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5話 プロへのルート
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あんずは一度座りなおして、私にプロへの道のレクチャーを始める。
「まずはね。私が通う奨励会で1級リーグを突破したらプロになれるよ。1級リーグは年4回あって、上位3位以内に入るか、4位から6位が貰える昇段点を2回取ればプロになれるの。31歳までに初段に上がれないと退会になるからそこはちょっと怖いね」
「へえ、年4回で3位以内……」
昇段点も入れると年15人ぐらいがプロか。
前の世界と比べると破格な人数だ。
「あとはさっき言ったトーナメントね。中学生と高校生と大学生と社会人と奨励会員の5つのカテゴリでトーナメントがあって、それぞれで優勝するか決勝に2回進出でプロになれるよ。テレビ中継もあって盛り上がるね。毎年3月にあるよ」
「へえ、トーナメント」
一発でプロになれるって魅力かも。でも優勝しないとダメってのは厳しいな。
「後はアマで好成績を取ってプロの公式戦で勝つことね。これは結構数字が変わってるけど、今は通算で5勝したらプロになれるよ。奨励会で成績上位の人も公式戦出れるけど、奨励会の人も同じ方法でもプロ入りOKになってる。毎年このルートで10人~20人ぐらいプロになってるよ」
「5勝でプロ? 試験とかは無いの?」
「そんなのないよ。 5勝したあとに申請したらすぐプロ」
「そうなんだ……」
5勝で即プロって結構甘いな。 しかも通算で勝率問わないなら時間掛ければ誰でもなれるんじゃ……
「それと私やお姉ちゃんには関係ないけど、外国人枠で毎年5人から10人ぐらいプロになってるよ」
「外国人枠なんてあるの?」
「うん。毎年どこかの国で短期集中開催して成績上位者がプロになってるよ。北米か欧州開催が多いから、そっちの国の人がいっぱいプロになってる」
「そんなのあるんだ」
そういえばプロ棋士をざっと見た時にカタカナの名前の人も結構いたな。
この世界じゃ将棋は世界的に人気らしいから、国際色豊かになってるのか。
「最後になるけど奨励会とアマでそれぞれ年に数人、連盟からの推薦でもプロになる人いるね」
「推薦って……そんなのあるの?」
「うん。アマのタイトルを複数取るとか1級リーグで凄い勝率がいいとか、テレビとかの対局で何年も記録係や棋譜の読み上げをやるとか、あとは新戦法や新戦術の開発したり、詰め将棋をいっぱい作ったとかで連盟に貢献度が高い人は一定の棋力が認められるとプロになれるようになってるよ」
「……へえ」
何だか元の世界に比べると激甘だな。
「それと奨励会は入会時に師匠がいるけど、他のルートもプロ入りの時には師匠がいるようになってるね」
「師匠が要るんだ」
「うん。まあ師匠はすぐに見つかるし、師匠が見つからなくてプロなれないって人は今まで一人もいないから、そこは心配しなくていいよ」
「うん。ありがと」
「それでお姉ちゃんはどの道を目指すの? 私は正統派で奨励会だけど……」
「そうだね。ちょっとじっくり考えてみるよ」
「それでいいと思うよ。 じゃあね」
「うん」
これだけ教えてもらうと妹は部屋を出ていった。
でもそうか……そんなにプロへのルートはあるんだ。
「どうしようかな。でもやっぱすぐプロになれるってやっぱ魅力だよね。そうするとやっぱ編入トーナメントかなやっぱ……」
とりあえず分かったが、この世界はプロ入りを絞るんじゃなく、実力がある人は一人でも多くプロにしたいって考えで制度が作られているらしい。 あの多くのルートを整備したことからもそれは明らかだ。
それなら私も……
「中学生プロを目指すかな」
そう決めると早速将棋の特訓の開始だ。
「まずはね。私が通う奨励会で1級リーグを突破したらプロになれるよ。1級リーグは年4回あって、上位3位以内に入るか、4位から6位が貰える昇段点を2回取ればプロになれるの。31歳までに初段に上がれないと退会になるからそこはちょっと怖いね」
「へえ、年4回で3位以内……」
昇段点も入れると年15人ぐらいがプロか。
前の世界と比べると破格な人数だ。
「あとはさっき言ったトーナメントね。中学生と高校生と大学生と社会人と奨励会員の5つのカテゴリでトーナメントがあって、それぞれで優勝するか決勝に2回進出でプロになれるよ。テレビ中継もあって盛り上がるね。毎年3月にあるよ」
「へえ、トーナメント」
一発でプロになれるって魅力かも。でも優勝しないとダメってのは厳しいな。
「後はアマで好成績を取ってプロの公式戦で勝つことね。これは結構数字が変わってるけど、今は通算で5勝したらプロになれるよ。奨励会で成績上位の人も公式戦出れるけど、奨励会の人も同じ方法でもプロ入りOKになってる。毎年このルートで10人~20人ぐらいプロになってるよ」
「5勝でプロ? 試験とかは無いの?」
「そんなのないよ。 5勝したあとに申請したらすぐプロ」
「そうなんだ……」
5勝で即プロって結構甘いな。 しかも通算で勝率問わないなら時間掛ければ誰でもなれるんじゃ……
「それと私やお姉ちゃんには関係ないけど、外国人枠で毎年5人から10人ぐらいプロになってるよ」
「外国人枠なんてあるの?」
「うん。毎年どこかの国で短期集中開催して成績上位者がプロになってるよ。北米か欧州開催が多いから、そっちの国の人がいっぱいプロになってる」
「そんなのあるんだ」
そういえばプロ棋士をざっと見た時にカタカナの名前の人も結構いたな。
この世界じゃ将棋は世界的に人気らしいから、国際色豊かになってるのか。
「最後になるけど奨励会とアマでそれぞれ年に数人、連盟からの推薦でもプロになる人いるね」
「推薦って……そんなのあるの?」
「うん。アマのタイトルを複数取るとか1級リーグで凄い勝率がいいとか、テレビとかの対局で何年も記録係や棋譜の読み上げをやるとか、あとは新戦法や新戦術の開発したり、詰め将棋をいっぱい作ったとかで連盟に貢献度が高い人は一定の棋力が認められるとプロになれるようになってるよ」
「……へえ」
何だか元の世界に比べると激甘だな。
「それと奨励会は入会時に師匠がいるけど、他のルートもプロ入りの時には師匠がいるようになってるね」
「師匠が要るんだ」
「うん。まあ師匠はすぐに見つかるし、師匠が見つからなくてプロなれないって人は今まで一人もいないから、そこは心配しなくていいよ」
「うん。ありがと」
「それでお姉ちゃんはどの道を目指すの? 私は正統派で奨励会だけど……」
「そうだね。ちょっとじっくり考えてみるよ」
「それでいいと思うよ。 じゃあね」
「うん」
これだけ教えてもらうと妹は部屋を出ていった。
でもそうか……そんなにプロへのルートはあるんだ。
「どうしようかな。でもやっぱすぐプロになれるってやっぱ魅力だよね。そうするとやっぱ編入トーナメントかなやっぱ……」
とりあえず分かったが、この世界はプロ入りを絞るんじゃなく、実力がある人は一人でも多くプロにしたいって考えで制度が作られているらしい。 あの多くのルートを整備したことからもそれは明らかだ。
それなら私も……
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