6 / 11
憧憬6
しおりを挟む
「俺のことを好きになって欲しいからなんですよ」
目の前の男はこう言った。
でも俺は別にその男に嫌気を感じたことがなかったので。
「俺、別に藤咲の事。嫌い…じゃない、よ?」
と反論?した。
その言葉に穏やかな笑みを浮かべながら。
「ありがと」
と、お礼を言いつつ。
「……──でも」
と、俺との距離を縮めようと前のめりになってベッドに片脚を乗せてくる。
「あのね美波さん。普通の好きじゃこんな事しないでしょ?」
……こんな事。
…………コンナコト。
………………。
数時間前の、己の痴態の数々が走馬灯のように頭を巡る。
「……ッッ!!」
耳が熱い。
恥ずかしさで死んでしまいたい。
「あ、顔真っ赤。美波さん可愛い~~」
「ぅぅうるさいッッ!!」
「ごめんごめん。でも俺のこと考えてくれてたんですよね、嬉しいなぁ」
あ、笑ってる。
たおやかに微笑む藤咲は美しくて。
ちょっとだけ、見惚れてしまう。
「それに美波さんさ。俺なしじゃイケない身体になっちゃったみたいだし」
え?
違う。
そんなんじゃない。
そんなんじゃない。
違…う……。
「違わないでしょ?……ほら」
「ァあッッ!?」
藤咲の右手が俺自身をやんわりと握る。
「やめて藤咲……」
くちゅ。
わざと、すごく遅緩な速度で。
くちゃ。
指に緩急をつけながら上下に擦られる。
「あ、ァァッ!…あっん…や、だァァ…」
「めっちゃ感じてんじゃん」
分かりたくない。
「あっふ、ぅん…ァ、や、やぁ…ァァ……」
嫌なのに。
もどかしい。
「や、っだぁぁ、もうやぁァァ…ッん…」
嫌なのに。
じれったい。
「嫌なの?しょうがないなぁ」
嫌なのに。
もっと、もっと速く────
パッと。
何事もなかったかのように手離される。
「え……っ?」
手離されて。
放されて。
俺は。
俺は……。
俺は……──
「言わなきゃ、分かんないよ?」
俺は。
「ねえ。……美波さん」
俺は……。
「俺の前でだけ。素直になって?」
耳元で囁かれる甘美な声に。
「ぁ…ァァ……ぁ……」
俺は。
もう────
「ふ…藤咲に触ってもらうと気持ちイィの……ッ!…俺だけじゃ満足出来ないから…お願い……だから…ぁ……ッ」
「俺は美波さんに触ってもイイの?」
「さ、触って…、触って、お願い触って…俺、藤咲に触られたい……!」
生唾を呑む音が聴こえた。
「アッッッんンン!!あぅ!あはあぁァァ!やぅ、やら、きもちぃよぉ…ッッ!」
左手指でナカをかき混ぜられながら乳首を舐められる。
「ふふ、どこもかしこも性感帯ですね」
「言わないでぇぇ……ッ」
恥ずかしくて消えてしまいたいのに。
快楽に抗えない。
「可愛い。俺のえっちな美波さん。すっごく可愛い」
藤咲に痴態を褒められるのがなぜか嬉しい自分がいて。
「俺の……八雲さん」
耳元で囁かれて。
「名前ェェ、やだあぁァァ…んんッ」
名前を呼ばれてゾクゾクして。
「俺に名前呼ばれて興奮してるんだ?可愛いね八雲さん。すっっごく、可愛い。俺の、八雲さん」
吐息めいた藤咲の甘い声が俺の頭を支配する。
俺の身体、やっぱおかしくなってる……。
だって。
だって俺。
「ぁ…ふあァァァぁぁ~~……ッッ!!」
藤咲の声だけでイッちゃってる。
「俺の声、そんなに気持ちいいんですか?」
気持ちいい。
気持ちよすぎておかしくなる。
「うん…、きもちぃ、気持ちイイ……っ」
「素直な八雲さん、可愛いね。ほらココもずっとキュンキュン締め付けてくるんですよ?」
左手指が、的確に俺の弱いところを重点的にクチュクチュと律動する。
「あん!あぅ、はあァァァんん、や、ふじさきぃ、ソコすごいからあぁァ!弄んないでぇぇっ!」
また。
クる。
キちゃう……!!
「やッッッああァァァあぁぁァァ~~……ッッ!!」
プシャアアァァァ……!!
「お」
無色透明の液体が俺の亀頭から勢いよく噴射される。
「やだ、やだアァァ、なに、これぇ……??」
もうワケが分かんなくて。
混乱した感情が大きな涙となってボロボロとあふれてくる。
「潮吹いちゃうくらい良かったんだ」
「し……お……??」
「うん、すっごく気持ちよくなりましたっていう証みたいな感じ?」
「オシッコじゃ、ないの……?」
「うん、違いますよ。だから安心して、恥ずかしい事じゃないから。……よく出来ました。えらいね美波さん」
褒められた。嬉しい……。
──あ。
顔が近付いてくる。
キス、してくれる……?
「ん…ッぁふ、ぅ、ん…ん、んふ……ぅ…ん…」
耳元に聴こえる口付けの音が心地いい。
藤咲のキス。
きもちいい。
きもちいい。
ゾクゾクする。
キュンキュンする。
今なら分かる。
今の俺の素直な気持ち。
…俺…。
……俺……。
──藤咲の。挿れて欲しいんだ……って。
目の前の男はこう言った。
でも俺は別にその男に嫌気を感じたことがなかったので。
「俺、別に藤咲の事。嫌い…じゃない、よ?」
と反論?した。
その言葉に穏やかな笑みを浮かべながら。
「ありがと」
と、お礼を言いつつ。
「……──でも」
と、俺との距離を縮めようと前のめりになってベッドに片脚を乗せてくる。
「あのね美波さん。普通の好きじゃこんな事しないでしょ?」
……こんな事。
…………コンナコト。
………………。
数時間前の、己の痴態の数々が走馬灯のように頭を巡る。
「……ッッ!!」
耳が熱い。
恥ずかしさで死んでしまいたい。
「あ、顔真っ赤。美波さん可愛い~~」
「ぅぅうるさいッッ!!」
「ごめんごめん。でも俺のこと考えてくれてたんですよね、嬉しいなぁ」
あ、笑ってる。
たおやかに微笑む藤咲は美しくて。
ちょっとだけ、見惚れてしまう。
「それに美波さんさ。俺なしじゃイケない身体になっちゃったみたいだし」
え?
違う。
そんなんじゃない。
そんなんじゃない。
違…う……。
「違わないでしょ?……ほら」
「ァあッッ!?」
藤咲の右手が俺自身をやんわりと握る。
「やめて藤咲……」
くちゅ。
わざと、すごく遅緩な速度で。
くちゃ。
指に緩急をつけながら上下に擦られる。
「あ、ァァッ!…あっん…や、だァァ…」
「めっちゃ感じてんじゃん」
分かりたくない。
「あっふ、ぅん…ァ、や、やぁ…ァァ……」
嫌なのに。
もどかしい。
「や、っだぁぁ、もうやぁァァ…ッん…」
嫌なのに。
じれったい。
「嫌なの?しょうがないなぁ」
嫌なのに。
もっと、もっと速く────
パッと。
何事もなかったかのように手離される。
「え……っ?」
手離されて。
放されて。
俺は。
俺は……。
俺は……──
「言わなきゃ、分かんないよ?」
俺は。
「ねえ。……美波さん」
俺は……。
「俺の前でだけ。素直になって?」
耳元で囁かれる甘美な声に。
「ぁ…ァァ……ぁ……」
俺は。
もう────
「ふ…藤咲に触ってもらうと気持ちイィの……ッ!…俺だけじゃ満足出来ないから…お願い……だから…ぁ……ッ」
「俺は美波さんに触ってもイイの?」
「さ、触って…、触って、お願い触って…俺、藤咲に触られたい……!」
生唾を呑む音が聴こえた。
「アッッッんンン!!あぅ!あはあぁァァ!やぅ、やら、きもちぃよぉ…ッッ!」
左手指でナカをかき混ぜられながら乳首を舐められる。
「ふふ、どこもかしこも性感帯ですね」
「言わないでぇぇ……ッ」
恥ずかしくて消えてしまいたいのに。
快楽に抗えない。
「可愛い。俺のえっちな美波さん。すっごく可愛い」
藤咲に痴態を褒められるのがなぜか嬉しい自分がいて。
「俺の……八雲さん」
耳元で囁かれて。
「名前ェェ、やだあぁァァ…んんッ」
名前を呼ばれてゾクゾクして。
「俺に名前呼ばれて興奮してるんだ?可愛いね八雲さん。すっっごく、可愛い。俺の、八雲さん」
吐息めいた藤咲の甘い声が俺の頭を支配する。
俺の身体、やっぱおかしくなってる……。
だって。
だって俺。
「ぁ…ふあァァァぁぁ~~……ッッ!!」
藤咲の声だけでイッちゃってる。
「俺の声、そんなに気持ちいいんですか?」
気持ちいい。
気持ちよすぎておかしくなる。
「うん…、きもちぃ、気持ちイイ……っ」
「素直な八雲さん、可愛いね。ほらココもずっとキュンキュン締め付けてくるんですよ?」
左手指が、的確に俺の弱いところを重点的にクチュクチュと律動する。
「あん!あぅ、はあァァァんん、や、ふじさきぃ、ソコすごいからあぁァ!弄んないでぇぇっ!」
また。
クる。
キちゃう……!!
「やッッッああァァァあぁぁァァ~~……ッッ!!」
プシャアアァァァ……!!
「お」
無色透明の液体が俺の亀頭から勢いよく噴射される。
「やだ、やだアァァ、なに、これぇ……??」
もうワケが分かんなくて。
混乱した感情が大きな涙となってボロボロとあふれてくる。
「潮吹いちゃうくらい良かったんだ」
「し……お……??」
「うん、すっごく気持ちよくなりましたっていう証みたいな感じ?」
「オシッコじゃ、ないの……?」
「うん、違いますよ。だから安心して、恥ずかしい事じゃないから。……よく出来ました。えらいね美波さん」
褒められた。嬉しい……。
──あ。
顔が近付いてくる。
キス、してくれる……?
「ん…ッぁふ、ぅ、ん…ん、んふ……ぅ…ん…」
耳元に聴こえる口付けの音が心地いい。
藤咲のキス。
きもちいい。
きもちいい。
ゾクゾクする。
キュンキュンする。
今なら分かる。
今の俺の素直な気持ち。
…俺…。
……俺……。
──藤咲の。挿れて欲しいんだ……って。
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
少年院の成人式
風早 るう
BL
非行を繰り返し少年院に入った秋月 奏多(あきづき かなた)は、院内で18歳の誕生日を迎えることになった。
誕生日なんかどうでもいい…。
そう思っていたら、看守から告げられた。
『院内で18歳を迎えた少年の、成人式を行う。』
その成人式とは、奉仕の精神を学ぶための矯正教育で、少年院の運営費用を援助してくれるスポンサー達へ、非行少年達が性的に奉仕するという内容だった…。
秋月 奏多(あきづき かなた)18歳
子育てに無関心な母親に育てられた。
度重なる非行により母親が養育を拒否したため、少年院送りとなる。
四菱 亜蓮(よつびし あれん)
スポンサー。日本を代表する財閥の有力者で、近寄り難い程の美貌の持ち主。立場上、少年院や刑務所のスポンサー行事に顔は出すもののサービスを受けたことはなかったが、奏多のことを気に入る。
阿久津 馨(あくつ かおる)
スポンサー。中性的な美貌の高名な精神科医。日頃から非行少年の更生に尽力しており、根が純情で更生の可能性が高い奏多のことを気に入る。
*おちゃらけ&とんでも設定なので、心の広い方向けです。
彼氏持ち大学生がストーカー犯に遭遇して人生終わる話
むぎ
BL
ストーカー被害にあってるけどまあいっか〜心配させたくないから彼氏にも黙っとこ〜とナメかかってた少年がストーカー犯に押しかけられてぶち犯されて果てには誘拐される話です。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺(紗子)
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(10/21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
※4月18日、完結しました。ありがとうございました。
セカンドコンタクト
アカネラヤ
BL
弥汲佑哉(ヤクミユウヤ)は、とあるネットゲームに執心する二十七歳のサラリーマン。そこで出逢ったギルドメンバーであるゲームネーム《セカイ》と、ひょんなことからお互い共通の通話アプリのIDを持っていることが判明し。そこからほぼ毎週、彼と通話をしながらネットゲームをするのが常となっていた。通話を通じるうちにだんだんとセカイに惹かれていく弥汲。
そんなある時。いつものように通話をする予定が、セカイの通話が不調になり彼の様子もおかしいため、弥汲は単身東京から大阪にあるセカイ邸に向かう事を決意するのだった。
長年想いを密かに募らせていた相手の自宅に到着し来客すると、そこにはとんでもない姿の想い人が立っていて……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる