88 / 104
比べないで
88
しおりを挟む
金木犀を出るとすっかり夜も更けていた。酔い冷ましに歩いて帰ると、だいぶ肌寒い。季節が移り変わろうとしている。
私はパーカーの前ジッパーを首元まで上げた。そういえば、日下さんにもジッパーを上げられたことがあったな。
───芽生、胸元のあいた服はよくない。誰に見られるかわからないだろう?心配かけさせないでくれ。
ママに説教された今なら分かる気がする。
その言葉は紛れもない私に向けられた言葉だったんだなって。
香苗さんじゃなくて、芽生を見てくれてた。
「はぁー」
ため息はすぐに夜空に消えていった。
心配しなくても、日下さんにしか見せる気ないよ。だって私は日下さんのことが大好きなんだから。
そうだよ、一目惚れからいつの間にかこんなにも日下さんのことを好きな気持ちが大きくなっていた。好きで好きでたまらなくなった。日下さんの言葉や態度ひとつで私の感情は一喜一憂する。
こんな気持ちになるのは初めてだ。
人を好きになるってこういうことなのかな?
明日日下さんに謝ろう。自分勝手なこと言ってごめんなさいって。私こそ、日下さんのことをちゃんと見よう。
信号が青になった。
横断歩道に足を踏み出したとき、急ブレーキの音が耳を突き抜ける。え、と思った時には、体が地面に叩きつけられていた。
私はパーカーの前ジッパーを首元まで上げた。そういえば、日下さんにもジッパーを上げられたことがあったな。
───芽生、胸元のあいた服はよくない。誰に見られるかわからないだろう?心配かけさせないでくれ。
ママに説教された今なら分かる気がする。
その言葉は紛れもない私に向けられた言葉だったんだなって。
香苗さんじゃなくて、芽生を見てくれてた。
「はぁー」
ため息はすぐに夜空に消えていった。
心配しなくても、日下さんにしか見せる気ないよ。だって私は日下さんのことが大好きなんだから。
そうだよ、一目惚れからいつの間にかこんなにも日下さんのことを好きな気持ちが大きくなっていた。好きで好きでたまらなくなった。日下さんの言葉や態度ひとつで私の感情は一喜一憂する。
こんな気持ちになるのは初めてだ。
人を好きになるってこういうことなのかな?
明日日下さんに謝ろう。自分勝手なこと言ってごめんなさいって。私こそ、日下さんのことをちゃんと見よう。
信号が青になった。
横断歩道に足を踏み出したとき、急ブレーキの音が耳を突き抜ける。え、と思った時には、体が地面に叩きつけられていた。
0
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる