7 / 13
6話
しおりを挟む俺は最悪の髪と目を持って生まれてきた。真っ暗な髪に真っ赤な目、ノアとレオ以外は俺を視界にも入れてくれなかった。傷つかないって言われれば嘘になるけどそんなに悲しいとも思わなかった。
国のめんどくさい制度のせいで絶対に選ばれることのない俺までお見合いパーティーに参加しないといけない。めんどくさいし、誰も俺のことなんて選ばないんだからどうして俺が行かなきゃいけないんだ。そう思ったけど義務化されているから行かないわけにも行かない。とりあえず会場に入るだけ入って、人目につかないところにいると木の上から降りてきた天使。
そいつの名前はリリーと言うらしい。怖がらせるのも悪いと思って会話はノアとレオに任せてぼーっとしていると急に名前を聞いてきた。俺の名前なんか聞いても何も特になんてならないのに...
その後もノアが引き止めたりレオが引き止めたりでリリーはずっとここにいた。俺と同じ空間にいて平然と喋るなんて多分こいつぐらいだろう。そうやって話を聞くことに徹しているとノアとレオはどんどん仲良くなって、俺も仲良くなりたいなってそう思ったんだ。
けど話しかけたら怖がらせると思うと話しかけられなくて、なぜかリリーにだけは怯えられたくなくて話しかけることもできないままただリリーを見つめていると
「ライアンはどうする?」
(リリーは俺も受け止めてくれるのか?同じ空間にいるだけで怖がられるこんな俺も愛してくれるのか?)
「俺は...2人より醜いから...でももしお前が俺をそばに置いてくれるなら...俺は一緒にいたい...」
「レオよりライアンの方が素直だね」
「うっせぇ...」
「ライアン、貴方が今までどんなことを言われてきたのかは分からない。けど私は貴方を綺麗だと思うよ。貴方が私を信じてくれるなら、一緒にいてくれるなら、そんな人たちの言葉を信じるんじゃなくて私の言葉を信じて」
(そっか...今までの奴らの言葉なんてどうでもいい、リリーが綺麗だって言ってくれるなら俺はそれで充分じゃないか、なぁ俺が今まで言われてきた言葉を否定してくれよ...それだけで俺は救われるから)
「っ!!俺は...呪われてるんじゃないのか?俺は...生きてていいのか?」
「ライアンは呪われてなんかない、私は貴方の瞳を太陽のように美しいと思うし、貴方の髪を誰にも染まらない力強い色だと思うわ」
「リ...リー...俺を...愛してくれ...俺をお前のそばにずっと置いてくれ...俺の全てをあげるから...」
「ライアン...ずっと私のそばにいて、そして貴方の全てを私にちょうだい」
(なんだこの感情は...すっげぇ幸せだ...俺を見てくれる唯一に会えた、俺を認めてくれる人に会えた。俺はもうリリーから離れられそうにないな)
10
お気に入りに追加
230
あなたにおすすめの小説

竜人のつがいへの執着は次元の壁を越える
たま
恋愛
次元を超えつがいに恋焦がれるストーカー竜人リュートさんと、うっかりリュートのいる異世界へ落っこちた女子高生結の絆されストーリー
その後、ふとした喧嘩らか、自分達が壮大な計画の歯車の1つだったことを知る。
そして今、最後の歯車はまずは世界の幸せの為に動く!
俺の番が見つからない
Heath
恋愛
先の皇帝時代に帝国領土は10倍にも膨れ上がった。その次代の皇帝となるべく皇太子には「第一皇太子」という余計な肩書きがついている。その理由は番がいないものは皇帝になれないからであった。
第一皇太子に番は現れるのか?見つけられるのか?
一方、長年継母である侯爵夫人と令嬢に虐げられている庶子ソフィは先皇帝の後宮に送られることになった。悲しむソフィの荷物の中に、こっそり黒い毛玉がついてきていた。
毛玉はソフィを幸せに導きたい!(仔猫に意志はほとんどありませんっ)
皇太子も王太子も冒険者もちょっとチャラい前皇帝も無口な魔王もご出演なさいます。
CPは固定ながらも複数・なんでもあり(異種・BL)も出てしまいます。ご注意ください。
ざまぁ&ハッピーエンドを目指して、このお話は終われるのか?
2021/01/15
次のエピソード執筆中です(^_^;)
20話を超えそうですが、1月中にはうpしたいです。
お付き合い頂けると幸いです💓
エブリスタ同時公開中٩(๑´0`๑)۶
“代わりに結婚しておいて”…と姉が手紙を残して家出しました。初夜もですか?!
みみぢあん
恋愛
ビオレータの姉は、子供の頃からソールズ伯爵クロードと婚約していた。
結婚直前に姉は、妹のビオレータに“結婚しておいて”と手紙を残して逃げ出した。
妹のビオレータは、家族と姉の婚約者クロードのために、姉が帰ってくるまでの身代わりとなることにした。
…初夜になっても姉は戻らず… ビオレータは姉の夫となったクロードを寝室で待つうちに……?!

愛人をつくればと夫に言われたので。
まめまめ
恋愛
"氷の宝石”と呼ばれる美しい侯爵家嫡男シルヴェスターに嫁いだメルヴィーナは3年間夫と寝室が別なことに悩んでいる。
初夜で彼女の背中の傷跡に触れた夫は、それ以降別室で寝ているのだ。
仮面夫婦として過ごす中、ついには夫の愛人が選んだ宝石を誕生日プレゼントに渡される始末。
傷つきながらも何とか気丈に振る舞う彼女に、シルヴェスターはとどめの一言を突き刺す。
「君も愛人をつくればいい。」
…ええ!もう分かりました!私だって愛人の一人や二人!
あなたのことなんてちっとも愛しておりません!
横暴で冷たい夫と結婚して以降散々な目に遭うメルヴィーナは素敵な愛人をゲットできるのか!?それとも…?なすれ違い恋愛小説です。
※感想欄では読者様がせっかく気を遣ってネタバレ抑えてくれているのに、作者がネタバレ返信しているので閲覧注意でお願いします…


獣人の彼はつがいの彼女を逃がさない
たま
恋愛
気が付いたら異世界、深魔の森でした。
何にも思い出せないパニック中、恐ろしい生き物に襲われていた所を、年齢不詳な美人薬師の師匠に助けられた。そんな優しい師匠の側でのんびりこ生きて、いつか、い つ か、この世界を見て回れたらと思っていたのに。運命のつがいだと言う狼獣人に、強制的に広い世界に連れ出されちゃう話


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる