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14.まどろみ

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その間、ソレイユはずっと休業したまま。
私は、これからのソレイユの在り方を考えていた。

藤本さんから駅前再開発の話を聞いた後、しばらくして役所から郵便物が届いた。まさに、ソレイユの土地が再開発の対象地区になっていて、移転を提案されたのだ。

そのことについて、穂高さんと何度も話し合った。祖父にも相談した。何度も話し合いを重ねたけれど、結局最後には「莉子が決めなさい」と言われた。

「莉子はどうしたいと思ってる?」

「この提案を受け入れてもいいかなって思っています。それと、ソレイユにこだわらなくても、これからもカフェで働けるのならどこでもいいかな。自分のお店を持てたら嬉しいけど、難しいようならどこかに就職するのもありかなって思ってて」

「じゃあ第一優先は、カフェで働きたいことかな?」

「そうですね。今のソレイユは、確かに私の実家のような場所だけど、嫌なこともあった場所。この機会に手放すのも悪くない気がしてます。そうでもなきゃ、いつまでもしがみつきそうな気がしてて」

ここ最近、そんなことばかり考えていた。思い出深いソレイユは、祖父母と過ごした大切な場所。常連さんたちもとても良くしてくれた。でもだからといって意固地になる必要はない。だって私はもう結婚して新しい家族を作ったのだから。一歩を踏み出すいいチャンスじゃないだろうか。

「そうだね。でもまだ時間はあるから、ゆっくり考えて」

「そうはいかないです。穂高さんにばかり負担はかけられません、早く働きます」

そう伝えれば、ぽんと柔らかく頭に手が置かれる。
大きくてあたたかい、穂高さんの手。上目で見上げれば、いつもと変わらない柔らかい眼差しで見つめてくれる。

「俺は負担には思ってないし、なんならずっと家にいてくれても構わないと思ってるけど……早く莉子が納得いく生活ができたらいいかな」

「もう、穂高さんは優しすぎですよ」

「優しいのは莉子にだけ。外では鬼弁護士と言われているよ」

「鬼?!」

なぜか得意気に胸を張る穂高さん。
疑いの眼差しを向けた私を見て、楽しそうに笑う。
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