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家族旅行 どきどき編
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家族旅行 どきどき編
シャルロットは、湯浴みが終わってからアンナに、隣の部屋でハロルドが待っていることを聞いて慌てはじめた。
「え???今から……」
「はい。エリック様がお休みになられたら、こちらをお召しになってく……あ、エリック様もうお休みになられてるようです」
アンナは横目でエリックをみると、エリックはひとりでベッドの上で既に寝ていた。
「よっぽど疲れていらっしゃったんですね」
「そうみたいね……」
「では、こちらを」
アンナは白い布の少ないレースのナイトウェアを笑顔で渡してきた。
「……これ、着ないとだめかしら」
シャルロットは顔を真っ赤にしている
「はい。旦那様は喜ばれるはずです」
「……そう」
…………ハルが喜んでくれるなら
シャルロットはナイトウェアに着替え、上からしっかりガウンを羽織り隣の部屋へ行った。
ーーーコンコン
「失礼します……」
シャルロットはひとりで部屋に入った。
そこには、ガウンを着てソファーに座りワインを飲むハロルドの姿があった。すでに1本のワインをあけたようで顔が赤くなっている。
「……すまない、どう待っていいかわからず、先にワインを飲んでいた。シャルも一杯どうだ?」
シャルロットはハロルドの横に腰を下ろした。
「 ええ、いただきます」
ハロルドは、シャルロットにワインを渡し、しばらく沈黙が続いた。
「「……」」
「……その…こういうのに慣れていなくて…格好悪いな、どうして良いかわからない…」
「…慣れていたらやきもちをやいてしまいますわ」
「そうか……」
ハロルドは酒が入り、とろんとした目で笑った。
ふふっ。ハル、可愛い……もっとみたい……
「……ハル」
ん?とハロルドがシャルロットの方に顔を向けたとき、シャルロットはハロルドの唇にキスをした。
時が止まったかのように見つめ合った二人の目は熱を帯びている。
二人は何度も角度を変えキスをし、ハロルドはシャルロットの着ているガウン、そして自分のガウンを脱ぎ捨て、シャルロットを横向きに抱きベッドにゆっくり下ろした。
ハロルドはシャルロットを見下ろし、ゴクっと息をのむ。
「シャル……愛してる」
「……私も愛してます」
二人はお互い微笑み合い、再びキスをした。
──────翌朝
ロバートがドアをノックし、「旦那様、奥様、お休みのところ申し訳ございません。エリック様がお待ちです」とドア越しに言われ、二人は慌てて飛び起き、ドア横の棚にロバートが用意したであろう、簡易な服を着て、エリックの待つ隣の部屋へ戻った。
「おはよう、リック」
「お、おはよう」
「二人だけで散歩に行くなんてずるい!!僕も行きたかった」
「あ、いや……その……」
ハロルドがどう返事をして良いのか考えていると
「エリック様にはお二人で早朝から散歩に行かれたとお伝えしてあります」
とロバートがひそっと言った。
エリックは、二人の顔を見て
「ふーん、でも、いいや!二人とも仲良しになったんだね!」
「「え??」」
エリックが無邪気に笑いながら言った発言に、シャルロットとハロルドの顔が赤くなっていく。
「ふふっ。えぇ、仲良しね」
ハロルドは咳払いをし、
「さ、食事にしよう」
と、席についた。
(やっぱり子供ってすごいわね……帰ったらみんなにも教えないと!)
アンナは笑うのを必死に堪えたのだった。
◇◇◇
伯爵領に着いた頃には辺りが暗くなりはじめていた。
「やぁ!よく来てくれた」
「ご無沙汰しております」
「お祖父様!お祖母様!」
「エリックか!大きくなったな」
伯爵は飛び付いたエリックをそのまま抱き上げた。
この人たちが私の両親……
「……その…………」
「長旅で疲れたでしょう?さぁ、夕飯の前にお茶でもしましょう」
お母様………日記の通り優しそうな人……
「僕、少し外で遊んでもいい?」
「あぁ、一緒に行こうか」
「じゃあ、お祖父様も行こう?」
「そうだな、私も行こう。シャル、ゆっくりするといい」
「……ありがとうございます」
「さぁ、こっちへいらっしゃい」
シャルロットはハロルドを見た。
「いっておいで。また、あとで」
ハロルドは優しく微笑んで言い、シャルロットは頷いた。
◇◇◇
応接室に入り、お茶をしていると
「元気そうでよかったわ」
「……お母様も、その……ご心配おかけしました」
「いいのよ。話は聞いているわ。あなたは変わらず私たちの娘よ。来てくれて嬉しいわ」
「いえ……そう言っていただけて嬉しいです。こちらには、ハロルド様が連れてきてくれたんです」
「そう……優しいのね。結婚してからあなたがハロルド様の話をあまりしないから気にしていたのよ。良かったわ」
「そうですか……以前はお互い、歩み寄ってなかったようで……」
「ふふっ。そうみたいね。はい、これ」
「……手紙?」
「あなたが倒れたと聞いて私も倒れたでしょう?私たちが駆けつけることができないでいたら、ハロルド様がすぐに届けてくれたのよ」
「ハルが……?」
「ふふっ。仲が良いようね。読んでごらんなさい」
シャルロットは手紙を手に取り読み始めた。
そこには、今回の件と今まで仕事を理由にして私を蔑ろにしていたことの謝罪、自分が解決すること、そして私を愛しているということ、落ち着いたら家族で伺うので、義母のそばにいて下さいと、父宛に書かれていた。
ハルがこんな手紙を送っていたなんて知らなかったわ……
手紙を読み終えた私に母は問いかけた
「あなたは今幸せ?」
…………幸せ?
ーーーコンコン
「お母様、お祖母様、呼びに来たよ!ご飯食べよう!」
母は、私をみて、ふふっと笑った
「エリック、ありがとう。さぁ、いきましょう」
食事中は、エリックが毎日どう過ごしているか楽しそうに話しているのを伯爵夫妻は嬉しそうに聞いていた。
そして夜、三人はベッドで寝ていた。
「疲れたんだな、リックはすぐ寝たな」
「そうですね、ずっとはしゃいでいましたね……ねぇ、ハル……」
「なんだ?」
「両親に手紙を送っていたなんて知りませんでした」
「……あぁ」
「ここに連れてくれてありがとうございます。来れてよかったです」
「……そうか」
「母に幸せか聞かれて考えてみたんです」
「………」
「以前の記憶は戻っていませんが、今とても幸せです」
「……そうか」
そう……記憶をなくして誰もわからない状況でも慕ってくれるリック、親切にしてくれる使用人のみんな、私を愛してくれるハルがいて、私は幸せだ。
「……俺も幸せだ」
ハロルドはシャルロットをみて微笑んだ。
「ふふっ。なんか恥ずかしいですね」
「そうだな。……そろそろ寝よう」
「はい。おやすみなさい、ハル」
「おやすみ、シャル」
ーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございました。
番外編も完結しました。
近況ボード更新するのでお読みいただけると嬉しいです。
シャルロットは、湯浴みが終わってからアンナに、隣の部屋でハロルドが待っていることを聞いて慌てはじめた。
「え???今から……」
「はい。エリック様がお休みになられたら、こちらをお召しになってく……あ、エリック様もうお休みになられてるようです」
アンナは横目でエリックをみると、エリックはひとりでベッドの上で既に寝ていた。
「よっぽど疲れていらっしゃったんですね」
「そうみたいね……」
「では、こちらを」
アンナは白い布の少ないレースのナイトウェアを笑顔で渡してきた。
「……これ、着ないとだめかしら」
シャルロットは顔を真っ赤にしている
「はい。旦那様は喜ばれるはずです」
「……そう」
…………ハルが喜んでくれるなら
シャルロットはナイトウェアに着替え、上からしっかりガウンを羽織り隣の部屋へ行った。
ーーーコンコン
「失礼します……」
シャルロットはひとりで部屋に入った。
そこには、ガウンを着てソファーに座りワインを飲むハロルドの姿があった。すでに1本のワインをあけたようで顔が赤くなっている。
「……すまない、どう待っていいかわからず、先にワインを飲んでいた。シャルも一杯どうだ?」
シャルロットはハロルドの横に腰を下ろした。
「 ええ、いただきます」
ハロルドは、シャルロットにワインを渡し、しばらく沈黙が続いた。
「「……」」
「……その…こういうのに慣れていなくて…格好悪いな、どうして良いかわからない…」
「…慣れていたらやきもちをやいてしまいますわ」
「そうか……」
ハロルドは酒が入り、とろんとした目で笑った。
ふふっ。ハル、可愛い……もっとみたい……
「……ハル」
ん?とハロルドがシャルロットの方に顔を向けたとき、シャルロットはハロルドの唇にキスをした。
時が止まったかのように見つめ合った二人の目は熱を帯びている。
二人は何度も角度を変えキスをし、ハロルドはシャルロットの着ているガウン、そして自分のガウンを脱ぎ捨て、シャルロットを横向きに抱きベッドにゆっくり下ろした。
ハロルドはシャルロットを見下ろし、ゴクっと息をのむ。
「シャル……愛してる」
「……私も愛してます」
二人はお互い微笑み合い、再びキスをした。
──────翌朝
ロバートがドアをノックし、「旦那様、奥様、お休みのところ申し訳ございません。エリック様がお待ちです」とドア越しに言われ、二人は慌てて飛び起き、ドア横の棚にロバートが用意したであろう、簡易な服を着て、エリックの待つ隣の部屋へ戻った。
「おはよう、リック」
「お、おはよう」
「二人だけで散歩に行くなんてずるい!!僕も行きたかった」
「あ、いや……その……」
ハロルドがどう返事をして良いのか考えていると
「エリック様にはお二人で早朝から散歩に行かれたとお伝えしてあります」
とロバートがひそっと言った。
エリックは、二人の顔を見て
「ふーん、でも、いいや!二人とも仲良しになったんだね!」
「「え??」」
エリックが無邪気に笑いながら言った発言に、シャルロットとハロルドの顔が赤くなっていく。
「ふふっ。えぇ、仲良しね」
ハロルドは咳払いをし、
「さ、食事にしよう」
と、席についた。
(やっぱり子供ってすごいわね……帰ったらみんなにも教えないと!)
アンナは笑うのを必死に堪えたのだった。
◇◇◇
伯爵領に着いた頃には辺りが暗くなりはじめていた。
「やぁ!よく来てくれた」
「ご無沙汰しております」
「お祖父様!お祖母様!」
「エリックか!大きくなったな」
伯爵は飛び付いたエリックをそのまま抱き上げた。
この人たちが私の両親……
「……その…………」
「長旅で疲れたでしょう?さぁ、夕飯の前にお茶でもしましょう」
お母様………日記の通り優しそうな人……
「僕、少し外で遊んでもいい?」
「あぁ、一緒に行こうか」
「じゃあ、お祖父様も行こう?」
「そうだな、私も行こう。シャル、ゆっくりするといい」
「……ありがとうございます」
「さぁ、こっちへいらっしゃい」
シャルロットはハロルドを見た。
「いっておいで。また、あとで」
ハロルドは優しく微笑んで言い、シャルロットは頷いた。
◇◇◇
応接室に入り、お茶をしていると
「元気そうでよかったわ」
「……お母様も、その……ご心配おかけしました」
「いいのよ。話は聞いているわ。あなたは変わらず私たちの娘よ。来てくれて嬉しいわ」
「いえ……そう言っていただけて嬉しいです。こちらには、ハロルド様が連れてきてくれたんです」
「そう……優しいのね。結婚してからあなたがハロルド様の話をあまりしないから気にしていたのよ。良かったわ」
「そうですか……以前はお互い、歩み寄ってなかったようで……」
「ふふっ。そうみたいね。はい、これ」
「……手紙?」
「あなたが倒れたと聞いて私も倒れたでしょう?私たちが駆けつけることができないでいたら、ハロルド様がすぐに届けてくれたのよ」
「ハルが……?」
「ふふっ。仲が良いようね。読んでごらんなさい」
シャルロットは手紙を手に取り読み始めた。
そこには、今回の件と今まで仕事を理由にして私を蔑ろにしていたことの謝罪、自分が解決すること、そして私を愛しているということ、落ち着いたら家族で伺うので、義母のそばにいて下さいと、父宛に書かれていた。
ハルがこんな手紙を送っていたなんて知らなかったわ……
手紙を読み終えた私に母は問いかけた
「あなたは今幸せ?」
…………幸せ?
ーーーコンコン
「お母様、お祖母様、呼びに来たよ!ご飯食べよう!」
母は、私をみて、ふふっと笑った
「エリック、ありがとう。さぁ、いきましょう」
食事中は、エリックが毎日どう過ごしているか楽しそうに話しているのを伯爵夫妻は嬉しそうに聞いていた。
そして夜、三人はベッドで寝ていた。
「疲れたんだな、リックはすぐ寝たな」
「そうですね、ずっとはしゃいでいましたね……ねぇ、ハル……」
「なんだ?」
「両親に手紙を送っていたなんて知りませんでした」
「……あぁ」
「ここに連れてくれてありがとうございます。来れてよかったです」
「……そうか」
「母に幸せか聞かれて考えてみたんです」
「………」
「以前の記憶は戻っていませんが、今とても幸せです」
「……そうか」
そう……記憶をなくして誰もわからない状況でも慕ってくれるリック、親切にしてくれる使用人のみんな、私を愛してくれるハルがいて、私は幸せだ。
「……俺も幸せだ」
ハロルドはシャルロットをみて微笑んだ。
「ふふっ。なんか恥ずかしいですね」
「そうだな。……そろそろ寝よう」
「はい。おやすみなさい、ハル」
「おやすみ、シャル」
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読んでいただきありがとうございました。
番外編も完結しました。
近況ボード更新するのでお読みいただけると嬉しいです。
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