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2話 誘拐と大ピンチ
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どれくらい時間が経ったのだろうか? ゆっくりと目を覚ますとそこは先ほどまでいた場所ではなかった。
見慣れぬ景色が飛び込んでくる。
一体ここはどこなのかしら? そう思って辺りを見回してみるがやはり見覚えがない。
私は確か街を歩いていて……そこからの記憶が無い。
ということは誰かに連れ去られたという可能性が高いということになる。
「全くなんてことをしてくれるのかしらね」
私は誘拐犯に向けて心の中で毒づく。
そして次に今の自分の状況を確認することにする。
服装は学園で着ていた制服のままだったが幸いなことに手錠などはされていないようだ。ただし手荷物は全て取り上げられてしまったようで手元にはない。
身体は特に拘束されている様子はなく自由に動かせることから薬で眠らされただけのようだ。
近くに人の気配がないことを考えると攫った張本人はどこかに出かけている可能性が高く、また戻ってくるまでにそれほど時間はかからないと思われる。
私は周りを警戒しながら立ち上がる。
「とにかくここから出ないと……」
出口を探し始める。
しばらく歩いていると大きな扉を発見した。
どうやらここが出入り口みたいね。
私は慎重にドアノブを回す。
鍵はかかっておらず簡単に開いた。
「誰もいない……か」
外に出るとそこは海が広がっていた。
どうやら海近くの倉庫街に閉じ込められていたみたいだ。「困ったことになったわね」
とりあえず連絡手段を確保しないと。
「そうだ!」
私はあることを思い出しポケットを探る。
「よかった無事だったのね」
目当てのものはすぐに見つかった。
「これで連絡を取ればいいわね」
私は携帯電話を取りだすと家族に連絡を行う。
「もしもし? お姉ちゃん?」
電話に出たのは妹のソフィアだった。
「ええ私よ」
「本当にお姉ちゃん? 全然繋がらないから心配していたんだよ?」
「ごめんなさい。ちょっと色々あってね。それで今どこにいると思う?実は――」
私が事情を説明するとソフィアは驚いていたがすぐに落ち着きを取り戻して指示をくれる。
「わかったわ。任せてねお姉ちゃん」
「ありがとう。それじゃあ後はよろしくね」
「うん。心配しないでいいからね」
そう言ってから通話を切る。
「よしっ」
これで後は迎えが来るのを待つだけだ。
「とは言ったものの暇ねぇ」
一応見張りの姿はないけどいつ戻って来るかわからない以上下手に動くこともできない。
「仕方ないからもう少しこの辺を散策でもしようかしら」
そう呟くと再び歩き始めた。
「ん?」
しばらく歩くと何か物音が聞こえてきた。
(人の声?)
声の方へ近づいてみるとそこには複数の男たちがいた。人数は全部で5人ほどで全員が黒い服に身を包んでいた。その服装を見て私には彼らが何者なのか瞬時に理解できた。
(あれってまさか!)
間違いない。彼らは黒ずくめの集団――
「黒の組織だ!!」
そう。奴らは裏の世界では知らない人はいないほどの有名な犯罪組織である。
組織の構成員の多くが謎に包まれており、存在そのものが都市伝説となっているほどである。
だが一つだけわかっていることがある。それは彼らに関わることは死を意味するということだ。
理由はいくつか挙げられる。
まず彼らの行動理念が全くと言ってもいいほど読めないことだ。
例えば殺人を犯したとしても死体すら残さない徹底ぶりである。
また組織の規模も不明な点が多く、末端の人間に至ってはその全貌を知る者は一人もいないと言われている。
次に最大の理由として挙げられるのは目的だ。
噂によると組織は各国の政府要人を狙っており、彼らを暗殺することで世界を支配することが目的ではないかとも言われているのだ。
(これは不味いわね)
私はすぐさま逃げようとしたが遅かった。
「誰だ!?」
1人の男がこちらの存在に気づいてしまったのだ。
(こうなったらやるしかないわね)
私は覚悟を決めると男に向かって駆け出した。
だが男はすぐさま拳銃を私に向ける。
(早まった?)
そう思った時だ。
見慣れぬ景色が飛び込んでくる。
一体ここはどこなのかしら? そう思って辺りを見回してみるがやはり見覚えがない。
私は確か街を歩いていて……そこからの記憶が無い。
ということは誰かに連れ去られたという可能性が高いということになる。
「全くなんてことをしてくれるのかしらね」
私は誘拐犯に向けて心の中で毒づく。
そして次に今の自分の状況を確認することにする。
服装は学園で着ていた制服のままだったが幸いなことに手錠などはされていないようだ。ただし手荷物は全て取り上げられてしまったようで手元にはない。
身体は特に拘束されている様子はなく自由に動かせることから薬で眠らされただけのようだ。
近くに人の気配がないことを考えると攫った張本人はどこかに出かけている可能性が高く、また戻ってくるまでにそれほど時間はかからないと思われる。
私は周りを警戒しながら立ち上がる。
「とにかくここから出ないと……」
出口を探し始める。
しばらく歩いていると大きな扉を発見した。
どうやらここが出入り口みたいね。
私は慎重にドアノブを回す。
鍵はかかっておらず簡単に開いた。
「誰もいない……か」
外に出るとそこは海が広がっていた。
どうやら海近くの倉庫街に閉じ込められていたみたいだ。「困ったことになったわね」
とりあえず連絡手段を確保しないと。
「そうだ!」
私はあることを思い出しポケットを探る。
「よかった無事だったのね」
目当てのものはすぐに見つかった。
「これで連絡を取ればいいわね」
私は携帯電話を取りだすと家族に連絡を行う。
「もしもし? お姉ちゃん?」
電話に出たのは妹のソフィアだった。
「ええ私よ」
「本当にお姉ちゃん? 全然繋がらないから心配していたんだよ?」
「ごめんなさい。ちょっと色々あってね。それで今どこにいると思う?実は――」
私が事情を説明するとソフィアは驚いていたがすぐに落ち着きを取り戻して指示をくれる。
「わかったわ。任せてねお姉ちゃん」
「ありがとう。それじゃあ後はよろしくね」
「うん。心配しないでいいからね」
そう言ってから通話を切る。
「よしっ」
これで後は迎えが来るのを待つだけだ。
「とは言ったものの暇ねぇ」
一応見張りの姿はないけどいつ戻って来るかわからない以上下手に動くこともできない。
「仕方ないからもう少しこの辺を散策でもしようかしら」
そう呟くと再び歩き始めた。
「ん?」
しばらく歩くと何か物音が聞こえてきた。
(人の声?)
声の方へ近づいてみるとそこには複数の男たちがいた。人数は全部で5人ほどで全員が黒い服に身を包んでいた。その服装を見て私には彼らが何者なのか瞬時に理解できた。
(あれってまさか!)
間違いない。彼らは黒ずくめの集団――
「黒の組織だ!!」
そう。奴らは裏の世界では知らない人はいないほどの有名な犯罪組織である。
組織の構成員の多くが謎に包まれており、存在そのものが都市伝説となっているほどである。
だが一つだけわかっていることがある。それは彼らに関わることは死を意味するということだ。
理由はいくつか挙げられる。
まず彼らの行動理念が全くと言ってもいいほど読めないことだ。
例えば殺人を犯したとしても死体すら残さない徹底ぶりである。
また組織の規模も不明な点が多く、末端の人間に至ってはその全貌を知る者は一人もいないと言われている。
次に最大の理由として挙げられるのは目的だ。
噂によると組織は各国の政府要人を狙っており、彼らを暗殺することで世界を支配することが目的ではないかとも言われているのだ。
(これは不味いわね)
私はすぐさま逃げようとしたが遅かった。
「誰だ!?」
1人の男がこちらの存在に気づいてしまったのだ。
(こうなったらやるしかないわね)
私は覚悟を決めると男に向かって駆け出した。
だが男はすぐさま拳銃を私に向ける。
(早まった?)
そう思った時だ。
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