婚約破棄をされたので～こうして私は素敵な人と出会いました～

10話 プロポーズをされて……

「今タオルを持ってくるから待っていてくれ」
「ありがとうございます」

ウォーレンさんが部屋を出ていくと私は深呼吸をする。

（うぅ……どうしてこんなことに）

緊張しながら待っていると彼が戻ってくる。

「お待たせ。これを使ってくれ」
「すみません。お借りしますね」
「いいよ。ところで君は何を飲む？ 紅茶？ コーヒー？」
「じゃあコーヒーをお願いします」
「分かった。ちょっと待っててくれ」

彼は再び部屋を出ていった。

（どうしよう……ドキドキして胸の高鳴りが止まらない）

そんなことを考えていると部屋の扉が開く。

「おまたせ」

ウォーレンさんはそう言いながらカップに飲み物を入れて持ってきた。

「ありがとうございます」
「熱いから気をつけて飲むんだよ」
「はい」

私はゆっくりと口をつける。

（苦いわね……ブラックだから当たり前なのだけれど。やっぱり私はまだ子供なのかしら？）

そんなことを思っているとウォーレンさんが話しかけてきた。

「美味しいですか？」
「はい。とっても」
「それはよかった」
「あの……」
「何だい？」
「その……どうして私と結婚したいと思ったんですか？」

私はずっと疑問に思っていたことを聞いてみた。
すると彼は少し照れたような表情をする。

「恥ずかしい話だが、一目惚れなんだ」
「えっ？」
「初めて会った時から君のことが気になっていた。一緒にいるうちにどんどん好きになっていった」
「そ、そうなんですか……」

私は頬が熱くなるのを感じる。
そんな私を見てウォーレンさんは優しく微笑む。

「もちろん今はそれだけじゃない。君はいつも笑顔で僕を支えてくれる。僕はそれが嬉しいんだ」

彼の言葉を聞いた私は思わず涙が出そうになる。
だけど必死に我慢した。ここで泣いてしまったら彼を困らせてしまうからだ。

「ミスティ嬢。君はとても魅力的な女性だ。そんな君と結婚できたらいいなと思っている」
「わ、私はそんな大した人間じゃありませんよ」
「そんなことはないよ。君はいつも誰かのために頑張っているじゃないか」
「そうでしょうか？」
「ああ。そうだとも」
「そう言ってもらえると嬉しいですけど……」

私がそう言うとウォーレンさんは真剣な目つきになる。

「ミスティ嬢」
「はい」
「近いうちに結婚式を挙げようじゃないか」
「はい……」
「ありがとう。愛しているよ」
「私もです……」

私はそう答えると彼に抱きつく。

「私もあなたを愛しています」
「ミスティ……」
「んっ……」

私は彼にキスをされる。
それは今までで一番幸せな時間だった。

「ミスティ。君に出会えて本当に良かった」
「私も同じ気持ちですよ。ウォーレンさん」

私たちは見つめ合うともう一度唇を重ねるのであった。