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第46話
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次の日の放課後、いつもの4人で漫画の話をした。
昨日と一昨日はいろいろあり、4人で漫画の話をしなかったので、俺を除く3人は漫画の話で盛り上がっていた。
俺はと言うと、昨日までいろいろあったため、漫画を読む時間を確保するのが難しかったので、あまり話に混ざれずにいた。でも、久しぶりにカジワラと一緒の時間(キョウヘイとハタケもいたが)を過ごすことができて俺はかなり満ち足りていた。
やっぱり、俺はカジワラが好きなんだ!いくらナツキとハナザワさんに俺のことが好きだと言われて心が揺らいでも、カジワラを目の前にするとその心の揺らぎも治まってしまう。というか、今また2人に、「好きだ。」と言われても俺の心は微動だにしないだろう。
俺が謎の自信に満ち溢れていたら、「ねぇ?トツカくんちょっといい?」とカジワラが話しかけてきた。
「ん?何?」
「一昨日の昼休みにトツカくんを訪ねてきた女子いたよね?あの娘、誰?」
無警戒のところにいきなりバットで頭を殴られたかのような衝撃が俺に走った。
「あ、あの娘はその……えーと……。」
そうだよな。あの時、教室にはカジワラもいたんだからハナザワさんが俺を訪ねてきたことを知っていても何ら不思議ではないよな。むしろ今までカジワラが俺にそのことを質問してこなかったことが不思議なくらいだ。
どうする?正直に話すか?いや、カジワラを裏切って2人の女子と付き合うことになったなんて、とてもじゃないが言えそうにない。カジワラが傷つくかもしれな……い?
……いや、待てよ。カジワラは俺の愛人なんだから、俺の彼女が2人になったことぐらいで傷つくだろうか?傷つかないかもしれない。むしろ、「私はトツカくんの愛人なんだから、トツカくんの彼女の数なんて気にしないよ。」と笑って言うかもしれない。それなら、正直に話しても大丈夫かな?
……いや、カジワラがどう思うかも大事だが、俺がカジワラにどう見られたいかも大事だ!彼女を増やしたことを全く隠さずに話すような馬鹿だとカジワラには少しでも思われたくない!俺がちゃんと罪深いことをしているという自覚があり、ホントに好きな人には、それを隠したいという気持ちがあるってことを分かってほしい!でもどうする?俺とハナザワさんの関係をどう説明すればいいんだ?
俺が何て答えればいいか迷っていると、カジワラが、「あの娘……もしかして、この前、図書室でトツカくんが一緒だった娘だよね?」とさらに尋ねてきた。
そうだった!カジワラは図書室で俺とハナザワさんが一緒にいるところを見てたんだった!それなら……。
「そうなんだよ。ハナザワさんって言って、本に詳しそうだったから、いろいろ本のことを聞いているうちに仲良くなったんだ。あの時も俺におすすめの本を貸してくれようとして、教室まで来てくれたんだよ。」
よし!そんなに不自然じゃない感じの嘘を言うことができたぞ!これでカジワラが納得してくれたらいいんだけど……。
「仲良くって、どのぐらい?付き合ったりしてるの?」
「何言ってんだよ!俺の彼女はナツキだけだよ!ハナザワさんは友だちだよ!友だち!」
「ふ~ん?そうなんだ?つまんないの。」
「『つまんない。』ってどういう意味?」
「だって、トツカくんって愛人作るような人だから、2股も普通にするんじゃないかなって思ってさ。」
何言ってんだよ?俺はカジワラとどうしても付き合いたいから、形ばかりの彼女を作ってカジワラに愛人になってもらったのであって、カジワラが普通に付き合ってくれたら、愛人なんて作ってないんだぞ!と言いたくなったけど、それを言うわけにはいかないので、「するわけないだろ!何言ってんだよ!」とだけ言っておいた。
「あははは。私は2股してくれても構わないからね。」
カジワラが笑いながらそう言ったので、「しないよ。絶対!」と言おうとすると、「ダメ!」とハタケが声を張り上げた。
さらにハタケは必死な表情をしながら、「ダメだよ!トツカくん!2股なんて絶対ダメ!」と俺に言い聞かせるように言ってきた。
「落ち着け!ハタケ!大丈夫だよ!絶対しないから!」と答えると、ハタケは落ち着きを取り戻し、「……そう。なら良かった。」と言った。
ハタケのやつ、どうしたんだろう?俺が親友のカジワラと愛人として付き合ってもらうことは気にしなくても、俺が2股するのは気にするのか?ハタケの考えがよく分からないな。
ハタケの謎の気持ちを考えていると、午後5時になってしまったので、4人の漫画談義はお開きになった。
いつもの4人の漫画談義が終わったあと、俺はカジワラとハタケが教室を出ていって下校するまで、カバンに荷物を入れてるふりをしていた。というのも、カジワラとハタケにバレずに図書室へ行こうとしていたからだ。なぜなら、この後ハナザワさんと図書室で待ち合わせしていたからだ。そのことをカジワラとハタケに知られたくない。そのためには、カジワラとハタケよりも後に教室を出て図書室に向かうのが一番楽だと考えた。
目論見通り、カジワラとハタケが教室を出て下校していった後、俺はさらに1,2分待ってから教室を出て図書室へ向かった。
おそらくカジワラとハタケにバレることなく図書室に来ることができた俺は、昨日と同じく図書室のドアの近くで待っていたハナザワさんと合流して図書室に入った。その後は昨日と同じく図書室が閉まるまで図書室で本を読んでいるだけだった。俺は昨日ハナザワさんに薦められた本を読み切っていなかったので、その本を読んでいたら、図書室が閉まる時間になってしまった。
図書室が閉まった後はハナザワさんと一緒に昇降口まで行き、ハナザワさんが下校するのを見送った。ハナザワさんを見送った後、俺はそのまま昇降口でナツキの部活が終わるまで待っていた。15分ぐらいするとナツキが昇降口まで走ってやって来たので、一緒に帰宅した。
ナツキは昨日と同じくハナザワさんと何をしていたのかを聞いてきたので、正直に図書室で本を読んでいたと答えても、ナツキは納得してくれなかった。なので、「ハナザワさんはナツキと俺が何をしてたかなんて聞いて来なかったぞ!」と忠告すると、渋々納得したのか、それ以上問い詰めて来なかった。家に着くと、お互いに、「また明日。」と挨拶して玄関のドアを開けて中に入った。
次の日の木曜日も、いつもの4人で漫画の話をした後、ハナザワさんと図書室で本を読み、ナツキと一緒に下校した。
そして金曜日、いつもの4人で漫画の話をした後、ハナザワさんと図書室で本を読むところまでは前日までと同じだったが、その後が違った。一緒に昇降口に向かってる時に、ハナザワさんが、「あの、トツカ先輩、ちょっといいですか?」と意を決した感じで話しかけてきた。
「どうしたの?」
「あの、次の日曜日、私と県立図書館に行ってくれませんか?」
「え?」
そっか。そうだよな。付き合っているんだから、ナツキと同じくハナザワさんともデートするのが当然だよな。ナツキは嫌がるかもしれないが、そこは平等にしないとな。
「うん。いいよ。」
「本当ですか?」
「うん。断る理由がないからね。」
「ありがとうございます!楽しみにしてます!」
図書館に一緒に行くだけですごく喜んでくれるのはちょっと申し訳ない気持ちになった。
昇降口でハナザワさんを見送った後、ナツキが来るのを待って一緒に帰宅した。
一応、ハナザワさんとデートすることを言っておくか。と思い、ナツキに次の日曜日にハナザワさんと県立図書館に行くことを話すと、ナツキは、「ふーん。そう。」と、あまり関心を示さなかった。
そのことを訝しんだ俺は、「え?気にしないの?俺がハナザワさんとデートすること?」と尋ねた。
するとナツキは、「そりゃ気にはしてるけど、私がセイとデートしてるのに、ハナザワさんとデートしないでとは言えないよ。」と答えた。
「そっか。それなら良かった。」
「何?私が『ハナザワさんとデートするな!』とでも言うと思ったの?」
「うん。そう思ってた。」
「そんなに子供じゃないよ。」
ナツキが気にしないみたいなので、不安材料が減って俺は少しホッとしていた。
家に着くといつも通り、「また明日。」と挨拶して家の中に入った。夕飯を食べてお風呂に入って自分の部屋に行きスマホを開くと、ハナザワさんから、「日曜日はよろしくお願いします。」とメッセージが来ていた。「こちらこそよろしく。」と返信してベッドに横になって図書室から借りた本を読み始めた。
本を読みながら、そういえばハナザワさんから初めてメッセージが来たな。と考えてるうちにいつの間にか眠ってしまった。
昨日と一昨日はいろいろあり、4人で漫画の話をしなかったので、俺を除く3人は漫画の話で盛り上がっていた。
俺はと言うと、昨日までいろいろあったため、漫画を読む時間を確保するのが難しかったので、あまり話に混ざれずにいた。でも、久しぶりにカジワラと一緒の時間(キョウヘイとハタケもいたが)を過ごすことができて俺はかなり満ち足りていた。
やっぱり、俺はカジワラが好きなんだ!いくらナツキとハナザワさんに俺のことが好きだと言われて心が揺らいでも、カジワラを目の前にするとその心の揺らぎも治まってしまう。というか、今また2人に、「好きだ。」と言われても俺の心は微動だにしないだろう。
俺が謎の自信に満ち溢れていたら、「ねぇ?トツカくんちょっといい?」とカジワラが話しかけてきた。
「ん?何?」
「一昨日の昼休みにトツカくんを訪ねてきた女子いたよね?あの娘、誰?」
無警戒のところにいきなりバットで頭を殴られたかのような衝撃が俺に走った。
「あ、あの娘はその……えーと……。」
そうだよな。あの時、教室にはカジワラもいたんだからハナザワさんが俺を訪ねてきたことを知っていても何ら不思議ではないよな。むしろ今までカジワラが俺にそのことを質問してこなかったことが不思議なくらいだ。
どうする?正直に話すか?いや、カジワラを裏切って2人の女子と付き合うことになったなんて、とてもじゃないが言えそうにない。カジワラが傷つくかもしれな……い?
……いや、待てよ。カジワラは俺の愛人なんだから、俺の彼女が2人になったことぐらいで傷つくだろうか?傷つかないかもしれない。むしろ、「私はトツカくんの愛人なんだから、トツカくんの彼女の数なんて気にしないよ。」と笑って言うかもしれない。それなら、正直に話しても大丈夫かな?
……いや、カジワラがどう思うかも大事だが、俺がカジワラにどう見られたいかも大事だ!彼女を増やしたことを全く隠さずに話すような馬鹿だとカジワラには少しでも思われたくない!俺がちゃんと罪深いことをしているという自覚があり、ホントに好きな人には、それを隠したいという気持ちがあるってことを分かってほしい!でもどうする?俺とハナザワさんの関係をどう説明すればいいんだ?
俺が何て答えればいいか迷っていると、カジワラが、「あの娘……もしかして、この前、図書室でトツカくんが一緒だった娘だよね?」とさらに尋ねてきた。
そうだった!カジワラは図書室で俺とハナザワさんが一緒にいるところを見てたんだった!それなら……。
「そうなんだよ。ハナザワさんって言って、本に詳しそうだったから、いろいろ本のことを聞いているうちに仲良くなったんだ。あの時も俺におすすめの本を貸してくれようとして、教室まで来てくれたんだよ。」
よし!そんなに不自然じゃない感じの嘘を言うことができたぞ!これでカジワラが納得してくれたらいいんだけど……。
「仲良くって、どのぐらい?付き合ったりしてるの?」
「何言ってんだよ!俺の彼女はナツキだけだよ!ハナザワさんは友だちだよ!友だち!」
「ふ~ん?そうなんだ?つまんないの。」
「『つまんない。』ってどういう意味?」
「だって、トツカくんって愛人作るような人だから、2股も普通にするんじゃないかなって思ってさ。」
何言ってんだよ?俺はカジワラとどうしても付き合いたいから、形ばかりの彼女を作ってカジワラに愛人になってもらったのであって、カジワラが普通に付き合ってくれたら、愛人なんて作ってないんだぞ!と言いたくなったけど、それを言うわけにはいかないので、「するわけないだろ!何言ってんだよ!」とだけ言っておいた。
「あははは。私は2股してくれても構わないからね。」
カジワラが笑いながらそう言ったので、「しないよ。絶対!」と言おうとすると、「ダメ!」とハタケが声を張り上げた。
さらにハタケは必死な表情をしながら、「ダメだよ!トツカくん!2股なんて絶対ダメ!」と俺に言い聞かせるように言ってきた。
「落ち着け!ハタケ!大丈夫だよ!絶対しないから!」と答えると、ハタケは落ち着きを取り戻し、「……そう。なら良かった。」と言った。
ハタケのやつ、どうしたんだろう?俺が親友のカジワラと愛人として付き合ってもらうことは気にしなくても、俺が2股するのは気にするのか?ハタケの考えがよく分からないな。
ハタケの謎の気持ちを考えていると、午後5時になってしまったので、4人の漫画談義はお開きになった。
いつもの4人の漫画談義が終わったあと、俺はカジワラとハタケが教室を出ていって下校するまで、カバンに荷物を入れてるふりをしていた。というのも、カジワラとハタケにバレずに図書室へ行こうとしていたからだ。なぜなら、この後ハナザワさんと図書室で待ち合わせしていたからだ。そのことをカジワラとハタケに知られたくない。そのためには、カジワラとハタケよりも後に教室を出て図書室に向かうのが一番楽だと考えた。
目論見通り、カジワラとハタケが教室を出て下校していった後、俺はさらに1,2分待ってから教室を出て図書室へ向かった。
おそらくカジワラとハタケにバレることなく図書室に来ることができた俺は、昨日と同じく図書室のドアの近くで待っていたハナザワさんと合流して図書室に入った。その後は昨日と同じく図書室が閉まるまで図書室で本を読んでいるだけだった。俺は昨日ハナザワさんに薦められた本を読み切っていなかったので、その本を読んでいたら、図書室が閉まる時間になってしまった。
図書室が閉まった後はハナザワさんと一緒に昇降口まで行き、ハナザワさんが下校するのを見送った。ハナザワさんを見送った後、俺はそのまま昇降口でナツキの部活が終わるまで待っていた。15分ぐらいするとナツキが昇降口まで走ってやって来たので、一緒に帰宅した。
ナツキは昨日と同じくハナザワさんと何をしていたのかを聞いてきたので、正直に図書室で本を読んでいたと答えても、ナツキは納得してくれなかった。なので、「ハナザワさんはナツキと俺が何をしてたかなんて聞いて来なかったぞ!」と忠告すると、渋々納得したのか、それ以上問い詰めて来なかった。家に着くと、お互いに、「また明日。」と挨拶して玄関のドアを開けて中に入った。
次の日の木曜日も、いつもの4人で漫画の話をした後、ハナザワさんと図書室で本を読み、ナツキと一緒に下校した。
そして金曜日、いつもの4人で漫画の話をした後、ハナザワさんと図書室で本を読むところまでは前日までと同じだったが、その後が違った。一緒に昇降口に向かってる時に、ハナザワさんが、「あの、トツカ先輩、ちょっといいですか?」と意を決した感じで話しかけてきた。
「どうしたの?」
「あの、次の日曜日、私と県立図書館に行ってくれませんか?」
「え?」
そっか。そうだよな。付き合っているんだから、ナツキと同じくハナザワさんともデートするのが当然だよな。ナツキは嫌がるかもしれないが、そこは平等にしないとな。
「うん。いいよ。」
「本当ですか?」
「うん。断る理由がないからね。」
「ありがとうございます!楽しみにしてます!」
図書館に一緒に行くだけですごく喜んでくれるのはちょっと申し訳ない気持ちになった。
昇降口でハナザワさんを見送った後、ナツキが来るのを待って一緒に帰宅した。
一応、ハナザワさんとデートすることを言っておくか。と思い、ナツキに次の日曜日にハナザワさんと県立図書館に行くことを話すと、ナツキは、「ふーん。そう。」と、あまり関心を示さなかった。
そのことを訝しんだ俺は、「え?気にしないの?俺がハナザワさんとデートすること?」と尋ねた。
するとナツキは、「そりゃ気にはしてるけど、私がセイとデートしてるのに、ハナザワさんとデートしないでとは言えないよ。」と答えた。
「そっか。それなら良かった。」
「何?私が『ハナザワさんとデートするな!』とでも言うと思ったの?」
「うん。そう思ってた。」
「そんなに子供じゃないよ。」
ナツキが気にしないみたいなので、不安材料が減って俺は少しホッとしていた。
家に着くといつも通り、「また明日。」と挨拶して家の中に入った。夕飯を食べてお風呂に入って自分の部屋に行きスマホを開くと、ハナザワさんから、「日曜日はよろしくお願いします。」とメッセージが来ていた。「こちらこそよろしく。」と返信してベッドに横になって図書室から借りた本を読み始めた。
本を読みながら、そういえばハナザワさんから初めてメッセージが来たな。と考えてるうちにいつの間にか眠ってしまった。
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