捨てられた彼女は敏腕弁護士に甘く包囲される

あさの紅茶

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12.結婚のご挨拶

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「無理やりだなんてとんでもないです。穂高さんは優しくて頼りになって、本当に私になんてもったいないくらい素敵な方で……。逆に私の方が申し訳なく思っています。こんなに情けなくてたくさん迷惑もかけているのに、こんな私でもいいのでしょうか……」

自信なく穂高さんを見る。躊躇いもなく微笑む彼は自信に満ち溢れていて神々しい。眼鏡の奥の瞳はとても優しかった。

「俺は莉子じゃなければ嫌だ。莉子がいいから結婚したんだよ」

「私も莉子ちゃんが娘になってくれるのは嬉しいよ」

穂高さんと穂高さんのお父様が受け入れてくれる。ソレイユに来てくれる時と同じ洗練された雰囲気に不安な心が浄化されていくみたい。心がぽっと温かくなる。そんな私たちを見たお母様は、クスクスと上品に笑った。

「莉子ちゃん、いろいろ大変だったから不安に思うこともあるだろうけど、うちは大歓迎よ。昔からこの人たちは莉子ちゃん莉子ちゃんって、お気に入りなんだから」

「お気に入りですか?」

「佐倉さんともよく話してたよ。莉子ちゃんと穂高が結婚したらいいのにって。まあ、本人同士の気持ちがあるから、そこは夢物語として酒の肴にしていたけどね。まさか実現するとはなぁ」

「その話は俺も知らなかったな」

「そんなわけだから、莉子ちゃんは何も心配しなくていいのよ。うちは男ばかりだから莉子ちゃんみたいな可愛い子が来てくれて嬉しいわ。これからよろしくね」

「はい、よろしくお願いします」

穂高さんが「佐倉さんの息がかかっている」と言った意味が少しだけわかった。祖父は私のおじいちゃんでありお父さんでもある。そんな祖父は、私の知らないところでも私のことを大事にしてくれていたことが垣間見えて、胸が熱くなった。

私は本当に、恵まれている。
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