空を飛ぶ能力しかないと思っていましたが、いつの間にかヒーローになってました。

無自信

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第4部 第5話

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「ウ、ウソだろー!」

「うわー!まだ死にたくねぇよー。」と慌てふためく人たちが出る中、校内放送が流れた。

「生徒の皆さんは落ち着いて自分のクラスに戻ってください。自分で判断して避難したりしないでください。生徒の皆さんは…。」

校内放送が流れる中、ヒイロたちは冷静にスマホの画面を見ました。そこには「○○付近に全長10メートル以上の怪物出現」と表示されていた。

「○○ってここから近いね。まぁ、怪物が出現した場所から学校が近いから速報が来たんだけどね。」

チカラがみんなを落ち着かせようと、冷静に発言した。

「慌てなくても大丈夫だと思うよ。政府の政策でこうした有事の際に使えるようにシェルターが造られているから、シェルターに避難すればいいんだよ。」

ヒイロも冷静に状況判断をしていた。

3年前から現れるようになった怪物対策のため、国民の要望もあり、それまで日本にはほとんどなかったシェルターを設置するように国も動いていた。しかし、そう簡単に大勢の人が避難出来るシェルターを設置できるはずもなく、収容できる人数が少ないものがほとんどだった。学校などには積極的に設置するように国や自治体も動いていたが、5年前にできたヒイロたちが通う学校にはまだ設置されておらず、避難する時は近くにある一般の人と同じシェルターに避難するしかなかった。

「でも、シェルターもそんなに数はないし、収容できる人数も限界があるから、チカラみたいに怪物と戦える能力を持った人や僕やヒイロみたいに自力で逃げられる可能性の高い能力を持った人はシェルターに避難出来る優先順位が低かった気がするよ。確か一般の人たちを優先するんじゃなかったっけ?」

ツバサも努めて冷静に質問した。

「あぁ~、そうだったね。僕はそもそも怪物が出現した○○に行こうと思ってたけど、ヒイロとツバサはどうする?」と、チカラがヒイロとツバサに尋ねると、ツバサは即座に「僕は行かないよ!行ったところで僕なんて全然役に立たないからね。シェルターに空きがあったら入れてもらうか、自力で遠くに飛んで逃げるよ。」と、答えた。

「そっか。ヒイロは?」

チカラの問いかけにヒイロはすごく何か葛藤する表情を浮かべていたが、意を決したように「俺は…いや、俺もチカラと一緒に○○に行くよ!今の俺がシェルターに入れてもらえる訳もないし、飛んで逃げたりなんかしたら10日前の日曜日よりもっとSNSで叩かれると思うしね。」

「ホントに良いの?」

チカラは一応ヒイロの覚悟は本物かどうか確かめるため更に尋ねた。

「いい!それに5日前の金曜日、チカラ言ってたじゃん、『俺が本気のスピードで飛べば、絶対に怪物から逃げられる!』って。もしもの時は飛んで逃げるよ。」

「ハハッ。そうだったね。それじゃあ、ツバサとヤハギさんは学校の指示に従ってシェルターに向かう。僕とヒイロは○○に行く、それでいいね?」

「「「うん。」」」

「あっ!」

「どうしたの、ツバサ?」

「ショウがまだ来てない!どうしたんだろう?何かあったのかな?」

「ショウなら今日は学校に来ないよ。要請があって内容は言えない仕事をしてるみたい。だからもしかしたら俺たちよりも安全な場所にいるかもしれないよ。」

ヒイロはショウが登校していない理由をツバサに説明した。

「そっか。それなら良かった。」

「みんないるか?」

ヒイロのクラスの担任教諭が慌てた感じでやって来た。

「他のクラスの生徒は自分のクラスに戻ってくれるか。クラスで点呼を取って、クラスごとにまとまってシェルターに向かうから。」

「分かりました。それじゃあ、ヒイロ!また後で!」

チカラとツバサが自分たちのクラスに戻って行った。
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