上 下
9 / 55

第1部 第9話

しおりを挟む
 5人がグラウンドに到着すると、怪物はすでにグラウンドを出て校舎の方に向かっていた。

「作戦通りよろしく頼む!2人とも!」

「わかった!」

そう言ってツバサはチヒロに出してもらったインカムを付け、更にさすまたのようなものを持って怪物の方へと飛んでいった。もう1人の方のヒイロはインカムを付けてさすまたのようなものを持ったまま動かなかった。チヒロは恐怖で動けないのではないかと心配になり「大丈夫、ソラくん?」と聞くとヒイロは意を決したように「ヤハギさん!」と口を開いた。

「ヤハギさん、もしかしたらこうして話せるのは最後になるかもしれないから言うけど、食べたから。」

「えっ食べたって何を?」

「ヤハギさんにもらったエナジーバーちゃんと食べたから!どうしてもこれだけは直接言っておきたくて。」

そう言うとヒイロはスッキリした表情で怪物の方へ飛んでいった。

発言の意味が分からず、ポカンとしていたチヒロに対してショウが「ごめんね、ヤハギさん、説明が足りなくて。ヒイロの奴、ずっと気にしていたんだって。先週の土曜日にヤハギさんからもらったエナジーバーを食べていなかったこと。それを今日学校に来る前に食べたからそれを伝えたかったみたい。今日ヤハギさんとぶつかった時に俺が『まだいてくれて良かった。』って言ったでしょ。あれはヒイロがエナジーバーを食べたことを直接伝えておきたいって言ってたからなんだ。」と補足説明した。

「あっそうだったんだ。すっかり忘れてたよ。」

チヒロはヒイロの発言の意味が理解できてスッキリした表情をしました。

「お互いにスッキリしたところで頼むぞ、ヒイロ!」

「わかってるよ!」

インカムからショウがチヒロに自分の発言の意味を説明しているのを聞いていたヒイロは、ばつが悪そうに答えた。

「まずは怪物をグラウンドに誘導するんだ!ただしサッカー部のグラウンドには倒れている生徒がいるから、隣の陸上部のグラウンドにね!」

「「わかった。」」

怪物をグラウンドに誘導するためにツバサが怪物の周り(怪物がツバサを捕まえようとしてもギリギリ届かない距離)を飛んで注意を引き、ヒイロが後ろからさすまたのようなものでグラウンドの方に押していった。もちろんそんなことをすれば怪物はヒイロに襲い掛かろうとしたが、そうなったらツバサとヒイロの役割を交代してヒイロが怪物の周りを飛んで注意を引き、ツバサが後ろから怪物を押した。それを繰り返して何とか怪物を陸上部のグラウンドまで連れてくることができた。

「よしっ!ここまで来たら後は作戦通りに。」

ショウが作戦通りに事が進んでいくので安心しきっていたら、怪物が急にヒイロたちを捕まえようとするのをやめてしゃがみ込んだ。

「あれっ怪物の奴しゃがんじゃったけどどうしよう、ショウ?」

そう言いながらツバサが高度を下げて怪物に近づいていくと「う~ん。とりあえずさすまた…。」

「ダメ!今すぐ離れて!」

ショウが指示を出そうとしたら急にトモが割り込んできた。ツバサがそれを聞いて怪物に近づくのをやめた瞬間、怪物が地面をけってツバサ目掛けてジャンプしてきた。突然のことでツバサは動けずにいると「ツバサ~!」ヒイロがさすまたのようなもので怪物の横腹を押してツバサから怪物を遠ざけた。怪物は急に体勢を崩されたにもかかわらずきれいに着地した。

「危なかった~!ありがとう!ヒイロ!イヌヤマさん!すごいよ、よくわかったね!」

「怪物がジャンプすればツバサくんを捕まえられるって考えているのが聞こえただけだよ。すごいのは私よりソラくんの方だよ!」

「俺もただ無我夢中だっただけだよ。それよりどうする、ショウ?怪物の奴またしゃがんだけど。」

「むしろまたジャンプさせればいいよ。ジャンプして着地するまでは無防備だからそこを狙えばいいよ。」

「「分かった。」」

ショウの指示にヒイロとツバサが返事をした瞬間、怪物がまたツバサ目掛けてジャンプしてきた。ツバサはさっきよりも高い所を飛んでいたのにもかかわらず、怪物は悠々とツバサの飛んでいる位置までジャンプしてきて、ツバサを捕まえようとしました。しかし今度はツバサも来るのが分かっていたので高度をさらに上げて怪物をかわした。そしてツバサを捕まえられずに落ちていく怪物をヒイロが羽交い締めにした。

「よしっ!そのまま行け~!ヒイロ~!」

ショウの叫び声を合図にヒイロは怪物と一緒に上空へとロケットのように高速で飛んでいった。

「あれっ?そういえば怪物をソラくんが捕まえる所までしか作戦を聞いていなかったんだけど、この後ってどうするの?私はてっきりヒデオさんみたいな人が来るまで捕まえとくものだと思っていたんだけど。」

チヒロが今までなおざりにしてきた疑問をショウにぶつけた。

「ううん。違うよ。ヒイロには怪物を遠くに連れて行ってもらうんだよ。」

「えっ!でも連れて行った先で暴れられたら、そこにいる人たちに迷惑がかかるんじゃない?大丈夫?」

「大丈夫だよ!人なんていないから!あっいや、少しはいるかな。国際宇宙ステーションとかに何人かは。」

「もしかしてヒイロくんの行き先って…。」

「宇宙だよ!」

「「え~!」」

ショウの発言に質問していたチヒロだけでなく、それを聞いていたトモまで驚きの声を上げました。

「宇宙まで飛べるの、ソラくんって?」

「たぶん飛べる。ヒイロの本当の能力なら。」

「ソラくんの能力って『空を飛べる』ってだけじゃなかったの?」

「違うよ。ヒイロが本当に願ったのは『UFOのように飛べるようになりたい!』だから。UFOなら宇宙まで行けても不思議はないでしょ。」

「確かに。でも宇宙のことあまり知らない私でも知ってるけど宇宙って酸素ないんでしょ?ソラくんは宇宙に行っても大丈夫なの?」

「それはもう賭けだね。大丈夫なことを祈るしかないよ。」

そう言ってショウはヒイロが飛んで行って見えなくなった先を見つめていた。


 ゴーッというロケットのような推進剤を燃やしたガスを噴出することもなく、どちらかと言うとスーッという感じでヒイロは怪物を羽交い締めにしたまま宇宙を目指して飛んでいた。

ショウに言われて出来るような気がして怪物を連れて飛び立ったのはいいものの、数分もすれば不安感の方が強くなってきていました。一応ショウに言われた通り、ロケットと同じく東向きに飛び続けていたが、いつまで経っても宇宙に近づいている感じがしなかった。なぜならヒイロの知識でも宇宙には酸素がなくて気温もマイナス何十度以下にもなるということは知っていたので、いつまで経っても息苦しくなることもなく寒く感じることもなかったため、宇宙どころかエベレストの高さにも達していないように思えたからだった。それにたとえ宇宙に行けたとしても、そんな環境でヒイロ自身が無事でいられるかという疑問もあった。

ですが宇宙に到達したか止まって確認する勇気はヒイロにはなかった。確認して宇宙に全然届いていなかった場合、今、羽交い締めにしている怪物をどうやって倒すか考え直さなくてはいけなかったからだった。それだったら宇宙に行けなくともこのままずっと飛んで、全国で出現した怪物を倒し終わるまで時間を稼いでヒデオみたいな怪物を倒す力を持った人にこの怪物を倒してもらおうとヒイロは考えていた。

ヒイロは不安感と恐怖から飛び立った時からずっと目を閉じていましたが、ショウに「ロケットなら10分くらいで宇宙に到達するよ。」と聞いていたので、10分つまり600秒を数えたら怖いけど一度目を開けてみようと思っていた。

「…598、599、600。」とヒイロが600秒を数え終わり恐る恐る目を開けてみると、目に飛び込んできたのは空の青さではなくてほぼ真っ暗な世界だった。ヒイロは飛ぶのを止めて下を見てみると、地球をかなり上空から俯瞰した光景が見えた。今まで映像でしか見たことがない光景だった。

「(ショウの予想が正しければ、これが上空100キロから見える景色か。)」

ヒイロが感慨深げにしていると大事なことに気付いた。

「(そうだ!もう宇宙なのに全然息苦しくないし、全然寒くない。「UFOのように飛べる」って能力は宇宙に行けるだけじゃなくて、ショウが予想した通り宇宙空間でも平気でいられるみたいだな。)」

生きて宇宙に来られたことでヒイロは怪物のことをすっかり忘れていました。

「(そうだ!怪物は?)」とヒイロがやっと怪物に注目すると、体の水分が蒸発してミイラのようになっていた。ヒイロは羽交い締めをやめて手で怪物の体をコンコンと叩いてみましたが、怪物は完全にミイラになっていたのでピクリとも動きませんでした。

「(良かった~!これもショウが予想した通りだ。後はこの怪物が地球から遠く離れる様にしてやればいいんだよな。)」

ヒイロは怪物の体を両手で力いっぱい押した。すると怪物の体はスーッと動いてヒイロから離れていった。ヒイロはしばらく怪物が自分から離れていくのを眺めていたが、怪物が動き出すこともなく遠くに行ったことを確認すると、来た時とは逆に地球の方へ飛んでいった。


「ねぇ、ホントに大丈夫だよね?」

ヒイロが怪物を羽交い締めにして上空へと飛んで行って30分以上経ち、ヒイロの安否を気にしたチヒロがショウに尋ねた。

「たぶん大丈夫だよ。」

ショウがあっけらかんと答えるのでチヒロはますます不安になった。

「たぶんじゃ困るんだよ!たぶんじゃ!ていうか遅すぎない?アカシくんの話じゃ10分くらいで宇宙に行けるんでしょ?そこでミイラになった怪物を放してきて戻ってくるだけなのに時間かかり過ぎじゃない?」

「確かにロケットなら10分で宇宙に行けるって言ったけど、ヒイロはロケットじゃないからもっと時間がかかっているのかもしれないし。それに怪物を放した後また動き出さないか見ているのかもしれないよ。」

ショウの言っていることも一理あるのでチヒロはそれ以上騒ぐのを止めた。

「今は何か地球に下りてくるものはないか、空を見上げているしかないよ。」

「分かった!みんなもお願いね!」

チヒロは周りの生徒たちに依頼した。ショウ、ツバサ、チヒロ、トモ以外の生徒たちは逃げ遅れて、ヒイロが怪物を連れて宇宙へと飛んで行ったのをたまたま見ていて、「何が起こったんだ?」とショウたちのいるグラウンドに集まってきた生徒たちだった。

「あ、あれは何だ?」

空を見上げていた生徒の一人が何か空から下りてくるものを見つけて指差した。

「ホントだ。何だろう?」

「なんかこっちの方に来てない?」

それを見た生徒たちが騒ぎ始めた。

「どこどこ?」

「ほら、あそこ。」

チヒロが落ちてくるものを見ようと生徒が指差す方を見上げた。確かに指差す方を見ると、ゴマと同じくらいの小ささですが何かが下りて来るのが見えた。よく見ようとチヒロは双眼鏡で覗いた。

「あ、ソラくんだ!ソラくんが帰って来た!」

「え!ホントに?」

「ホントだよ!ソラくんが帰って来た!」

チヒロの発言でワーッと歓声が起こった。ヒイロはショウたちがいるグラウンド目掛けて下りてきているらしく、段々と肉眼でも確認できるようになった。そしてショウたちがいるところから少し離れた所に着地した。ショウたちは一斉にヒイロの元へ駆け寄った。

「ヒイロ、怪物はどうなった?」

ショウはヒイロの元へ駆け寄ると誰よりも先に口を開きました。

「ショウ、お前が言った通り、宇宙へ行ったら怪物の奴、ミイラになってたんだよ!だから二度と地球に来ないように力いっぱい押してやったら、スーッと離れて行ったよ!あと宇宙へ行っても俺は息苦しくなかったし、全く寒くなかった!これもショウが予想した通りだった!もしかしてチカラが俺のこと羨ましいと思っているのって、俺が宇宙へ行ける能力があるって知ってたからじゃないの?ショウ、俺の能力をチカラにしゃべっただろ?」

「いや、しゃべってないよ。だから違うと思う。」

「そっか~。違うのか。じゃあ、何でだろう?あれ、みんなどうしたの?」

ヒイロが帰って来た時は周りで騒いでいた生徒たちが段々と静かになったので、ヒイロは不思議に思った。しかも女子の多くが目線をそらしているように感じられた。するとチヒロがエプロンのポケットから取り出せる大きさで一番大きいサイズのタオルを取り出してヒイロに差し出した。

ヒイロが訳も分からずに受け取ると、ショウが「ヒイロ、お前今まっぱだかなんだよ。たぶんお前の体は大丈夫でも、お前が着ていた服は宇宙から戻ってくる時に燃え尽きたみたいだな。ほら、早くタオルを巻きなよ。ヤハギさんはお前が裸をみんなに見られるのが恥ずかしいだろうと思っているんだよ。」と教えてくれた。

それを聞いたヒーローはひどく赤面した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】失くし物屋の付喪神たち 京都に集う「物」の想い

ヲダツバサ
キャラ文芸
「これは、私達だけの秘密ね」 京都の料亭を継ぐ予定の兄を支えるため、召使いのように尽くしていた少女、こがね。 兄や家族にこき使われ、言いなりになって働く毎日だった。 しかし、青年の姿をした日本刀の付喪神「美雲丸」との出会いで全てが変わり始める。 女の子の姿をした招き猫の付喪神。 京都弁で喋る深鍋の付喪神。 神秘的な女性の姿をした提灯の付喪神。 彼らと、失くし物と持ち主を合わせるための店「失くし物屋」を通して、こがねは大切なものを見つける。 ●不安や恐怖で思っている事をハッキリ言えない女の子が成長していく物語です。 ●自分の持ち物にも付喪神が宿っているのかも…と想像しながら楽しんでください。 2024.03.12 完結しました。

<番外編>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います

結城芙由奈 
ファンタジー
< 嫁ぎ先の王国を崩壊させたヒロインと仲間たちの始まりとその後の物語 > 前作のヒロイン、レベッカは大暴れして嫁ぎ先の国を崩壊させた後、結婚相手のクズ皇子に別れを告げた。そして生き別れとなった母を探す為の旅に出ることを決意する。そんな彼女のお供をするのが侍女でドラゴンのミラージュ。皇子でありながら国を捨ててレベッカたちについてきたサミュエル皇子。これはそんな3人の始まりと、その後の物語―。

ニンジャマスター・ダイヤ

竹井ゴールド
キャラ文芸
 沖縄県の手塚島で育った母子家庭の手塚大也は実母の死によって、東京の遠縁の大鳥家に引き取られる事となった。  大鳥家は大鳥コンツェルンの創業一族で、裏では日本を陰から守る政府機関・大鳥忍軍を率いる忍者一族だった。  沖縄県の手塚島で忍者の修行をして育った大也は東京に出て、忍者の争いに否応なく巻き込まれるのだった。

ハレマ・ハレオは、ハーレまない!~億り人になった俺に美少女達が寄ってくる?だが俺は絶対にハーレムなんて作らない~

長月 鳥
キャラ文芸
 W高校1年生の晴間晴雄(ハレマハレオ)は、宝くじの当選で億り人となった。  だが、彼は喜ばない。  それは「日本にも一夫多妻制があればいいのになぁ」が口癖だった父親の存在が起因する。  株で儲け、一代で財を成した父親の晴間舘雄(ハレマダテオ)は、金と女に溺れた。特に女性関係は酷く、あらゆる国と地域に100名以上の愛人が居たと見られる。  以前は、ごく平凡で慎ましく幸せな3人家族だった……だが、大金を手にした父親は、都心に豪邸を構えると、金遣いが荒くなり態度も大きく変わり、妻のカエデに手を上げるようになった。いつしか住み家は、人目も憚らず愛人を何人も連れ込むハーレムと化し酒池肉林が繰り返された。やがて妻を追い出し、親権を手にしておきながら、一人息子のハレオまでも安アパートへと追いやった。  ハレオは、憎しみを抱きつつも父親からの家賃や生活面での援助を受け続けた。義務教育が終わるその日まで。  そして、高校入学のその日、父親は他界した。  死因は【腹上死】。  死因だけでも親族を騒然とさせたが、それだけでは無かった。  借金こそ無かったものの、父親ダテオの資産は0、一文無し。  愛人達に、その全てを注ぎ込み、果てたのだ。  それを聞いたハレオは誓う。    「金は人をダメにする、女は男をダメにする」  「金も女も信用しない、父親みたいになってたまるか」  「俺は絶対にハーレムなんて作らない、俺は絶対ハーレまない!!」  最後の誓いの意味は分からないが……。  この日より、ハレオと金、そして女達との戦いが始まった。  そんな思いとは裏腹に、ハレオの周りには、幼馴染やクラスの人気者、アイドルや複数の妹達が現れる。  果たして彼女たちの目的は、ハレオの当選金か、はたまた真実の愛か。  お金と女、数多の煩悩に翻弄されるハレマハレオの高校生活が、今、始まる。

人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?

石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。 ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。 ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。 「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。 扉絵は汐の音さまに描いていただきました。

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

助けてください!エリート年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません

和泉杏咲
恋愛
両片思いの2人。「年下上司なんてありえない!」 「できない年上部下なんてまっぴらだ」そんな2人は、どうやって結ばれる? 「年下上司なんてありえない!」 「こっちこそ、できない年上の部下なんてまっぴらだ」 思えば、私とあいつは初対面から相性最悪だった! 人材業界へと転職した高井綾香。 そこで彼女を待ち受けていたのは、エリート街道まっしぐらの上司、加藤涼介からの厳しい言葉の数々。 綾香は年下の涼介に対し、常に反発を繰り返していた。 ところが、ある時自分のミスを助けてくれた涼介が気になるように……? 「あの……私なんで、壁ドンされてるんですか?」 「ほら、やってみなよ、体で俺を誘惑するんだよね?」 「はあ!?誘惑!?」 「取引先を陥落させた技、僕にやってみなよ」

新説・鶴姫伝! 日いづる国の守り神 PART6 ~もう一度、何度でも!~

朝倉矢太郎(BELL☆PLANET)
キャラ文芸
長きに渡る日本奪還の戦いも、いよいよこれで最終章。 圧倒的な力を誇る邪神軍団に、鶴と誠はどのように立ち向かうのか!?  この物語、とうとう日本を守りました!

処理中です...