95 / 161
本物の家族
95
しおりを挟む
また来るねと笑顔でバイバイをしてご機嫌に家に帰ったすずは、しばらくはいつも通り過ごしていたが、寝る前になって急にぐずりだした。
「ママがいいー。ママにあいたいー。」
さっからこの一点張りだ。
大泣きしながら訴えてくる。
「またお休みの日にママに会いに行こうね。」
「やだ。いまがいい。」
どう声掛けしても、どうあやしてもまったくダメで泣き声が大きくなるばかりだ。
「すずの好きなおせんべいあるよ。食べようか?」
「いらないもん。ママがいいー。」
いつもなら食いつくおせんべいも今日ばかりは効力を持たない。
柴原さんが抱っこしようにも全力拒否だ。
まったく手がつけられず、私は打ちのめされた気分だ。やはりママは偉大だ。私ではダメなんだ。ママじゃないから。
半年以上会っていなくても、すずにとってのママは変わらずにママで。それはもうどうしようもないけれど、この半年間すずと築いてきた関係は一瞬にして吹き飛ばされるような衝撃だった。
「そんなにママがいいなら、ママのとこにいきな。ねえねのとこに来るな!」
イライラが限界を超えて、思わず感情的に叫んだ。私はすずをリビングに残したまま、ドスドスと足音うるさく自室に入る。
すぐにギャン泣きする声が聞こえてきたが、それすらも腹立たしい。
私は耳を塞いだ。
泣きたいのはこっちだ。
これ以上私にどうしろというの。
こんなにも頑張ってるのに。
もう、嫌だ。
自然と涙が溢れてきて、私は膝を抱えてぐずぐずと泣いた。
「ママがいいー。ママにあいたいー。」
さっからこの一点張りだ。
大泣きしながら訴えてくる。
「またお休みの日にママに会いに行こうね。」
「やだ。いまがいい。」
どう声掛けしても、どうあやしてもまったくダメで泣き声が大きくなるばかりだ。
「すずの好きなおせんべいあるよ。食べようか?」
「いらないもん。ママがいいー。」
いつもなら食いつくおせんべいも今日ばかりは効力を持たない。
柴原さんが抱っこしようにも全力拒否だ。
まったく手がつけられず、私は打ちのめされた気分だ。やはりママは偉大だ。私ではダメなんだ。ママじゃないから。
半年以上会っていなくても、すずにとってのママは変わらずにママで。それはもうどうしようもないけれど、この半年間すずと築いてきた関係は一瞬にして吹き飛ばされるような衝撃だった。
「そんなにママがいいなら、ママのとこにいきな。ねえねのとこに来るな!」
イライラが限界を超えて、思わず感情的に叫んだ。私はすずをリビングに残したまま、ドスドスと足音うるさく自室に入る。
すぐにギャン泣きする声が聞こえてきたが、それすらも腹立たしい。
私は耳を塞いだ。
泣きたいのはこっちだ。
これ以上私にどうしろというの。
こんなにも頑張ってるのに。
もう、嫌だ。
自然と涙が溢れてきて、私は膝を抱えてぐずぐずと泣いた。
1
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
その出会い、運命につき。
あさの紅茶
恋愛
背が高いことがコンプレックスの平野つばさが働く薬局に、つばさよりも背の高い胡桃洋平がやってきた。かっこよかったなと思っていたところ、雨の日にまさかの再会。そしてご飯を食べに行くことに。知れば知るほど彼を好きになってしまうつばさ。そんなある日、洋平と背の低い可愛らしい女性が歩いているところを偶然目撃。しかもその女性の名字も“胡桃”だった。つばさの恋はまさか不倫?!悩むつばさに洋平から次のお誘いが……。

【完結】私、四女なんですけど…?〜四女ってもう少しお気楽だと思ったのに〜
まりぃべる
恋愛
ルジェナ=カフリークは、上に三人の姉と、弟がいる十六歳の女の子。
ルジェナが小さな頃は、三人の姉に囲まれて好きな事を好きな時に好きなだけ学んでいた。
父ヘルベルト伯爵も母アレンカ伯爵夫人も、そんな好奇心旺盛なルジェナに甘く好きな事を好きなようにさせ、良く言えば自主性を尊重させていた。
それが、成長し、上の姉達が思わぬ結婚などで家から出て行くと、ルジェナはだんだんとこの家の行く末が心配となってくる。
両親は、貴族ではあるが貴族らしくなく領地で育てているブドウの事しか考えていないように見える為、ルジェナはこのカフリーク家の未来をどうにかしなければ、と思い立ち年頃の男女の交流会に出席する事を決める。
そして、そこで皆のルジェナを想う気持ちも相まって、無事に幸せを見つける。
そんなお話。
☆まりぃべるの世界観です。現実とは似ていても違う世界です。
☆現実世界と似たような名前、土地などありますが現実世界とは関係ありません。
☆現実世界でも使うような単語や言葉を使っていますが、現実世界とは違う場合もあります。
楽しんでいただけると幸いです。

冷徹義兄の密やかな熱愛
橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。
普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。
※王道ヒーローではありません

自信家CEOは花嫁を略奪する
朝陽ゆりね
恋愛
「あなたとは、一夜限りの関係です」
そのはずだったのに、
そう言ったはずなのに――
私には婚約者がいて、あなたと交際することはできない。
それにあなたは特定の女とはつきあわないのでしょ?
だったら、なぜ?
お願いだからもうかまわないで――
松坂和眞は特定の相手とは交際しないと宣言し、言い寄る女と一時を愉しむ男だ。
だが、経営者としての手腕は世間に広く知られている。
璃桜はそんな和眞に憧れて入社したが、親からもらった自由な時間は3年だった。
そしてその期間が来てしまった。
半年後、親が決めた相手と結婚する。
退職する前日、和眞を誘惑する決意をし、成功するが――

【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした
楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。
仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。
◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪
◇全三話予約投稿済みです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる