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謎探し

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秀】………ここは?


あたりは夜空に桜景色、そして無数の木々と灯篭に包まれていた。

夜空には見た事のない数の星と美しい三日月、そしてどこまでも果てし無く続きそうな一本道に秀は寝転んでいた。

その周りを桜が囲い、灯篭が間隔を開け灯してあり、ウサギや狐、狸にシカなどの無数の動物達が寛いでいる。

全体的に軽く霧がかっておりとても神秘的な光景と、不思議な多幸感に包まれていた。


秀】………。


秀は父親の転勤もあって様々な場所に行き、景色を見ていた。
夜桜も何度も見た事がある、だがこの景色は今まで見てきたもの全てを図りにかけても足りない程に、美しい光景だった

秀は感動し微量だが、一生ここに居ても良いと思ってしまう気持ちに包まれていた。

少し立ち、秀は立ち上がり辺りを見渡していると背後から声が聞こえてきた。


?】初めまして。

秀】‼︎ 


秀は瞬時に後ろを振り返る。


?】うふふ、驚いた? 


ロングの長い金色の髪でかきあげの様なヘアスタイルに長いまつげ、サファイアの様な色の瞳をしている。
見た身は二十代前半のとても美しい容姿をしていた。

身長は163程に見える。
服装は街中に居そうなシンプルな物だった。


?】私の名前はエレナ貴方の中に住んでる者よ。

秀】…俺の中に住んでる…?

(秀頭、て事はここは俺の中…?いや、確かに俺はあの時…)

レ】えぇ、そうよ。

秀】…俺は死んだのか?

レ】貴方は殺されたわ、だけどこうして不思議な場所にいて意識がある。

レ】その訳は貴方がずっと探してた不思議な力…「氣」と言うものが関係してるわ。

秀】氣‼︎…確か男も言っていた…。

(秀頭、て事は氣操人って名前の由来も…)

レ】そう、その人の言ってる氣の話よ。

秀】氣か……ってそれより現実の世界はどうなってる?沈は?

レ】大丈夫。この世界に時間は無いわ、無限と一緒。現実世界は止まってはいないんだけど止まってるって言うのが一番分かりやすいと思うわ。

(頭秀、まさか…ここまでの世界が広がってるなんてな…)

秀】…この世界は一体なんだ?

レ】ちょっと歩きながら話さない?折角綺麗な場所に居るんだからもったいないわ。

秀】…。


2人は一本道を歩き始めた。周りは桜が散っており一枚の葉が秀の肩に乗る。


レ】さっきの質問だけど、私が何故ここに居るのか…ここが何なのか分かってないの…。だけど分かる事もある…何で分かるのかは分からないけど…。

秀】…分かる事って?

レ】あの男は氣の使い手、そして貴方を殺す際、氣を使っていたわ。

秀】氣で殺すと何かあるのか?

レ】ええ。氣を使えない人間が氣で殺されると一度だけ蘇る事が出来るの。

秀】‼︎‼︎

レ】それもおまけ付きよ。

秀】⁇おまけ?

レ】氣が使える様になるわ。

秀】‼︎マジか!

レ】生き返らない事も出来るけどね。

秀】それって?


エレナは動物達を指差した。


秀】…。

レ】何故、動物になるのか…何故生き返らないと言う選択肢があるのか…。これは私の推測なんだけど、良い?


秀はうなずく。


レ】氣を使える人間は極めて少ないの。現代ではね。だから大抵の人は氣の存在を知らずに死んでいく。
皆平等に訪れる死…。

レ】死んだ後何が起こるかなんて誰にも分からない。もしかしたらまた人間に生まれ変わるのかも知れない。

レ】だけど、秀見たいに殺された人がいる。

レ】氣を使える人間と使えない人間では天と地ほどの差が出るの。

レ】大抵が秀見たいに理不尽な暴力で殺された人達、中には二度と人間に生まれたく無いと思う程の事をされ殺された人もいると思う…。

レ】そんな人達の為に作ったルールじゃ無いかと思うの…全く根拠は無いんだけど…。

秀】…優しいなエレナは、俺もそう思うよ。


秀は笑顔を見せる。

エレナは一瞬驚いた顔をした。


(エレナ頭、やっぱり似てる。)

(秀頭、⁇)


秀に問いかける。


レ】で、秀はどっちにするの??
って答えは決まってるでしょうけど。

秀】当然。生き返らせてくれ。


エレナの笑顔が見える。


レ】いつでも出来るわ、だけど私が蘇らせる訳じゃないの。

レ】秀が’ある事’をするの。

秀】ある事?

レ】瞑想よ、形は何でも良いわ、とにかく目をつぶりあの状況の事を思い出すの

レ】するとだんだん殺される前に起こった出来事を映画館で見てる感覚になるわ、そしてそのうち殺されてから10秒後の現実世界に戻るって言う感じよ。

レ】現代に戻った瞬間から氣が使えるわ。

秀】…氣ってのは一体なんなんだ?

ミ】…ごめんなさい、ここでは教える事が出来ないの…。理由は分からないけど…教えてはいけないって言う事だけ何故かわかるの…とっても不思議だわ。

秀】じゃ生き返ってから聞くよ、俺の中に住んでるって事は生き返っても会えるんだろ?

レ】えぇ、すぐには会えないけど、時間が経てば会えるわ。

秀】おっけー。氣について一つだけど、分かったし。
多分あってる。

レ】良かったら聞かせて?答えられないけど。


そう言うとエレナは左を指差した。
そこには石の椅子があった。
2人は腰を下ろした。


秀】本当に綺麗だなここは…。

ミ】ええ、ほんと。


一歩道は軽い登り坂になっておりをずっと進むとベンチがある。そこが2人の座っている場所だ。

その場所は少しスペースが広く柵越しに下一面広がる桜景色を見る事が出来た。

そして秀が口を開く。


秀】単純に強くなると思う。
氣の説明を全く受けずに元の世界に戻ったって強くなってなきゃ意味が無いからな。

秀】俺みたいに殺された人達は力が有れば殺されなかった。結局この世界は力が全てなんだ、悔しいがな。

秀】弱ければ殺されるし守りたい者も守れない、逆に強ければ守れるしそう言う人達を救ってやれる。

秀】だが力って言うのは平等で無機質で残酷だ、力さえ有れば何だって壊せるし大抵な物は手に入る。

秀】人の人生だって簡単に奪えちまう。

秀】俺は力が欲しい。
自分より弱くて当たり前の者を力で押さえつけ、従わせ、自分の欲を満たし、満たさせるクズを1人でも多く苦しめ、殺せる力が欲しい。

レ】……。

秀】…悪い、関係ない話をしたな。


エレナは首を横に振る。


レ】そんな事ないわ、話してくれてありがとう。

秀】よし、じゃーそろそろ行くよ。

そう言うと秀はあぐらをかいた。

レ】待って、一言だけ
絶対に死なないで。


エレナが秀の目を見る。そして秀も目を合わせる。


秀】死んでたまるか、折角氣を使える様になるんだ。死んでたまるかよ。

秀】気持ちだけ貰っとくよ。ありがとう。
じゃ行ってくる。

レ】えぇ、いってらっしゃい。


秀は目を閉じあの時の想像を始めた。やがてその想像に色がつき、声も聞こえてきた。
そして斜め上から見ている状態になった。
そして殺されるシーンへとなり殺されたと同時に目の前が真っ暗になった。
目を開けるとあの男が秀に背を向け歩いていた。


(頭秀、…すげぇ本当に戻った…って感心してる場合じゃねぇ、沈は?)


秀は立ち上がり沈の方へ走ったその時、秀は沈の真横の壁に激突した。
理由をすぐに秀は理解した。


(頭秀、前とは比べ物にならない程脚力が付いてる、それに)


秀は右手に力を入れた。


(頭秀、筋力も桁違いに上がってる、やっぱり力だったか!)


体勢を立て直し沈の元へ。


秀】沈、大丈夫か?

沈】……。


(秀頭、気絶か、好都合だ。)


男】……。


秀は男を見る、男は秀をただジッと見つめていた。


(秀頭、…なぜ驚かない、こうなる事が分かってたのか?…だがなぜ…って考えるのは後だ。…どうにか隙を見て沈を連れて逃げる、路地さえ出ちまえば人目につく)


秀は男に向かって走り出し左手に握り拳を作り殴る構えをとる、それに対し男は右手を上げガードの構えを取ろうとする、と秀は拳を下げ男の股下を左足からスライディングの様に通り抜け上に飛び男の左頭のこめかみに回し蹴りし男は横壁に激しい音を立て衝突した。その隙に秀は沈を抱え路地を出た、そのまま近くの病院まで走る。


(秀頭、こんなにも上手くいくもんか…?何か引っかかる…。)


秀は五分と立たずに病院に着いていた。


秀】すぐ見てくれ。


受付のナースに問う。


ナ】‼︎ひどい怪我!直ぐに!


そう言うと奥からストレッチャーを秀の前に出す。


ナ】さぁここに寝かせて!


秀はゆっくりと寝かせると同時に50~55歳ほどの医者が出てきた。


医】直ぐに治療室へ!


そう言うと早々に治療室へと消えていった。
すると受付のナースから声をかけられた。


ナ】貴方は彼の友達?

秀】そうです。

ナ】彼の名前、両親の電話番号知ってる?番号分からなければ彼の学校で良いわ。

秀】沢城沈って名前です。番号は分かりませんが学校は「×]学校です。

ナ】ありがとう、助かるわ。


そう言うと学校に電話をかけて始めた。


~扉【あの世界って?】~

一言で言うならば正体不明の謎の空間で誰かが作ったと噂されているが詳細は不明で、氣の知識がある者なら基本的に知られている知識である。
氣の使えない相手に対し、氣で殺害すると相手を、謎の空間へと転送し、強制の二択を迫る事が出来る。

1.氣を使える状態になり現代に生き返る。
2.生き返らずあの世界の動物となる。

この判断は本人が選択し、悩んでる間はいくらその世界にいても現代の時間に影響せず、1年いたとして、生き返る判断をした場合でも現代では必ず1~15秒の間で復活する。(1~15はランダムである)


この行為は延命治療にも使え、この世界で氣を使える人は少ない為大抵の人には通用する。
死にかけの相手に行うと、初めに負っていた傷も同時に回復する為、氣を使える状態にした上で本人が望めば蘇らせる事が出来る。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
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