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少年の浪漫
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いやはや、市場ってたくさん人が居て、まっすぐ歩けないじゃないですか、普通は。
でも、それはそれは、快適にスイスイ歩けていますよ。
何せ超絶不細工な上に、天人と仮面ですからね、関わりたくない度合い100%だよね。
僕らの前には道ができる。
何やら容赦なく、ヒソヒソ話をされている。
「チーロ、ほら巷で流行っている菓子だぞ」
オルニスが棒に刺さった揚げパンのようなものを、一口かじって僕の口元に持ってくる。
パクリ
「…これ、美味しいね」
「よし、待ってろ全部買う」
「ちょと、まつ!チーロ1つ良い!お腹ポンポンポンよ!」
甘いパンを頬張りながらオルニスの腕を掴んだ。
さっきから目についたものをどんどん買いまくるの…本当にやめてほしい。
おかげで、大分お腹が重い。
「そうか…チーロはもっと食べた方が良いと思うぞ。今でも十分可愛いが、華奢過ぎて心配だ」
こうやって金持ちの子供はちょっと丸くなって行くのだろうか。
「チーロさま、口元が…」
アガメルが、ハンカチを取り出して僕の口についてる粉を拭き取ってくれた。大分、神経が繋がって来た羽根がプルプルと動く。
仮面から出ている、日本人に馴染みが深い黒い瞳と目が合う。
周囲から謎のため息が聞こえて来る。
「アガメル、あっと…ああ!!」
視線の先に道具屋さんを発見した。
何だか色々と商品が並んでいる。
僕は、そこへ駆け寄って商品を眺め始めた。後ろから二人がついてくる。
「いらっしゃ…」
新聞を眺めていた店主が、こちらを見て、フリーズした。
ごめんオジサン。不細工だけど害は無いから。
「おぉ…羽根のペン!」
オタクなアートをこよなく愛する僕は、自分も絵を書く。
そろそろ絵が描きたいと思っていた。
最近、僕が突然羽根を開いちゃって、色んな物にぶつかるからか、宿の部屋の物が色々撤去されて筆記用具も消えた。
だって…感情に羽根の動きが左右されて制御できないんだ。
大きな物音とかすると、バサっと開く。
羽根は大きくないけど、たまたま水差しに当たって、落とした時は大騒ぎだった。
二人が血相変えて突進してきて、僕が抱きあげられている間に、アガメルが瞬時に片付けた。
「いいか!割れたガラスには絶対に触るなよ!絶対にだ!」
と、オルニスにいい含められて、おぉ…そうか!僕は生まれたてだから何もわかって無いと思われているのかと気が付いた。
残念だったなオルニスくん。僕は前世の記憶があるので、頭脳チートだ!前世での成績は、常に下の上程度だったけど。
ここはお絵かきという特技を披露して、彼らを、ぎゃふんさせる時が来た!!
「オルニス、これ買えるできる?」
クリーム色の羽根ペンを持って、追いついてきたオルニスを振り返る。
「駄目だ。どこの鳥の羽根かわからないような物を触るな…」
何故か不機嫌なオルニスに、羽根ペンを取り上げられた。
もともとキツイ目元が上がって、迫力が増して超怖い。
バサッ
フードの中で羽根が広がった。
「あー、別に怒ってない…悪い…」
オルニスが羽根ペンをお店のテーブルに戻して、僕の頭をポンポンした。
「チーロさま、オルニスさまは、貴方が、他の鳥の羽根に触れたから嫉妬してるだけです」
ん?ちょっと意味がわからない。
鳥人間って、家族が他の鳥のものを入手するのタブーなの?
「…今度、俺の羽根で作って持ってこさせるからな」
「……て…天人さまの……羽根ペン…」
店主が何か呟いた。
「店主、一番上質な紙とインクを仕入れて、ホーの宿まで届けて下さい」
「…は、はい!!」
あっちこっち見て回って、ふと視界に、仄暗い道が入ってきた。
これは!
裏路地というやつでは?!
キタァァァ!
裏路地=腕利きの闇医者=どんな患者も金さえ払えば見てくれる!!
オルニスのお医者さんを探すぞ!
僕は一目散に駆け出した。
「チーロ、走ると危ないぞ」
二人がゆったり追いかけてくる。
この上なく怪しい僕らには裏路地のチンピラも逃げ出すこと間違いなし!
昼間なのに薄暗いのは、市場と違って道が開けてないから、建物で影が出来ているからだろう。
木造の3階建て程の古い建物が密集している。
「ああ!」
黒に近い青色の、1メートルくらいのツボが10個くらい壁に並んでいる。
RPG定番の並んでるツボ!
コインが入ってるの!?
アイテムなの?
僕は、目を爛々に光らせてツボに駆け寄った。
「お…おい、チーロ」
「チーロは、ちゅぼを調べた!何もない!」
片っ端から覗いていく。
「チーロ、やめろ。汚いぞ」
僕の行動に困惑気味のオルニス。
アワアワしている、アガメル。
二人にはこの浪漫がわからないかぁ。
「チーロは、ちゅぼを……ぎゃあああ!!」
でも、それはそれは、快適にスイスイ歩けていますよ。
何せ超絶不細工な上に、天人と仮面ですからね、関わりたくない度合い100%だよね。
僕らの前には道ができる。
何やら容赦なく、ヒソヒソ話をされている。
「チーロ、ほら巷で流行っている菓子だぞ」
オルニスが棒に刺さった揚げパンのようなものを、一口かじって僕の口元に持ってくる。
パクリ
「…これ、美味しいね」
「よし、待ってろ全部買う」
「ちょと、まつ!チーロ1つ良い!お腹ポンポンポンよ!」
甘いパンを頬張りながらオルニスの腕を掴んだ。
さっきから目についたものをどんどん買いまくるの…本当にやめてほしい。
おかげで、大分お腹が重い。
「そうか…チーロはもっと食べた方が良いと思うぞ。今でも十分可愛いが、華奢過ぎて心配だ」
こうやって金持ちの子供はちょっと丸くなって行くのだろうか。
「チーロさま、口元が…」
アガメルが、ハンカチを取り出して僕の口についてる粉を拭き取ってくれた。大分、神経が繋がって来た羽根がプルプルと動く。
仮面から出ている、日本人に馴染みが深い黒い瞳と目が合う。
周囲から謎のため息が聞こえて来る。
「アガメル、あっと…ああ!!」
視線の先に道具屋さんを発見した。
何だか色々と商品が並んでいる。
僕は、そこへ駆け寄って商品を眺め始めた。後ろから二人がついてくる。
「いらっしゃ…」
新聞を眺めていた店主が、こちらを見て、フリーズした。
ごめんオジサン。不細工だけど害は無いから。
「おぉ…羽根のペン!」
オタクなアートをこよなく愛する僕は、自分も絵を書く。
そろそろ絵が描きたいと思っていた。
最近、僕が突然羽根を開いちゃって、色んな物にぶつかるからか、宿の部屋の物が色々撤去されて筆記用具も消えた。
だって…感情に羽根の動きが左右されて制御できないんだ。
大きな物音とかすると、バサっと開く。
羽根は大きくないけど、たまたま水差しに当たって、落とした時は大騒ぎだった。
二人が血相変えて突進してきて、僕が抱きあげられている間に、アガメルが瞬時に片付けた。
「いいか!割れたガラスには絶対に触るなよ!絶対にだ!」
と、オルニスにいい含められて、おぉ…そうか!僕は生まれたてだから何もわかって無いと思われているのかと気が付いた。
残念だったなオルニスくん。僕は前世の記憶があるので、頭脳チートだ!前世での成績は、常に下の上程度だったけど。
ここはお絵かきという特技を披露して、彼らを、ぎゃふんさせる時が来た!!
「オルニス、これ買えるできる?」
クリーム色の羽根ペンを持って、追いついてきたオルニスを振り返る。
「駄目だ。どこの鳥の羽根かわからないような物を触るな…」
何故か不機嫌なオルニスに、羽根ペンを取り上げられた。
もともとキツイ目元が上がって、迫力が増して超怖い。
バサッ
フードの中で羽根が広がった。
「あー、別に怒ってない…悪い…」
オルニスが羽根ペンをお店のテーブルに戻して、僕の頭をポンポンした。
「チーロさま、オルニスさまは、貴方が、他の鳥の羽根に触れたから嫉妬してるだけです」
ん?ちょっと意味がわからない。
鳥人間って、家族が他の鳥のものを入手するのタブーなの?
「…今度、俺の羽根で作って持ってこさせるからな」
「……て…天人さまの……羽根ペン…」
店主が何か呟いた。
「店主、一番上質な紙とインクを仕入れて、ホーの宿まで届けて下さい」
「…は、はい!!」
あっちこっち見て回って、ふと視界に、仄暗い道が入ってきた。
これは!
裏路地というやつでは?!
キタァァァ!
裏路地=腕利きの闇医者=どんな患者も金さえ払えば見てくれる!!
オルニスのお医者さんを探すぞ!
僕は一目散に駆け出した。
「チーロ、走ると危ないぞ」
二人がゆったり追いかけてくる。
この上なく怪しい僕らには裏路地のチンピラも逃げ出すこと間違いなし!
昼間なのに薄暗いのは、市場と違って道が開けてないから、建物で影が出来ているからだろう。
木造の3階建て程の古い建物が密集している。
「ああ!」
黒に近い青色の、1メートルくらいのツボが10個くらい壁に並んでいる。
RPG定番の並んでるツボ!
コインが入ってるの!?
アイテムなの?
僕は、目を爛々に光らせてツボに駆け寄った。
「お…おい、チーロ」
「チーロは、ちゅぼを調べた!何もない!」
片っ端から覗いていく。
「チーロ、やめろ。汚いぞ」
僕の行動に困惑気味のオルニス。
アワアワしている、アガメル。
二人にはこの浪漫がわからないかぁ。
「チーロは、ちゅぼを……ぎゃあああ!!」
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