目が覚めたら夫と子供がいました

青井陸

文字の大きさ
上 下
10 / 19

10

しおりを挟む

「……日記ですか。」


「あぁ。……以前の君が俺のことをどう思ってるのか…知りたくて……。」 


「…夫婦仲は良くなかったのでしょうか?」


「……あぁ。その、俺のせいなんだ。…女性が苦手で君以外では親しくした人もいない。口下手で、慣れていないんだ…君の前だと緊張してしまう。…君が苦手とかではないんだ………恥ずかしいんだが…俺の一目惚れで結婚したんだ。そのことは以前の君は知らない。俺が恥ずかしくて気持ちを伝えるのを逃げていたんだ。」


「そうですか…。今日、この日記を読んですごして宜しいでしょうか?」


「あぁ。もし読んで……無理に思い出さなくて良い。その……今の君が今後どうしたいか教えてほしい。」


「…わかりました。読んでから考えたいと思います。」


「屋敷のことは気にしなくて良い。エリックのことも俺が1日遊ぶから、ゆっくり読むと良い。」


「ありがとうございます。」


食事を終え、ハロルドはでていった。




…日記………。
以前の自分がどんな人だったか気になっていたから良かったわ。


シャルロットはアンナにお茶をいれてもらい、部屋で早速日記を読み始めた。



日記は今のエリックと同じ4歳の私の誕生日の日から書かれていた。日記は母からもらったようだ。


お母様……

アンナがお母様は私が倒れたときいて静養中の領地で倒れたと言ってたわ。私の意識が戻ったと聞いて安心したと、それからお母様がもう少し良くなってからお父様と一緒に来るとも。
会ったら二人とも覚えてない姿にがっかりするかしら……

この日記からは両親の優しさが伝わってくるわ。こんな私でも、娘のように接してくれるといいな…


シャルロットは日記を読み進めて
いく。



ハロルドと会うまでは、
両親、10歳となる年の離れた弟のことばかり書いてある。


両親からの愛情も感じられるわ。仲の良い家族なのね。


テオドール様のことも書かれているわね。
何かこわい感じだったけど読む限り、領地でよく遊んでくれた優しいお兄さんって感じだわ。
お父様もよくしていたようだし……。






シャルロットが日記を読み終えた頃には、部屋の窓から夕日が差し込んでいた。



もう、こんな時間……



昼食はアンナにサンドイッチを持ってきてもらった際に、シャルロットは夕食も部屋でとりたいとお願いし、ひとりで食べることにした。




日記の私は確かにハロルド様が私に好意を持ってくれているなんて全く知らない感じだった。


一目惚れ……


以前の私が聞いたらどう思うかしら。
お互いに一目惚れだったのね…


胸がじわっとあたたかくなってきた……私、嬉しいと感じてるのね。。

……そう…。


ハロルド様が一目惚れだったと聞いて読んでみると冷たい印象はないわね。

ふふっ、不器用な人なのね。                       



覚えていないが、嬉しいと感じる。……私の中の以前の私が喜んでいるかのように感じる。


ハロルド様は、どうしたいか聞きたいっていってたわ。……離縁するのかしないのかってことよね……??



私は…………






……?
最後のページ……

二枚くっついている…?


シャルロットは端だけ接着しているページを丁寧にはがしていく。


え……なにこれ……




────────────
いつも読んでいただきありがとうございます。


他2作投稿しているのですが、こちらを先に完結させます。
残り5話程です。サクッと進めます。
宜しくお願いします。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。 「…私、間違ってませんわね」 曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話 …だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている… 5/13 ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます 5/22 修正完了しました。明日から通常更新に戻ります 9/21 完結しました また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います

公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。

三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*  公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。  どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。 ※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。 ※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。

婚約破棄された悪役令嬢。そして国は滅んだ❗私のせい?知らんがな

朋 美緒(とも みお)
ファンタジー
婚約破棄されて国外追放の公爵令嬢、しかし地獄に落ちたのは彼女ではなかった。 !逆転チートな婚約破棄劇場! !王宮、そして誰も居なくなった! !国が滅んだ?私のせい?しらんがな! 18話で完結

悪役令嬢の居場所。

葉叶
恋愛
私だけの居場所。 他の誰かの代わりとかじゃなく 私だけの場所 私はそんな居場所が欲しい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ※誤字脱字等あれば遠慮なく言ってください。 ※感想はしっかりニヤニヤしながら読ませて頂いています。 ※こんな話が見たいよ!等のリクエストも歓迎してます。 ※完結しました!番外編執筆中です。

処理中です...