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「モンスター」 ~あいつの正体~
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週明けの月曜日。
首の症状は悪化の一途をたどっていた。悪くなる一方だ。
仕事との兼ね合いで、週のうちのどこかで病院に行こう
とは思っていたが、もはやそんな悠長なことは言っていられなかった。
急遽、上司に連絡を取り休暇をもらった。
事前に「大きな病院がいい」と
アドバイスをもらっていたので、
大学病院のホームページを開く。
一番、近い大学病院に決めた。
「何科だろうね?」
妻に相談する。
目ぼしいところは、「神経科」「精神科」「整形外科」などだろう。
「精神科」は要予約で却下。
「整形外科」は、以前行った街医者のおじいちゃんからレントゲンを撮ってももらった際に、
「首の骨などの異常ではない」と言われていた。
結局、残った選択肢は「神経科」だ。
小糠雨の中、妻の運転で、
大学病院に向かった。
妻は運転が苦手だった。
緊張がこちらにも伝わってくる。
運転もできない身体になってきたことを思うと、
急に情けない気持ちになってきた。
狭隘な道を何とか抜けると、
病院が見えてきた。
早く何の病気なのか、
それだけが知りたい。
病院の駐車場が見えてくる。
瞳孔が開きっぱなしの妻は、出口のバーが下がっている方に
車を向かわせていく。
「そっちは出口だよ」
なんとか首を曲げて、ハンドルを切る直前に指摘する。
油断ならない。
車を駐車して、
不安を抱えながら、まずは受付を目指す。
首は右へ右へ回ろうとするので、
妻に左に立ってもらう。
左が向けないので、危険なのだ。
受付は月曜日の九時過ぎだというに、
人でごった返していた。
首が右へ向いたまま、
歩いていると、すれ違う人は訝しげな表情を浮かべる。
病院にはあらゆる病人がいるけれど、
それでも私の外見は奇異に見えるのだろうか。
それとも、ただの思い込みなのか。
好奇な目で見られている気がしないでもない。
自分の首が何かモンスターに乗っ取れた。
そんなことを考えながら、受付に到着した。
もうすぐ、このモンスターの正体がわかる。
※4話目の副題
Mr.childrenの「Stating Over」の歌詞の一部です。
首の症状は悪化の一途をたどっていた。悪くなる一方だ。
仕事との兼ね合いで、週のうちのどこかで病院に行こう
とは思っていたが、もはやそんな悠長なことは言っていられなかった。
急遽、上司に連絡を取り休暇をもらった。
事前に「大きな病院がいい」と
アドバイスをもらっていたので、
大学病院のホームページを開く。
一番、近い大学病院に決めた。
「何科だろうね?」
妻に相談する。
目ぼしいところは、「神経科」「精神科」「整形外科」などだろう。
「精神科」は要予約で却下。
「整形外科」は、以前行った街医者のおじいちゃんからレントゲンを撮ってももらった際に、
「首の骨などの異常ではない」と言われていた。
結局、残った選択肢は「神経科」だ。
小糠雨の中、妻の運転で、
大学病院に向かった。
妻は運転が苦手だった。
緊張がこちらにも伝わってくる。
運転もできない身体になってきたことを思うと、
急に情けない気持ちになってきた。
狭隘な道を何とか抜けると、
病院が見えてきた。
早く何の病気なのか、
それだけが知りたい。
病院の駐車場が見えてくる。
瞳孔が開きっぱなしの妻は、出口のバーが下がっている方に
車を向かわせていく。
「そっちは出口だよ」
なんとか首を曲げて、ハンドルを切る直前に指摘する。
油断ならない。
車を駐車して、
不安を抱えながら、まずは受付を目指す。
首は右へ右へ回ろうとするので、
妻に左に立ってもらう。
左が向けないので、危険なのだ。
受付は月曜日の九時過ぎだというに、
人でごった返していた。
首が右へ向いたまま、
歩いていると、すれ違う人は訝しげな表情を浮かべる。
病院にはあらゆる病人がいるけれど、
それでも私の外見は奇異に見えるのだろうか。
それとも、ただの思い込みなのか。
好奇な目で見られている気がしないでもない。
自分の首が何かモンスターに乗っ取れた。
そんなことを考えながら、受付に到着した。
もうすぐ、このモンスターの正体がわかる。
※4話目の副題
Mr.childrenの「Stating Over」の歌詞の一部です。
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