5 / 138
1.cafeソレイユ
04
しおりを挟む
オーダーされた日替わりランチを運び「ごゆっくりどうぞ」と声をかける。
と――
「あ、莉子さん」
穂高さんに呼び止められて顔を上げる。
穂高さんはジャケットの内側ポケットから一枚の紙を取り出し差し出した。
「これを」
「名刺……ですか?」
「最近事務所が移転したんです。何かあればこちらに連絡ください」
「そうなんですね。ありがとうございます」
大事に受け取ってエプロンのポケットへ入れた。
「莉子ちゃん」
今度はお父様に呼ばれる。
「今日も美味いね。彼にもよろしく伝えてくれ」
「はい、喜ぶと思います」
そんな風に褒められると嬉しくなる。
いつも懇意にしてくださる石井さん親子は綺麗な所作で食事を進め、その洗練された雰囲気は心を浄化してくれるみたい。
まわりのテーブルを片付けて厨房に戻ると、ちょうど休憩から桃香ちゃんが戻ったところだった。
「雄一さん、今日の賄いすっごく美味しかったです! もう、ほっぺたが落ちちゃいそうでした」
「そうか? ありがとう!」
可愛い笑顔で「ごちそうさまです」と言う桃香ちゃんに、雄一も満面の笑みで返す。とても微笑ましい光景と思うんだけど……。
最近少し気になることがある。桃香ちゃんは人との距離が近い気がする。ううん、誰かれかまわずじゃなく、雄一にだけ。ピッタリとくっつきそうな勢い。それに対して雄一も、全然嫌そうじゃないし。むしろ嬉しそうというか……。
そんなことをグルグル考えていると、ふと雄一と目が合う。
と――
「あ、莉子さん」
穂高さんに呼び止められて顔を上げる。
穂高さんはジャケットの内側ポケットから一枚の紙を取り出し差し出した。
「これを」
「名刺……ですか?」
「最近事務所が移転したんです。何かあればこちらに連絡ください」
「そうなんですね。ありがとうございます」
大事に受け取ってエプロンのポケットへ入れた。
「莉子ちゃん」
今度はお父様に呼ばれる。
「今日も美味いね。彼にもよろしく伝えてくれ」
「はい、喜ぶと思います」
そんな風に褒められると嬉しくなる。
いつも懇意にしてくださる石井さん親子は綺麗な所作で食事を進め、その洗練された雰囲気は心を浄化してくれるみたい。
まわりのテーブルを片付けて厨房に戻ると、ちょうど休憩から桃香ちゃんが戻ったところだった。
「雄一さん、今日の賄いすっごく美味しかったです! もう、ほっぺたが落ちちゃいそうでした」
「そうか? ありがとう!」
可愛い笑顔で「ごちそうさまです」と言う桃香ちゃんに、雄一も満面の笑みで返す。とても微笑ましい光景と思うんだけど……。
最近少し気になることがある。桃香ちゃんは人との距離が近い気がする。ううん、誰かれかまわずじゃなく、雄一にだけ。ピッタリとくっつきそうな勢い。それに対して雄一も、全然嫌そうじゃないし。むしろ嬉しそうというか……。
そんなことをグルグル考えていると、ふと雄一と目が合う。
11
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【R18・完結】甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
花室 芽苳
恋愛
【本編完結/番外編完結】
この人なら愛せそうだと思ったお見合い相手は、私の妹を愛してしまった。
2人の間を邪魔して壊そうとしたけど、逆に2人の想いを見せつけられて……
そんな時叔父が用意した新しいお見合い相手は大企業の御曹司。
両親と叔父の勧めで、あっという間に俺様御曹司との新婚初夜!?
「夜のお相手は、他の女性に任せます!」
「は!?お前が妻なんだから、諦めて抱かれろよ!」
絶対にお断りよ!どうして毎夜毎夜そんな事で喧嘩をしなきゃならないの?
大きな会社の社長だからって「あれするな、これするな」って、偉そうに命令してこないでよ!
私は私の好きにさせてもらうわ!
狭山 聖壱 《さやま せいいち》 34歳 185㎝
江藤 香津美 《えとう かつみ》 25歳 165㎝
※ 花吹は経営や経済についてはよくわかっていないため、作中におかしな点があるかと思います。申し訳ありません。m(__)m
あまやかしても、いいですか?
藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。
「俺ね、ダメなんだ」
「あーもう、キスしたい」
「それこそだめです」
甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の
契約結婚生活とはこれいかに。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。
渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!?
合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡――
だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。
「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき……
《エブリスタ、ムーン、ベリカフェにも投稿しています》
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる