118 / 138
12.結婚のご挨拶
07
しおりを挟む
「無理やりだなんてとんでもないです。穂高さんは優しくて頼りになって、本当に私になんてもったいないくらい素敵な方で……。逆に私の方が申し訳なく思っています。こんなに情けなくてたくさん迷惑もかけているのに、こんな私でもいいのでしょうか……」
自信なく穂高さんを見る。躊躇いもなく微笑む彼は自信に満ち溢れていて神々しい。眼鏡の奥の瞳はとても優しかった。
「俺は莉子じゃなければ嫌だ。莉子がいいから結婚したんだよ」
「私も莉子ちゃんが娘になってくれるのは嬉しいよ」
穂高さんと穂高さんのお父様が受け入れてくれる。ソレイユに来てくれる時と同じ洗練された雰囲気に不安な心が浄化されていくみたい。心がぽっと温かくなる。そんな私たちを見たお母様は、クスクスと上品に笑った。
「莉子ちゃん、いろいろ大変だったから不安に思うこともあるだろうけど、うちは大歓迎よ。昔からこの人たちは莉子ちゃん莉子ちゃんって、お気に入りなんだから」
「お気に入りですか?」
「佐倉さんともよく話してたよ。莉子ちゃんと穂高が結婚したらいいのにって。まあ、本人同士の気持ちがあるから、そこは夢物語として酒の肴にしていたけどね。まさか実現するとはなぁ」
「その話は俺も知らなかったな」
「そんなわけだから、莉子ちゃんは何も心配しなくていいのよ。うちは男ばかりだから莉子ちゃんみたいな可愛い子が来てくれて嬉しいわ。これからよろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
穂高さんが「佐倉さんの息がかかっている」と言った意味が少しだけわかった。祖父は私のおじいちゃんでありお父さんでもある。そんな祖父は、私の知らないところでも私のことを大事にしてくれていたことが垣間見えて、胸が熱くなった。
私は本当に、恵まれている。
自信なく穂高さんを見る。躊躇いもなく微笑む彼は自信に満ち溢れていて神々しい。眼鏡の奥の瞳はとても優しかった。
「俺は莉子じゃなければ嫌だ。莉子がいいから結婚したんだよ」
「私も莉子ちゃんが娘になってくれるのは嬉しいよ」
穂高さんと穂高さんのお父様が受け入れてくれる。ソレイユに来てくれる時と同じ洗練された雰囲気に不安な心が浄化されていくみたい。心がぽっと温かくなる。そんな私たちを見たお母様は、クスクスと上品に笑った。
「莉子ちゃん、いろいろ大変だったから不安に思うこともあるだろうけど、うちは大歓迎よ。昔からこの人たちは莉子ちゃん莉子ちゃんって、お気に入りなんだから」
「お気に入りですか?」
「佐倉さんともよく話してたよ。莉子ちゃんと穂高が結婚したらいいのにって。まあ、本人同士の気持ちがあるから、そこは夢物語として酒の肴にしていたけどね。まさか実現するとはなぁ」
「その話は俺も知らなかったな」
「そんなわけだから、莉子ちゃんは何も心配しなくていいのよ。うちは男ばかりだから莉子ちゃんみたいな可愛い子が来てくれて嬉しいわ。これからよろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
穂高さんが「佐倉さんの息がかかっている」と言った意味が少しだけわかった。祖父は私のおじいちゃんでありお父さんでもある。そんな祖父は、私の知らないところでも私のことを大事にしてくれていたことが垣間見えて、胸が熱くなった。
私は本当に、恵まれている。
23
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
オオカミ課長は、部下のウサギちゃんを溺愛したくてたまらない
若松だんご
恋愛
――俺には、将来を誓った相手がいるんです。
お昼休み。通りがかった一階ロビーで繰り広げられてた修羅場。あ~課長だあ~、大変だな~、女性の方、とっても美人だな~、ぐらいで通り過ぎようと思ってたのに。
――この人です! この人と結婚を前提につき合ってるんです。
ほげええっ!?
ちょっ、ちょっと待ってください、課長!
あたしと課長って、ただの上司と部下ですよねっ!? いつから本人の了承もなく、そういう関係になったんですかっ!? あたし、おっそろしいオオカミ課長とそんな未来は予定しておりませんがっ!?
課長が、専務の令嬢とのおつき合いを断るネタにされてしまったあたし。それだけでも大変なのに、あたしの住むアパートの部屋が、上の住人の失態で水浸しになって引っ越しを余儀なくされて。
――俺のところに来い。
オオカミ課長に、強引に同居させられた。
――この方が、恋人らしいだろ。
うん。そうなんだけど。そうなんですけど。
気分は、オオカミの巣穴に連れ込まれたウサギ。
イケメンだけどおっかないオオカミ課長と、どんくさくって天然の部下ウサギ。
(仮)の恋人なのに、どうやらオオカミ課長は、ウサギをかまいたくてしかたないようで――???
すれ違いと勘違いと溺愛がすぎる二人の物語。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。
渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!?
合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡――
だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。
「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき……
《エブリスタ、ムーン、ベリカフェにも投稿しています》
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
禁断溺愛
流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる