上 下
157 / 161
エピローグ

157

しおりを挟む
痛すぎて息の仕方さえ忘れてしまう。
助産師さん、看護師さんが何かを言っている、その声もよく聞き取れない。
もう訳がわからない。

「美咲、頑張れ。息を吐いて。」

圭佑さんが手を握ってくれ、私は意識をそちらに向ける。何もわからなくても、圭佑さんの声だけは私の耳に届いた。むしろ圭佑さんの声しか聞こえない。

圭佑さんが隣にいる。
そのことを再認識するだけで心強く感じた。

「はい、次で産まれるよー。はい、いきんで!」

「美咲、いきんで。」

圭佑さんが助産師さんの言葉を復唱し、私は圭佑さんの手を握りしめながらそれに従った。

「はい、息をしまーす。フッフッフッフー。ほら、赤ちゃん産まれましたよ。おめでとうございます。」

「……えっ?!」

痛さとつらさで全然赤ちゃんが産まれたことに気づかなかったが、助産師さんの手にはしっかりと、しわしわな小さな赤ちゃんが抱えられていた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

クールな御曹司の溺愛ペット

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:121

待て。さわるんじゃない。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:17

寝顔

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:3

【R18】鬼上司は今日も私に甘くない

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:1,002pt お気に入り:12

正しい恋の始め方

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:3

高司専務の憂鬱 (完)

恋愛 / 完結 24h.ポイント:85pt お気に入り:571

腹黒上司が実は激甘だった件について。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:141

処理中です...