上 下
3 / 5

2話 女神登場。 もっと理想の生活をしましょうよ。

しおりを挟む
 あれから二ヵ月後。
俺は理想の暮らしをしていた。

 都心の高級マンションを5億円で購入した。
高級家具を取り揃え、理想の暮らしだ。
 更に貯金が尽きないようにノートに

『俺が宝くじを購入したら必ず一等が当たる。そして誰もそれを不審に思わない』

と記した。
 これを使い今や俺の資産は60億を超えている。
さらに自動で月に一回ロト9を購入し、毎月10億の追加資産が生まれる仕組みまで用意した。
 これで一生自由気ままな生活が送れるというわけだ。
更に

『俺は一生病気にならず交通事故にも合わない』
『俺は人より老化速度が極端に遅く人の1/5程度の速度でしか老けない。そしてそれを誰も不審に思わない』

 こう記したのでかなりの長期に渡って優雅な生活を送れることが保障されている。
いわば約束された勝ち組人生だ。
 当然仕事も即日に辞めた。
今となってはあんな地獄な環境で仕事をしたことさえ馬鹿らしく思う。

「今日はゲームでもするか。積みゲーが増えたしじっくり消化しないとな」

 俺はゲームの電源を入れようとするがそこで背後から気配を感じる。

「誰だ!?」

 振り返るが何とそこには白い服の美少女が宙に浮きながら佇んでいた。

「初めまして。ヘカテーだよ。君がノートを拾った人? へえ凄い良い暮らしをしてるんだね」
「誰?」
「あっ、そうだった忘れてた。うん女神だよ。君が拾ったノートの持ち主の女神様。ノートの使用状況を確認しに来たんだだけど……へえ結構優雅な暮らししてるけど、そこまではっちゃけていないんだね。もっと面白い生活できるのに」
「女神? まさかノートを取り返しにっ!?」

 俺は思わずノートが入っている本棚の下の引きだしに目をやる。
だが女神の返答は予想外のものだった。

「まさかそんなことしないよ。ノートは拾った人のもの。返却したいなら受け入れるけど強引に取り返しなんてしないよ。どんなことに使用したって女神は関知しない。正義に使おうが悪行に使おうがね」
「そうなのか?」
「そうだよ。でもノートを使ってすることが一人でワンルームマンションに引きこもってスローライフか。 ちょっと残念だね。今までの人はもっとはっちゃけてたし、歴代では今のところ一番微妙かも」
「微妙って……」
「いい、そのノートを使えばなんでも出来るんだよ。もっと欲望に素直になって贅の限りを尽くしたことをやらないと勿体ないよ。あまり酷いと女神も笑っちゃうからね。じゃあこれから定期的に様子を見に来るから、次までに面白いこと考えてね。そうしないと歴代最低のノート使用者のレッテル貼られるから注意ね」
「おいちょっ」
「じゃあね。あっ、そっちから呼ぶときは目を閉じて『ヘカテー!』って呼んだら来るからね。それじゃバイバーイ」

 それだけ言うとヘカテーと名乗る女神は消えていった。

「贅の限りを尽くせ……か。何をやれってんだ?」

 俺は思わず途方に暮れていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』

コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ” (全20話)の続編。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211 男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は? そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。 格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

俺、貞操逆転世界へイケメン転生

やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。 勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。 ――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。 ――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。 これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。 ######## この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。

大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について

ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに…… しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。 NTRは始まりでしか、なかったのだ……

俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした

宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。 聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。 「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」 イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。 「……どうしたんだ、イリス?」 アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。 だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。 そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。 「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」 女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。

処理中です...