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9話 全国へ向けての決戦!
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その後の私は快進撃だった。
続く2回戦と準々決勝も余裕の勝利で終えた。
そしていよいよ次はベスト4の大一番だ。
これに勝てば全国となる。
「いよいよ後一勝で全国か」
そう思うと少し緊張する。
「おお、あんたも勝ち残ってるん? 凄いやん」
「あっ、夢さんも勝ち残ってるんですか?」
「おうよ。だけどあんたとは決勝らしいな」
「はい。そうですね」
トーナメント表を確認するが、夢さんとはブロックが反対なのでまだ当たらない。
つまり全国へ向けての鬼勝負の相手ではない。
「だけどあんたの次の相手、ちょっと強豪やな」
「そうなんですか?」
「知らんの? 潮陽子(うしおようこ)言うたらちょっと知られてる強豪やで。去年まで奨励会におって1級まで行った実力者や。降級して年齢制限で退会後もアマで指し続けてプロをまだ諦めてないみたいやし、結構強いで。ウチも一回当たったことあるけど、かなり指せる相手や」
「そうなんですか?」
「ああ、今年は既に2回全国行ってるし、公式戦でも3勝してるから相当に強いで」
「それはそれは……」
かなり強い人が相手らしい。
油断は出来ないな。
「それでは準決勝を始めます。ベスト4に残った皆さんは各自対局場で対局を開始してください」
「おっ、時間や。 それじゃお互い頑張ろうな」
「はい」
出来れば棋風も聞きたかったが時間が無い。
私は夢さんと分かれ準決勝の舞台へと向かう。
「あら、あなたが相手? まだ小さい子供ね」
「子供って失礼ですね。 あなたこそおばさんでしょ」
「おばっ……。 まあいいわ。相手をしてあげる」
「こっちこそ」
私は相手の潮さんと向き合うが雰囲気はおばさんというより正直ちょっと美人系だ。
雰囲気からも強さが伝わってくる。
「「お願いします」」
この挨拶と共に対局が始まる。
将棋は私が後手でのスタートだ。
正直言って先手の方が好きだが振り駒で後手になった以上仕方がない。
「うーん……」
相手は初手で振り飛車アピールのごとく飛車を振ってきた。
最も私はかまわず居飛車で勝負だ。
数十分後。
………ヤバい。
私は冷や汗を拭うが勝負ははっきり言って劣勢だ。
というより敗勢といっていい。
これが元1級の実力なのか。
そんな思考が頭をよぎる。
「うーん……」
唸るが局面が良くなるわけでも無い。
というかどうしようもないという感じだ。
「ここまでのようね。まあ子供にしてはやった方じゃない?」
「うう……」
全国でベスト8を目標にした以上負けたくはない。
というか神奈川予選で負けるようじゃ、プロなんて夢のまた夢だろう。
絶対プロになりたい私は負けるわけにはいかない。
「くそっ」
一か八か詰めろを掛ける。
これでどう出るか……
「無駄よ。 これで詰みね」
だが相手は逆に必死を掛けて来る。
………んっ!? これは詰めろを見逃している!?
どうやら相手は勝勢に酔って見落としたらしい。
これは私の逆転勝ちだっ!
「王手っ!」
「なっ!?」
私が王手をかけた瞬間、相手の血の気が一気に引いて青ざめるのが目に見えて分かった。
それだけ劇的な逆転だった。
「………まっ、負けました」
「ありがとうございました」
勝った。これで全国だ!
私は思わずガッツポーズで勝利の喜びをかみしめた。
続く2回戦と準々決勝も余裕の勝利で終えた。
そしていよいよ次はベスト4の大一番だ。
これに勝てば全国となる。
「いよいよ後一勝で全国か」
そう思うと少し緊張する。
「おお、あんたも勝ち残ってるん? 凄いやん」
「あっ、夢さんも勝ち残ってるんですか?」
「おうよ。だけどあんたとは決勝らしいな」
「はい。そうですね」
トーナメント表を確認するが、夢さんとはブロックが反対なのでまだ当たらない。
つまり全国へ向けての鬼勝負の相手ではない。
「だけどあんたの次の相手、ちょっと強豪やな」
「そうなんですか?」
「知らんの? 潮陽子(うしおようこ)言うたらちょっと知られてる強豪やで。去年まで奨励会におって1級まで行った実力者や。降級して年齢制限で退会後もアマで指し続けてプロをまだ諦めてないみたいやし、結構強いで。ウチも一回当たったことあるけど、かなり指せる相手や」
「そうなんですか?」
「ああ、今年は既に2回全国行ってるし、公式戦でも3勝してるから相当に強いで」
「それはそれは……」
かなり強い人が相手らしい。
油断は出来ないな。
「それでは準決勝を始めます。ベスト4に残った皆さんは各自対局場で対局を開始してください」
「おっ、時間や。 それじゃお互い頑張ろうな」
「はい」
出来れば棋風も聞きたかったが時間が無い。
私は夢さんと分かれ準決勝の舞台へと向かう。
「あら、あなたが相手? まだ小さい子供ね」
「子供って失礼ですね。 あなたこそおばさんでしょ」
「おばっ……。 まあいいわ。相手をしてあげる」
「こっちこそ」
私は相手の潮さんと向き合うが雰囲気はおばさんというより正直ちょっと美人系だ。
雰囲気からも強さが伝わってくる。
「「お願いします」」
この挨拶と共に対局が始まる。
将棋は私が後手でのスタートだ。
正直言って先手の方が好きだが振り駒で後手になった以上仕方がない。
「うーん……」
相手は初手で振り飛車アピールのごとく飛車を振ってきた。
最も私はかまわず居飛車で勝負だ。
数十分後。
………ヤバい。
私は冷や汗を拭うが勝負ははっきり言って劣勢だ。
というより敗勢といっていい。
これが元1級の実力なのか。
そんな思考が頭をよぎる。
「うーん……」
唸るが局面が良くなるわけでも無い。
というかどうしようもないという感じだ。
「ここまでのようね。まあ子供にしてはやった方じゃない?」
「うう……」
全国でベスト8を目標にした以上負けたくはない。
というか神奈川予選で負けるようじゃ、プロなんて夢のまた夢だろう。
絶対プロになりたい私は負けるわけにはいかない。
「くそっ」
一か八か詰めろを掛ける。
これでどう出るか……
「無駄よ。 これで詰みね」
だが相手は逆に必死を掛けて来る。
………んっ!? これは詰めろを見逃している!?
どうやら相手は勝勢に酔って見落としたらしい。
これは私の逆転勝ちだっ!
「王手っ!」
「なっ!?」
私が王手をかけた瞬間、相手の血の気が一気に引いて青ざめるのが目に見えて分かった。
それだけ劇的な逆転だった。
「………まっ、負けました」
「ありがとうございました」
勝った。これで全国だ!
私は思わずガッツポーズで勝利の喜びをかみしめた。
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