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始まり、0年度の記録

レポートその4 中等部入学式 前編

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レポートその4 

中等部入学式。







今回書くのは、本来なら最初に書くべきだったこと。

そう入学式について書こう。

わが校では入学式は初等部、中等部、高等部で別日に行うことになっている。




今回であれば4月8日に中等部の入学式。

4月9日に初等部の入学式。

そして最後の4月10日に高等部の入学式という段取りである。




そしてこの3日間はこの学校の養護教諭としては一番忙しい日々といえる。

なぜなら入学式3日間での式中のお漏らし者は緊張感もあるのか、毎年200名を超えるからだ。




そして今回紹介するのは、入学式の最初に行われる中等部の入学式についてだ。




中等部は初等部に比べると失敗は少ないと思う人もいるがそれは間違いである。

中等部の生徒というのは思春期に入り、体は第二次性徴期を迎えるが、それ以上に心は大人になろうと何か知らのアンバランスな時期でもある。

それゆえに中等部での生徒のお漏らしというのは想像以上に多い。

実際にわが校での生徒の平均お漏らし率というのを調べると、初等部1年生と2年生が高いのだが、それに次ぐお漏らし率を持つのは中等部1年生なのである。




また外部受験での入学者も一定数いるのだが、彼女たちはこの学校特有の空気への緊張感も重なり入学式で失敗に至るケースもかなり多い。




では実際に今回の中等部についての詳細をレポートしよう。




入学式は毎年イベント用のホールで行われる。

基本的に式は静かに進行するが、式の時間は大体3時間ほどである。

そして静が故に時折起こる水の滴る音、わずかな泣き声や騒めきなどで失敗があるのははっきりとわかる。




最初に起こったのは1年生のところで式が始まって30分程度だ。

緊張でトイレに行けなかったからだろう。

その後も数十回に渡り至るところで失敗は起こる。

2年生や3年生のところでも何度か起こり、2時間程度経過するころには50人弱の生徒が失敗している。




本来なら養護教諭の私は失敗した生徒を連れて保健室へと向かうべきなのだが、それは適わない。

なぜなら式中においては中抜けは原則で禁止なのである。

むろん自主的に漏らす前にこっそりとトイレに向かっていればそれを咎めるものはいないだろうが、すでに漏らしてしまい、それを言いだせない状況ではそれは出来ない。

生徒は濡れた下着とスカートをはいたまま式が終わるまで待つしかない。




そして式も佳境に入る。

最後には新入生挨拶、そして在校生挨拶がある。




しかしこれは中等部の入学式ではあるジンクスがある。

それはこの挨拶を行う生徒は必ず挨拶途中に緊張で漏らしてしまうというものだ。

このジンクスは百発百中らしく、私がこの学校に赴任して10年目だが、過去9年間では全ての生徒が漏らしていた。




在校生挨拶では中学入学から漏らしてない生徒が挨拶をしたこともあったが、それでもだめだった。

新入生挨拶では、初等部3年から漏らしていない生徒がやったこともあったが結果は撃沈。




それぐらいこの入学式挨拶は鬼門なのであった。




そしてこの入学式挨拶に臨むのは

新入生挨拶は木山 香菜。外部受験生でありながら受験で最高成績をたたき出した才女である。

外部受験生の挨拶は私が赴任してからでは初めてなので、期待はある。最も外部入学者のお漏らし率を考えると、むしろ危険ともいえるが。




それに対し在校生挨拶は三年生の西野 美雪が勤める。彼女は中等部の生徒会長も行う人望もある生徒である。美人で手足も長いモデル体型で男女両方から好かれている。

最も彼女は昨年の会長選挙の演説も緊張で失禁してしまい、それ以外でも何度も漏らし、昨年は腕章を半年以上外せなかったほどの漏らしっ子なので期待値は低い。




そんな二人の入学式挨拶だが、まずは新入生挨拶から始まる。




「新入生からの挨拶です。新入生代表。木山香菜さん。壇上にお上がりください」




そんなナレーションと共に木山香菜はステージへと向かう。

だがその姿を見てすぐに感じ取る。




明らかに緊張で足が震えているのだ。

緊張でよたよた歩いているのを見ると、ヘタレ可愛い感もあるが、それでも香菜は無事に壇上のマイクまではたどり着く。

最もそこまでだった。




「みっ、みなさっ、あっ、ああ」




緊張で手も震え、原稿を足元へと落とす。

そしてそれが引き金になったのだろう。




「あっ、いやっ、いやっ、いああああぁぁぁぁ」




スカートの前を押さえるとそのまま動きが止まる。

そしてスカートの前の部分に染みが広がり、足を水がつたい、足元には水溜りが広がる。

物の見事なお漏らしだった。




「うっ、ううううぅぅぅぅぅぅ」




漏らし終わるとしゃがみこんだまま動かなくなる。

そしてそれを担任の教師が手を引いて下がらせる。

毎年のことだが、新入生の中学1年生のお漏らしは見ていて不思議な気持ちになる。

座席では2年生と3年生はさほど騒めきもないが、1年生のところでは騒めきも多い。

初日なのでまだ漏らしてない女生徒も多いので、

(中学生でお漏らしってありえなくない?)




というような声も聞こえる。




そして壇上の簡易清掃も終わり、いよいよ在校生挨拶である。

新入生挨拶はまともに出来ずに終わったが、果たして在校生挨拶は出来るのだろうか。




「続きましては、在校生挨拶です。在校生代表、西野美雪さん。壇上にお上がり下さい」




その声とともに西野美雪は壇上へと向かう。

先ほどの香菜とは違い足取りは比較的まともだ。

これはジンクスを抜け出すか? と少しばかり期待してしまう。




だが結果はそううまく行くわけがない。




マイクの前に立ち、原稿を広げ話し始めようとするが、そこで動きが止まる。




「みっ、みなさっ、あっあああああぁぁぁ」




全校生徒を目の当たりにして、一気にパニックになったのだろう。

とっさにスカートを抑えるが、それと同時に足元に水たまりが広がっていく。




「あっ、ああああっ、そんな、どうして……」




本人も理解して無いような感覚でいるが、結果は全校生徒の前での公開お漏らしでしか無い。

しかも先ほどの香菜と違い、美人生徒会長が後輩の前での失敗。




最もこの光景も毎年のことなのだが、やはり少々気の毒になる。

美雪の場合、失敗は毎回のことなのでそこまででもないが、やはり1年生の間ではより大きな騒めきが広がる。




(会長なのにお漏らし?)

(3年生なのに?)




そういう声も多い。




まあ最も、これで式は終わる。

そしてここからが私の仕事だろう。

失敗した少女たちの後始末を手伝わなくてはいけないのだから。
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