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穏やかなる時間
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しおりを挟む普段甘えない奈々がこんな態度で、可愛くて仕方ない。だが、倉瀬は奈々が小刻みに震えているのに気付いた。
「やっぱり泣いてんじゃねーか」
「……ごめんなさい」
倉瀬は奈々の肩に手をやると、視線を合わせながら優しく聞く。
「奈々、何が奈々をそんなに不安にさせる?」
倉瀬の優しさは奈々の胸をぎゅっとさせた。
きっと不安にさせているのは私の方なのに。
こんなにも優しくしてくれてるのに。
こんなにも幸せをくれているのに。
なんて私は愚かなんだろう。
頭の中で反省しても何も始まらない。
「言ったら、きっと倉瀬さんは私を嫌いになっちゃう」
「呆れることはあっても嫌いにはならないから、安心しろ」
言われて、奈々は躊躇いがちに目を伏せる。だが倉瀬が奈々の手をぎゅっと握る、そのあたたかさが奈々に勇気をもたらした。
「私……倉瀬さんが付き合ってきた女性に嫉妬してるんです」
「それは呆れるな。だが嫌いにはなっていない」
倉瀬は奈々の目尻にたまった涙をそっと拭う。
(ああ、そうだった。奈々はストレートに言わないと伝わらないヤツだったな)
倉瀬はため息をつきながら猛省する。奈々の性格はわかっていたつもりだったが、日々の穏やかさにどっぷり浸かってすっかり忘れていた。
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