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夜の大学は深閑としている。七時限目が終わった直後は、教場から多くの学生が流れ出てくる。ただ、昼間と違って、学生は大学に留まらず一直線に駅を目指す。そのため、午後九時過ぎになると、大学構内に人気はない。
太一は、サークルの部室に寄った。部室には、先輩の白井さんしかいなかった。パソコンに向かって何か作業をしている。
「お疲れ様です」
白井さんは手を止めて「お疲れ」と太一に言った。
「太一くん、ちょっと疲れてない?」
白井さんが心配そうな表情で訊いてくる。
「最近、あまり眠れなくて」
「試験勉強?」
「色々と将来のことを考えていたら……」
「考えていたら?」
「すみません、レポートか何か作ってますよね?俺、すぐ帰りますから」
「いいのよ。それにちょうど行き詰ってたところなのよ」
白井さんは座っている椅子を反転させ、こちらに向き直り、立ち上がった。
「コーヒーでも飲む?カフェインでますます眠れなくなっちゃうかな?」
太一は苦笑する。
「そうですね。昼も飲んだし遠慮しておきます。でも、お気づかいありがとうございます」
「お茶淹れるね。少し待って」
お茶にもカフェインは入っているんじゃないだろうか、という言葉は飲み込んでおいた。
「寝不足なの?」と言われた。
太一は「そうなんです」と首肯した。
「顔色良くないもんね。風邪も流行ってるから気を付けないとね。睡眠は大事だよ」
「何か悩みでもあるのかな?」
白井さんはカウンセラーを目指していただけあって、優しく語りかけてくる。
卒業したあと、白井さんとも疎遠になっていた。今はどうしているのだろうかと、もう一人の俯瞰している太一は思った。
「移動する?ご飯でも行こうか?」
太一は、サークルの部室に寄った。部室には、先輩の白井さんしかいなかった。パソコンに向かって何か作業をしている。
「お疲れ様です」
白井さんは手を止めて「お疲れ」と太一に言った。
「太一くん、ちょっと疲れてない?」
白井さんが心配そうな表情で訊いてくる。
「最近、あまり眠れなくて」
「試験勉強?」
「色々と将来のことを考えていたら……」
「考えていたら?」
「すみません、レポートか何か作ってますよね?俺、すぐ帰りますから」
「いいのよ。それにちょうど行き詰ってたところなのよ」
白井さんは座っている椅子を反転させ、こちらに向き直り、立ち上がった。
「コーヒーでも飲む?カフェインでますます眠れなくなっちゃうかな?」
太一は苦笑する。
「そうですね。昼も飲んだし遠慮しておきます。でも、お気づかいありがとうございます」
「お茶淹れるね。少し待って」
お茶にもカフェインは入っているんじゃないだろうか、という言葉は飲み込んでおいた。
「寝不足なの?」と言われた。
太一は「そうなんです」と首肯した。
「顔色良くないもんね。風邪も流行ってるから気を付けないとね。睡眠は大事だよ」
「何か悩みでもあるのかな?」
白井さんはカウンセラーを目指していただけあって、優しく語りかけてくる。
卒業したあと、白井さんとも疎遠になっていた。今はどうしているのだろうかと、もう一人の俯瞰している太一は思った。
「移動する?ご飯でも行こうか?」
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