6 / 56
第六話 相手に嫌われるプラン
しおりを挟む
「で、お見合いの報告を聞こうじゃないか」
日曜日のお昼。寧々は美怜の一人暮らしの部屋にやって来ていた。
二人はワンルームの部屋に置かれた小さい正方形のテーブルに向かい合って座り、至近距離で顔をつきあわせている。
「それがね。私がホテルについた直ぐに緊急警報がなって、お相手の平さんが出撃しちゃって、もう来ないだろうな、帰ろうって思ってたら、平さんが全速力で走り去って……」
「馬じゃん!」
美怜がテーブルの上で右手の四本の指を器用に動かして馬を表現して走らせた。
「もー、美怜ちゃんが馬、馬っていうから、その後、会えてお話しした時に笑っちゃったよ」
「お礼はいいわ」
「それで、埋め合わせにもう一度会うってなったの」
「全然嫌われてないし、怯ませてないじゃん! もーなんで、来た瞬間に、何時間待たせるんだよ、て言わないのよぉ」
「えっ……だって、出撃だよ」
「良いのよ、嫌われる為よ。非常識なことしないと」
「た……確かに、美怜ちゃんの言う通りかも……」
寧々が、うんうんと頷いた。
「じゃあ、次で後腐れ無く終わるように、ワガママ言いまくりなよ。ストーカーになられても困るでしょ」
「そういうタイプの人じゃ無さそうだけど……」
「良いの!」
「はい!」
びっしっと指を差す美怜に、寧々が姿勢を正して敬礼をした。
「まず、自分だけが楽しいプランを考える。あとは男が好きそうな事をあえて外しまくって、嫌いそうな要素をモリモリに入れるのよ。あーでもなぁ、相手がアンタだと、何してても楽しいみたいなのあったりするからなぁ……よし! こじらせ初恋の彼の話題出しまくって、うぜぇ感出していこう」
うんうんと頷いて寧々が頭のメモ帳に美怜の言葉を記した。
「自分だけが楽しいプラン……男の人が嫌いそうなお出かけ……ねぇ、ハルさん。ハルさんの旦那さんが嫌がるお出かけってどんな所?」
家に帰り、寧々は昔からお世話になっている家政婦のハルに質問をした。
ハルが庭の落ち葉掃除をする手を止めて考えている。
「旦那が嫌がるお出かけですか?まぁ、大体すぐ不機嫌になるんで何とも言えませんけど、先週、お友達とコスモス畑に行く予定だったんですけど、友人が膝の関節炎酷くなっちゃって、チケット勿体ないし車出して欲しかったから旦那誘って行ったんですけど、もー高速から文句たらたらですし、着いても花なんか見やしないし、人が多くて食事処混んでて入れないから、お腹空いて更に不機嫌になって、目に付いて買ったソフトクリーム食べたら寒いし、帰りの車内はお通夜ですよ」
「そうだったんだ、誘ってくれれば、私一緒に行ったよ」
「お嬢様ぁ」
ハルが寧々の頭を抱きしめた。
「ハルさん、そのコスモス畑、まだ見頃かな?」
「ええ、来週くらいが一番かもしれないので、混みそうですよ」
「どうもありがとう」
(よし、コレで完璧ね……でも……ちょっと心が痛い……でも、駄目! 美怜ちゃんの作戦通りにしよう! ちょっと偉そうに上から目線でワガママを……)
スマホを取り出して、詠臣の連絡先を開く。
ドキドキしながら、あーでもない、こーでもないと文面を書いては消して、やっと納得のいくメッセージができあがり、送信した。
『私、遠足に行ったことがないので、連れて行って下さい。場所は此処が良いです』
(なんだか、とっても緊張する……なんなの、この偉そうな文章……あぁ……胃が……痛いかも)
日曜日のお昼。寧々は美怜の一人暮らしの部屋にやって来ていた。
二人はワンルームの部屋に置かれた小さい正方形のテーブルに向かい合って座り、至近距離で顔をつきあわせている。
「それがね。私がホテルについた直ぐに緊急警報がなって、お相手の平さんが出撃しちゃって、もう来ないだろうな、帰ろうって思ってたら、平さんが全速力で走り去って……」
「馬じゃん!」
美怜がテーブルの上で右手の四本の指を器用に動かして馬を表現して走らせた。
「もー、美怜ちゃんが馬、馬っていうから、その後、会えてお話しした時に笑っちゃったよ」
「お礼はいいわ」
「それで、埋め合わせにもう一度会うってなったの」
「全然嫌われてないし、怯ませてないじゃん! もーなんで、来た瞬間に、何時間待たせるんだよ、て言わないのよぉ」
「えっ……だって、出撃だよ」
「良いのよ、嫌われる為よ。非常識なことしないと」
「た……確かに、美怜ちゃんの言う通りかも……」
寧々が、うんうんと頷いた。
「じゃあ、次で後腐れ無く終わるように、ワガママ言いまくりなよ。ストーカーになられても困るでしょ」
「そういうタイプの人じゃ無さそうだけど……」
「良いの!」
「はい!」
びっしっと指を差す美怜に、寧々が姿勢を正して敬礼をした。
「まず、自分だけが楽しいプランを考える。あとは男が好きそうな事をあえて外しまくって、嫌いそうな要素をモリモリに入れるのよ。あーでもなぁ、相手がアンタだと、何してても楽しいみたいなのあったりするからなぁ……よし! こじらせ初恋の彼の話題出しまくって、うぜぇ感出していこう」
うんうんと頷いて寧々が頭のメモ帳に美怜の言葉を記した。
「自分だけが楽しいプラン……男の人が嫌いそうなお出かけ……ねぇ、ハルさん。ハルさんの旦那さんが嫌がるお出かけってどんな所?」
家に帰り、寧々は昔からお世話になっている家政婦のハルに質問をした。
ハルが庭の落ち葉掃除をする手を止めて考えている。
「旦那が嫌がるお出かけですか?まぁ、大体すぐ不機嫌になるんで何とも言えませんけど、先週、お友達とコスモス畑に行く予定だったんですけど、友人が膝の関節炎酷くなっちゃって、チケット勿体ないし車出して欲しかったから旦那誘って行ったんですけど、もー高速から文句たらたらですし、着いても花なんか見やしないし、人が多くて食事処混んでて入れないから、お腹空いて更に不機嫌になって、目に付いて買ったソフトクリーム食べたら寒いし、帰りの車内はお通夜ですよ」
「そうだったんだ、誘ってくれれば、私一緒に行ったよ」
「お嬢様ぁ」
ハルが寧々の頭を抱きしめた。
「ハルさん、そのコスモス畑、まだ見頃かな?」
「ええ、来週くらいが一番かもしれないので、混みそうですよ」
「どうもありがとう」
(よし、コレで完璧ね……でも……ちょっと心が痛い……でも、駄目! 美怜ちゃんの作戦通りにしよう! ちょっと偉そうに上から目線でワガママを……)
スマホを取り出して、詠臣の連絡先を開く。
ドキドキしながら、あーでもない、こーでもないと文面を書いては消して、やっと納得のいくメッセージができあがり、送信した。
『私、遠足に行ったことがないので、連れて行って下さい。場所は此処が良いです』
(なんだか、とっても緊張する……なんなの、この偉そうな文章……あぁ……胃が……痛いかも)
0
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる