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第4部 第3話
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ヒイロのクラスをチカラが覗いてみると、ヒイロは普段と特に変わらず席に着いて隣の席のヤハギ・チヒロと話をしていた。チカラがツバサの方を向いて「ほら、何も変わらないじゃないか!」と言うと、ツバサが「パッと見た感じはね。でもそれは学校にいるからだよ!」と反論してきた。
「えっ?」
「この学校って『光のぬし』から能力を授かった人たちが通っているから、他の人の能力と自分の能力を比べて対抗心や劣等感を抱いている人もいるじゃん。そういう人は能力で誰かが目立つと嫉妬からか、突っかかってくるかその人を無視したりするじゃん。そういう環境だからか、ヒイロも学校では調子に乗った言動はあまりしないんだよ。」
「それじゃヒイロが本当に調子に乗ってるか分からないじゃん!」
「でも、会話の端々にちょっと調子に乗った発言とかがあるから、とりあえず話しかけてみてよ!」
「分かったよ。」
ツバサに促されてチカラはヒイロに話しかけた。
「おはよう、ヒイロ。ヤハギさん。」
「おっ!久しぶりだな、チカラ。おはよう。」
「ウドウくん、退院したんだ!久しぶり!おはよう。」
「ごめんね。ヒイロとヤハギさんが話している途中に割って入って。」
「大丈夫だよ。大した話してないし。それよりも何か話したいことでもあったんじゃないの?」
「あぁ、うん…えーっと…。」
チカラは何も考えずにヒイロに話しかけてしまったので、適当な話題がすぐには思いつかなかった。そこでチカラは「(もういっそ聞いちゃおう。ツバサが言ってることが本当ならそれらしい反応するかもしれないし。)」と思い、「いや~、なんかヒイロが最近周りの人たちにチヤホヤされて調子に乗ってるって話を聞いたからホントかなぁって思って…。」と疑問に思っていたことをヒイロに単刀直入に聞いた。
「チカラ、それ誰に聞いた?」
チカラの質問を聞いたヒイロは真剣な表情で力に聞き返した。
「えっと、その…ツバサに。」
「そっか。それはウソだよ。俺は調子になんか乗ってないよ。」
ヒイロは微笑みながら答えた。
「そっか!それなら良かった!」
「別にチヤホヤされてなんかないし、正当な評価を受けているだけだから。」
「(ん?)」
チカラはヒイロの今の発言が少し引っ掛かった。
「大体、ツバサがおかしいんだよ!自分は読者モデルをしたりしてチヤホヤされているのに、俺の方が注目された途端に俺がおかしくなったとか言い出すしさ。きっと自分よりも人気のある俺に嫉妬してるんだよ!」
「(う~ん、これはツバサのヒイロがおかしくなったっていう発言もちょっと分からなくもないかも。)」
「チカラなら俺の気持ち分かってくれるよね?」
「うん、分かるけど…。」
「おいおい、誰が誰に嫉妬してるって言うんだよ?」
ヒイロの発言に我慢できず、異議を唱えるためにツバサが話に混ざってきた。
「何だ、ツバサいたんだ?誰が誰にって、ツバサが俺にだよ。一昨日、登校中に写真を撮られていた俺を見て、『すごいね!ヒイロは…。』って言ってたじゃん!」
「確かに言ったし、今でもその気持ちは変わらないけど、僕が『ヒイロはおかしい!』って言ってるのは嫉妬からじゃなくて、周りの人たちの態度が変わったのに合わせてヒイロの態度が実際に変わったからおかしいって言ってるんだよ!」
「いやいや、別に変わってないし、それに変わったって言っても、今話題になってる俺に興味を持ってる人たちに対しての態度だけだろ。」
「それは…そうかもしれないけど…。」
「ちょっと2人とも落ち着いて!」
ヒイロの反論に反論できずにいるツバサを援護するためにチカラは2人の間に割って入った。
「何だよ、チカラ?俺は落ち着いてるよ。」
「なら言わせてもらうけど、ヒイロ!確かに今の周りの人たちのヒイロに対する態度の変化は、ヒイロの功績に対して正当な評価だと思うし、ヒイロが喜ぶのもわかる!僕も嬉しいしさ!だけどね、ヒイロ。キミは僕たちへの態度だけは変わってないって言ってるけどそれは違う!以前のヒイロなら『ツバサが自分に嫉妬してる!』なんてツバサを蔑むようなことは言わなかったよ!」
「……。」
チカラの発言が的を射ていたのでヒイロは何も言い返せなかった。
「そうだね。ソラくん、それは良くないかも。」
今まで黙っていたチヒロもチカラの意見に賛同した。
「前の空を飛ぶことしか出来ないことを悩んでいたソラくんの方が良いとは思わないけど、以前のソラくんはツバサくんが載っている雑誌を買ってきたのを見せてくれたり、チカラくんが怪物退治したニュースの話を嬉しそうに話してくれたり、とても友だち想いだったよ。そこは前のソラくんに戻ってほしいな。」
チヒロがしゃべり終わると、ヒイロは申し訳なさそうに「…ツバサごめん。チカラやヤハギさんに言われてやっと分かったよ!俺が周りにチヤホヤされておかしくなってたことに。ホントにごめん!」と、ツバサに謝罪した。
「えっ?」
「この学校って『光のぬし』から能力を授かった人たちが通っているから、他の人の能力と自分の能力を比べて対抗心や劣等感を抱いている人もいるじゃん。そういう人は能力で誰かが目立つと嫉妬からか、突っかかってくるかその人を無視したりするじゃん。そういう環境だからか、ヒイロも学校では調子に乗った言動はあまりしないんだよ。」
「それじゃヒイロが本当に調子に乗ってるか分からないじゃん!」
「でも、会話の端々にちょっと調子に乗った発言とかがあるから、とりあえず話しかけてみてよ!」
「分かったよ。」
ツバサに促されてチカラはヒイロに話しかけた。
「おはよう、ヒイロ。ヤハギさん。」
「おっ!久しぶりだな、チカラ。おはよう。」
「ウドウくん、退院したんだ!久しぶり!おはよう。」
「ごめんね。ヒイロとヤハギさんが話している途中に割って入って。」
「大丈夫だよ。大した話してないし。それよりも何か話したいことでもあったんじゃないの?」
「あぁ、うん…えーっと…。」
チカラは何も考えずにヒイロに話しかけてしまったので、適当な話題がすぐには思いつかなかった。そこでチカラは「(もういっそ聞いちゃおう。ツバサが言ってることが本当ならそれらしい反応するかもしれないし。)」と思い、「いや~、なんかヒイロが最近周りの人たちにチヤホヤされて調子に乗ってるって話を聞いたからホントかなぁって思って…。」と疑問に思っていたことをヒイロに単刀直入に聞いた。
「チカラ、それ誰に聞いた?」
チカラの質問を聞いたヒイロは真剣な表情で力に聞き返した。
「えっと、その…ツバサに。」
「そっか。それはウソだよ。俺は調子になんか乗ってないよ。」
ヒイロは微笑みながら答えた。
「そっか!それなら良かった!」
「別にチヤホヤされてなんかないし、正当な評価を受けているだけだから。」
「(ん?)」
チカラはヒイロの今の発言が少し引っ掛かった。
「大体、ツバサがおかしいんだよ!自分は読者モデルをしたりしてチヤホヤされているのに、俺の方が注目された途端に俺がおかしくなったとか言い出すしさ。きっと自分よりも人気のある俺に嫉妬してるんだよ!」
「(う~ん、これはツバサのヒイロがおかしくなったっていう発言もちょっと分からなくもないかも。)」
「チカラなら俺の気持ち分かってくれるよね?」
「うん、分かるけど…。」
「おいおい、誰が誰に嫉妬してるって言うんだよ?」
ヒイロの発言に我慢できず、異議を唱えるためにツバサが話に混ざってきた。
「何だ、ツバサいたんだ?誰が誰にって、ツバサが俺にだよ。一昨日、登校中に写真を撮られていた俺を見て、『すごいね!ヒイロは…。』って言ってたじゃん!」
「確かに言ったし、今でもその気持ちは変わらないけど、僕が『ヒイロはおかしい!』って言ってるのは嫉妬からじゃなくて、周りの人たちの態度が変わったのに合わせてヒイロの態度が実際に変わったからおかしいって言ってるんだよ!」
「いやいや、別に変わってないし、それに変わったって言っても、今話題になってる俺に興味を持ってる人たちに対しての態度だけだろ。」
「それは…そうかもしれないけど…。」
「ちょっと2人とも落ち着いて!」
ヒイロの反論に反論できずにいるツバサを援護するためにチカラは2人の間に割って入った。
「何だよ、チカラ?俺は落ち着いてるよ。」
「なら言わせてもらうけど、ヒイロ!確かに今の周りの人たちのヒイロに対する態度の変化は、ヒイロの功績に対して正当な評価だと思うし、ヒイロが喜ぶのもわかる!僕も嬉しいしさ!だけどね、ヒイロ。キミは僕たちへの態度だけは変わってないって言ってるけどそれは違う!以前のヒイロなら『ツバサが自分に嫉妬してる!』なんてツバサを蔑むようなことは言わなかったよ!」
「……。」
チカラの発言が的を射ていたのでヒイロは何も言い返せなかった。
「そうだね。ソラくん、それは良くないかも。」
今まで黙っていたチヒロもチカラの意見に賛同した。
「前の空を飛ぶことしか出来ないことを悩んでいたソラくんの方が良いとは思わないけど、以前のソラくんはツバサくんが載っている雑誌を買ってきたのを見せてくれたり、チカラくんが怪物退治したニュースの話を嬉しそうに話してくれたり、とても友だち想いだったよ。そこは前のソラくんに戻ってほしいな。」
チヒロがしゃべり終わると、ヒイロは申し訳なさそうに「…ツバサごめん。チカラやヤハギさんに言われてやっと分かったよ!俺が周りにチヤホヤされておかしくなってたことに。ホントにごめん!」と、ツバサに謝罪した。
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