19 / 172
18. 思案 ~悩み抜いて考えたらあとは前に進むだけ~
しおりを挟む
昨日、ボツリヌス菌のボトックス注射を打ったが、今のところ、大きな変化はない。
八時に起床。前日に薬を飲んだからだろうか、寝起きが悪い。
九時に家を出て、車で将棋会館に向かった。もちろん、妻の運転だ。妻のお父さん、つまり、子供たちにとっておじいちゃんも同乗した。おじいちゃんは、もう六十五歳だが、二十代の頃に、プロ棋士に指導してもらっていたらしい。免状と呼ばれる段位の認定証書で、二段を持っている。最盛期はアマチュア四段くらいの実力はあったようだ。(将棋の免状申請は高額なため、二段までしかしていない)因みに、将棋の免状には名人と竜王が署名をする。(今なら佐藤天彦名人と羽生善治竜王ということになる)当時は、名人しかなかったのだが、その署名はなんとあのひふみんこと「加藤一二三」名人だった。加藤一二三は、名人は一期しか獲得していないので、貴重な免状だ。
将棋会館に、子供たちを送り届けて、母親を乃木坂駅近くの新国立劇場美術館で降ろす。母はずっと絵を描いている。父が52歳で亡くなったが、その前からも描いており、父が亡くなってからも、今までずっと家のアトリエで絵を描き続けている。賞も取ったりしているようで、生きがいがあっていいと思う。父が亡くなったとき、母は48歳くらいだろう。私は東京、妹は京都だったので、そこから20年近く、母は一人で暮らしている。働いていないので、ある意味気楽だけれど、孤独な日々もあったろう。そういう素振りは見たことはないが。
子供たちはおじいちゃんに託して、夫婦で北千住丸井まで来る。フードコートで、タコ焼きを食べた。妻は、好物のワカメうどん。右手を添えて、肘をついて食べないといけないので、周囲が気になる。行儀が悪いと思われるだろうが、仕方ない。いつものように、右で首や顎を固定して、左手で箸を使う。
タコ焼き八個中六個を食し、残りを妻に食べてもらう。うどんを少しもらい昼食を終える。
そういえば、おじいちゃんの誕生日でもあったが、すっかり忘れていた。
「連絡ないね」
「今日も昇級できなかったのかな」と私は肩を落とす。
詰将棋も三手詰めをスイスイ解くので、今日は昇級だろうと思っていた。
結局、昇級はできなかったようだ。2勝1敗。またか。ここのところ、毎回2勝1敗だ。
今は子供の成長くらいしか楽しみがない。
自分自身の生きている証をどうするか。思案した結果、何点か決心した。
※副題は「高橋優」さんの「未だ見ぬ星座」の歌詞の一部です。
八時に起床。前日に薬を飲んだからだろうか、寝起きが悪い。
九時に家を出て、車で将棋会館に向かった。もちろん、妻の運転だ。妻のお父さん、つまり、子供たちにとっておじいちゃんも同乗した。おじいちゃんは、もう六十五歳だが、二十代の頃に、プロ棋士に指導してもらっていたらしい。免状と呼ばれる段位の認定証書で、二段を持っている。最盛期はアマチュア四段くらいの実力はあったようだ。(将棋の免状申請は高額なため、二段までしかしていない)因みに、将棋の免状には名人と竜王が署名をする。(今なら佐藤天彦名人と羽生善治竜王ということになる)当時は、名人しかなかったのだが、その署名はなんとあのひふみんこと「加藤一二三」名人だった。加藤一二三は、名人は一期しか獲得していないので、貴重な免状だ。
将棋会館に、子供たちを送り届けて、母親を乃木坂駅近くの新国立劇場美術館で降ろす。母はずっと絵を描いている。父が52歳で亡くなったが、その前からも描いており、父が亡くなってからも、今までずっと家のアトリエで絵を描き続けている。賞も取ったりしているようで、生きがいがあっていいと思う。父が亡くなったとき、母は48歳くらいだろう。私は東京、妹は京都だったので、そこから20年近く、母は一人で暮らしている。働いていないので、ある意味気楽だけれど、孤独な日々もあったろう。そういう素振りは見たことはないが。
子供たちはおじいちゃんに託して、夫婦で北千住丸井まで来る。フードコートで、タコ焼きを食べた。妻は、好物のワカメうどん。右手を添えて、肘をついて食べないといけないので、周囲が気になる。行儀が悪いと思われるだろうが、仕方ない。いつものように、右で首や顎を固定して、左手で箸を使う。
タコ焼き八個中六個を食し、残りを妻に食べてもらう。うどんを少しもらい昼食を終える。
そういえば、おじいちゃんの誕生日でもあったが、すっかり忘れていた。
「連絡ないね」
「今日も昇級できなかったのかな」と私は肩を落とす。
詰将棋も三手詰めをスイスイ解くので、今日は昇級だろうと思っていた。
結局、昇級はできなかったようだ。2勝1敗。またか。ここのところ、毎回2勝1敗だ。
今は子供の成長くらいしか楽しみがない。
自分自身の生きている証をどうするか。思案した結果、何点か決心した。
※副題は「高橋優」さんの「未だ見ぬ星座」の歌詞の一部です。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
普通に生きられなかった私への鎮魂歌
植田伊織
エッセイ・ノンフィクション
統合失調症の母にアスペ父
そんな私はadhd
不登校、適応障害、癌化する腫瘍を摘出した先には障害児育児が待っていました。
人生、山少な目 谷多めの作者が、自己肯定感を取り戻すために文章を書くことにしました。
日常の事、乗り越えたい事、昔のことなどなど、雑多に書いてゆくことで、無念が昇華できたらいいなぁと思います。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【完結】初めてアルファポリスのHOTランキング1位になって起きた事
天田れおぽん
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスのHOTランキング一位になった記念のエッセイです。
なかなか経験できないことだろうし、初めてのことなので新鮮な気持ちを書き残しておこうと思って投稿します。
「イケオジ辺境伯に嫁げた私の素敵な婚約破棄」がHOTランキング一位になった2022/12/16の前日からの気持ちをつらつらと書き残してみます。

帰って来た!B型の、B型による、B型に困っている人の為の説明書!
メカ
エッセイ・ノンフィクション
呼ばれてないけど帰ってきました。第二弾!
今回は、いろんな童話や出来事にB型を当てはめたりしながら
面白可笑しく、B型を説明できればなぁ・・・なんて思ってます!
是非是非、よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる