷つけるってわかんない?」
「え? いや、そういう意味で言ってんじゃないって。冗談に決まってんだろ」
「そうですよ。杏子さんだっていつも笑ってますよ。ねえ?」
「あ、……うん」
頷いた杏子の目からぽろっと何かがこぼれ落ちる。咄嗟に顔を背けたが、俺は杏子の瞳がゆるりと弧を描いたのを見逃さなかった。
さっき泣きそうな顔をしていた杏子は、「わあ、美味しそう」とか一人呟いて、つくねをタレに絡ませ始めた。
ふと、杏子が顔を上げる。俺と目が合うと、「つくね、食べたかったですか?」とコテッと首を傾げる。イラッとした。
「何でヘラヘラしてるの?」
「え?」
「さっきこいつらにバカにされてただろ?」
ヘラヘラ顔だったのが、急に困ったように眉を下げる。そして小さく息を吐いた。
「……いいんですよ。だって本当のことだし。それに私は別に合コンに興味ないから」
「なんで怒らないの? 悔しくないの?」
「え……」
「合コンに興味ないのに何で来たの? 人数合わせ?」
「何でもいいじゃないですか。みんなが楽しかったらそれでいいですもん」
「……それ、君の本心なの?」
気づけば矢継ぎ早に責め立てていた。
杏子の箸からぽろりとつくねが転げ落ちる。杏子は何かを考えるように、そっと箸を置いた。そして、少し強い口調で俺を睨む。
「……なんでそんなこと言うんですか?」
「……なんとなく、君が泣きそうな顔をしていたから」
瞬間、杏子はふいっと顔をそらし唇を噛みしめる。俺たちが話をしているのを見た同級生が、「一真ぁ、杏子ちゃんから揚げ物のにおいする?」と笑う。どっと笑いが起きたけれど、俺と杏子だけは笑っていない。でも杏子はくっと口角を上げて笑おうとした。
なんでだよ、無理して笑う必要がどこにあるんだ?
杏子が笑うより先に、俺の怒りが爆発した。
「は? お前何言ってんの? そういう言葉、人を傷つけるってわかんない?」
「え? いや、そういう意味で言ってんじゃないって。冗談に決まってんだろ」
「そうですよ。杏子さんだっていつも笑ってますよ。ねえ?」
「あ、……うん」
頷いた杏子の目からぽろっと何かがこぼれ落ちる。咄嗟に顔を背けたが、俺は杏子の瞳がゆるりと弧を描いたのを見逃さなかった。
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