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第30話

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 教室に一人きりになった俺は、スマホで学校近辺のカジワラと2人で話しながら飲食できる店を探していた。

「おしゃれ カフェ」とか「おしゃれ スイーツが食べられるお店」などと検索して出て来る店の外観やメニューの写真を片っ端から見て、どの店がいいか考えた。

ここはちょっとメニューの値段が高いかな?カジワラは俺の愛人だから、俺が全額おごらなきゃいけない気がするので、あまり値段が高い所は行けないな。

そういえば、ナツキは何も言わなかったけど、ナツキは一応俺の彼女だから昨日のハンバーガー代も俺がナツキの分も払うべきだったのかな?いやいや、高校生のカップルで彼氏がデートとかの費用を全部払っているカップルはそんなにいないはずだ。俺の完全な予想だけど、そうであってほしい。まあ、ポテトはおごったわけだし、そんなにひどい彼氏ではなかったはずだ。

俺が昨日のナツキとのお食事デート?での自分のふるまいに対して言い訳し始めていたが、今はそんなことをしている場合じゃないことに気が付き、再び明日のカジワラと行くお店を探し始めた。

学校からお店までの距離や普段カジワラと学校から駅まで一緒に行く道沿いにあるかどうかなどの条件を加えて、一応2軒にまでお店を絞った。

1軒はいかにもインスタなどに写真を上げる女子高校生たちが好きそうな、色彩豊かな(悪く言えば奇抜で派手な色をした)外観をしていて、メニューもいわゆる女子高校生が好きそうな物ばかりのメインターゲットを若い女性にしてそうなお店だった。

もう1軒は落ち着いた雰囲気の外観をしているが、メニューは写真映えしそうな物ばかりの大人のカップルも使えそうなお店だった。

1軒目は大体の女子高校生は好きそうな外観とメニューだが、カジワラの性格や俺の知り得る限りの好みを考えるとあまり適さないお店に思えた。何よりカジワラと一緒とはいえ、男子高校生が入るにはかなり勇気がいるお店に思えた。

そう考えるともう1軒のお店一択に思えてくるが、ちょっと外観が落ち着きすぎていて高校生のカップルが行くには大人っぽ過ぎるかもしれない。それに一応女子高校生のカジワラは1軒目のようなお店が好きかもしれないという気もしてくる。

あー!全然決められない!どうしたらいいんだ?……やっぱりここは誰かからの助言をもらうしかないよな。

誰に聞く?俺がカジワラと付き合っていることを知っている人の方がいいよな。てことはキョウヘイか?いや、男子高校生の好みを聞くのならキョウヘイが適任だけど、今回は女子高校生の好みを知りたいんだから女子の方がいいよな。

てことはナツキの方がいいかな?一応あいつも女子高校生だからキョウヘイよりは当てになるよな。……でもホントにナツキでいいのか?ナツキとカジワラは正反対とは言わないがかなり性格や好みが違う。もっとカジワラと好みが似ている人はいないかな?

と言っても、俺の女子の友だちはナツキとカジワラとハタケだけだからな……。あ!もうナツキは俺の彼女でカジワラは俺の愛人だから友だちはハタケだけか。ん?ハタケだけ?いや、ハタケがいるじゃんか!ハタケはカジワラの親友だからカジワラの好みに詳しいだろうから一番の適任じゃん!そうだよ!ハタケに聞こう!……でも一応ナツキにも保険として聞いておこう。

俺はハタケとナツキに助言をもらうことに決めて、ラインで2人に送るメッセージを考え始めた。
 

 まずはメッセージを考えやすいナツキに送るメッセージから考え始めた。

「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、デートで行くんだったらどっちの店がいい?」

こんな感じでいいよな。あとは店の外観の画像を一緒に送って。これでよしっ!

次はハタケに送るメッセージを考えよう。ハタケは関係者ではあるけど俺と付き合っているわけではないから、こんなことを聞くのは少し恥ずかしいのだが、今はそんなことを言ってられない!まあ、ハタケが俺からこんな質問が来たんだけど。とカジワラや他の奴に言いふらしたりする性格の奴ではないのが救いではあるけど。えーと、どんなふうに聞けばいいかな?

「ちょっと質問があるんだけどいいかな?実はカジワラと明日行こうと思っている店を迷っているんだ。2軒までは絞ったんだけど、どっちがカジワラの好みか教えてくれない?」

こんな感じでいいかな。よくよく考えたら、ハタケとはラインのIDを交換したが、あまりメッセージを送ったことがないことに気が付いた。俺とキョウヘイとカジワラとハタケのグループラインでならメッセージを送ったことはあるが、それでは感じたことがない緊張を感じた。友だちとは言え、こんなメッセージがいきなり送られてきて、「キモッ。」と思わないだろうか?と一瞬心配になったが、ハタケはそんな奴じゃないな。と考え直した。

それでも一抹の不安は拭えなかったが、えーい!送ってしまえ!と勢いで送ってしまった。

スマホで今の時間を確認すると、午後6時5分だったので、もう店はやっていないかもしれないが、実際に行ってみて外観を確認しておこうと考え、すぐに下校して店に向かった。

実際に見てみると色彩豊かな外観の店はそれほど派手ではなく、落ち着いた雰囲気の外観の店はちょっと雰囲気が暗いかなと思った。店を見に行った時間帯が写真で見たのと違い、ほぼ夜だったのでそれもあるかなとは思った。結局どっちがいいかは決められなかった。

2軒の店の外観を確認して自宅へと帰っている途中でラインのメッセージの着信音が鳴った。ナツキとハタケ、どっちからの返信かな?とスマホを確認するとハタケからの返信だった。

「レーちゃんの好みだと2軒目のお店かな。1軒目のようなお店はあまり好きじゃないと思う。たぶんだけどね。」という内容の返信だった。

ハタケの意見だと落ち着いた雰囲気の外観をした店の方がいいとのことだった。これで7割ほどは決まったと言ってもいいのだが、一応ナツキの意見も待ってから決めることにした。ハタケには、「ありがとう。参考になった。」とお礼の返信を送った。


 家に着いて夕飯を食べ終えてお風呂に入ってから自室へ行きスマホを確認すると、ナツキからの返信が来ていた。

「これって私とのデートで行くお店?それともカジワラさんとのデートで行くお店?」と質問を質問で返す内容の返信だった。

嘘をついてもしょうがないので、「カジワラとのデートで行く店だよ。だけどナツキとのデートでは行かないという訳ではないよ。」と返信すると、数分後にナツキからの返信が来た。

「カジワラさんの好みは分からないけど、私の好みでは2軒目のお店がいいかな。1軒目のお店は入るのが少し恥ずかしいかな。」という内容の返信だった。

ハタケだけでなくナツキも落ち着いた雰囲気の外観をした店がいいという意見だったので、2軒目のお店に行くことに決めた。

これで明日の準備は大丈夫だな。安心して眠れそうだ。

ナツキには、「ありがとう。参考になった。」と返信して、俺はベッドに横になった。
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