捨てられた彼女は敏腕弁護士に甘く包囲される

あさの紅茶

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5.俺の好きな人 ~穂高side~

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「さて、ここで提案ですが、僕と結婚しませんか」

「えっ! 結婚?!」

莉子さんの目がこれでもかと丸くなった。
それもそうだろう、こんな突拍子もない提案、驚かないわけがない。だけど俺は本気だ。全力で莉子さんを救いたいと思う。

「結婚というのはまだまだ社会通念的に強いですし、法律の面でも何かと有利に働きます。前にもお伝えしたかと思いますが、結婚していない恋愛関係については法律による規制はありません。逆に結婚している方が法律の規制があるので、莉子さんが結婚しているという事実は彼らにとって不利になります。そうなると、彼らは莉子さんに手出しできない」

「でもそんなこと……いけないのでは?」

「いけないかどうかは、僕たち次第です」

莉子さんの瞳が揺れる。「穂高さんに迷惑をかけたくないです」と小さく呟いた。優しい莉子さんらしい答えだなと思う。

それでも俺は引き下がるつもりはない。莉子さんになら迷惑をかけられたいくらい、君のことが好きで――

自覚した想いは止まりそうにない。かといって冷静になれよと思う自分もいるわけで。なんとも複雑な自分の感情。歳を重ねて大人になっても、こんなにも気持ちが揺れ動くものなんだな……。

「僕は莉子さんに助けられたことがある。だから今度は僕が莉子さんを助ける番です。いつか恩返しがしたいと思っていました」

「でもそれだと穂高さんは何も得しないし、リスクが大きいのでは?」

「得しかないですし、リスクは何も無いですね。言ったでしょう、恩返しがしたいと」

恩返しはこじつけでしかない。確かに恩返しはしたいと思っていたけれど、今回の提案は完全に俺の打算が働いている。

バカでありえない提案かもしれない。そんなこと、俺だってわかっている。それでも、俺は莉子さんを幸せへと導きたいんだ。
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