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1.八重桜
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すごく穏やかで楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。
なんだかんだ騒ぎつつも、十四時になる頃には皆きちんと片付けをし、各職場へ戻っていった。
名残惜しさを感じてしまうのは楽しかったからだろうか、それとも意外にも社長と楽しくお話できたからだろうか。
いずれにしても、満たされた気持ちに変わりはない。
この会社に勤めて七年、毎年桜は咲いている。
綺麗だな、と一人で眺めるだけだった私の人生に初めて訪れたお花見イベント。
許可してくれた社長に感謝だ。
それに、提案してくれた田辺さんにも。
「楽しかったわねぇ。もう仕事する気なくなっちゃったわ」
「ふふっ、敦子さんはあと一時間で退社ですもんね。のんびりやってください」
「帰ったら親の介護が待ってるのよ。嫌とは思わないけど、現実ってこんなもんよね」
「だから余計に楽しいんですかね、こういうイベント」
「そうかもねぇ。またできるといいわよね」
敦子さんは朗らかに笑った。
働きながら介護をすることも大変だと思う。私も帰ったら家事に追われる。ほんの少しだけ自分と境遇が似ているのかな、なんて考えると今日はいつもより心が軽くなる気がした。
なんだかんだ騒ぎつつも、十四時になる頃には皆きちんと片付けをし、各職場へ戻っていった。
名残惜しさを感じてしまうのは楽しかったからだろうか、それとも意外にも社長と楽しくお話できたからだろうか。
いずれにしても、満たされた気持ちに変わりはない。
この会社に勤めて七年、毎年桜は咲いている。
綺麗だな、と一人で眺めるだけだった私の人生に初めて訪れたお花見イベント。
許可してくれた社長に感謝だ。
それに、提案してくれた田辺さんにも。
「楽しかったわねぇ。もう仕事する気なくなっちゃったわ」
「ふふっ、敦子さんはあと一時間で退社ですもんね。のんびりやってください」
「帰ったら親の介護が待ってるのよ。嫌とは思わないけど、現実ってこんなもんよね」
「だから余計に楽しいんですかね、こういうイベント」
「そうかもねぇ。またできるといいわよね」
敦子さんは朗らかに笑った。
働きながら介護をすることも大変だと思う。私も帰ったら家事に追われる。ほんの少しだけ自分と境遇が似ているのかな、なんて考えると今日はいつもより心が軽くなる気がした。
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