転生して羽根が生えた僕の異世界生活

いんげん

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仮面教師アガメル

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アガメルは執事でもあり、教師のようです。

「お勉強を致しましょう」

と誘われ、向かい合ってテーブルについた。後ろで「嫌だったらやらなくてもいいぞ、疲れたらすぐやめて良いからな」という駄目保護者がうるさいです。

「オルニス、おそそ行って」
ドアを指差して言うと、すねたオルニスがこちらに背を向けてベッドに寝転んだ。

「まずオルニス様のような、羽根の生えた飛行出来る人々は、天人と呼ばれています」

「テンジン」

なんかそんな名前の会社あったよね。だけじゃないやつ。

「天人の多くは、ここから南の、オーキス山に暮らしています」

僕、横文字っぽいの覚えられ無いんだよね。オーキス山ねぇ…オーキス山…。

「大きすぎる山」

これなら覚えられる!

あれ?なんかアガメルが僕の斜め上辺りを凝視している。なに…なに?

「……失礼しました。天人は、普通の人間よりも身体能力も、頭脳も秀で、天人の羽根には不思議な力が宿っています」

「ふぉぉ!!」

僕は、自らの羽を見ようと振り返る。このフワフワに凄い力が!
なにそれ、チートの匂いがする!

僕、身体能力も、頭脳も優れてるのか…むふふ…。

「チーロさまの羽根は普通の羽根です」

一人でほくそ笑む僕に、アガメルから残念なお知らせが届いた。
アガメル…心が読めるの?!
まさか…アガメル仮面には、ステータスとか見えちゃって、見えすぎ防止の為に仮面つけて力を制御とかしてるの?!
いやいや、まさかね。

「…なんでチーロの羽根フツー?」

「チーロさまは天人の番ですからね」

ツガイって何?
ああ…子供って事か。
まだ羽根、フワフワだもんね。これが抜けて大人の羽根になったら力が宿るのね。

良いなぁ、オルニスの羽根。マジックアイテムじゃん。一本くれないかな?

「天人の番は、土地の気の澄んだ場所に卵で生まれます。オーキス山に出現する事が多いのですが、そうでない卵は、天人が迎えに行き、孵化するまで大切にお世話をするのですが…」

アガメルが急に仮面の顔を伏せた。えっ…どうした?また鼻の粘膜ヤバイ感じ?
僕はテーブルに置いてあったナプキンを持ち、アガメルの顔に押し当てた。

「だいじょぶ?」

「……大丈夫では有りません……あぁ…何という事でしょうか……こんなにも慈悲深く愛らしいチーロさまが……」

なんだ?どうした?
ナプキンを仮面の顔に押し当てたアガメルが泣いてる?

「アガメルなくないよ…どした?鼻痛い?血出る?」

「……アイツはどうしている?」

僕がオロオロとアガメルに向かって手を彷徨わせて居ると、ベッドの上に起き上がったオルニスが話に入ってきた。

アイツ?

「エドガー様は…捉えられた後、収監されておりますが…」

二人の空気がとても重くなった。
僕は、会話を邪魔しないように、二人の顔にチラチラと目線を移動させる。

「…そもそも、なぜ…エドガーが俺を…」
オルニスが眉間に深い皺を刻んだ。

「私も不思議に思い、エドガー様を訪ねたのですが…」
「ああ」
「……卵は自分の番だと…」

部屋の空気が張り詰めた。

「ふざけるな!!チーロは俺の番だ!!」

オルニスが突然、怒鳴って立ち上がった。
僕は驚いて、ビクッと体が飛び上がり、肌がビリビリとした。
こ…怖いぞ、オルニス!!

「……長老が、そもそも一卵性の双子の天人なんて、前例の無い事だから、もしかすると……天人の卵一つに、番の卵は一つなのかもしれないと……」

アガメルが仮面を抑え、言いにくそうに話した。

「……ありえない…俺は…信じない…」

オルニスが僕に近づき、怖い顔で抱き上げた。
何を揉めているのだろうか…正直、場の空気が緊張感高すぎで逃げ出したい!!

「……エドガーさまの罪は変わりませんので釈放はされていませんが…オルニス様の翼が治り次第、里に戻れと…」

「…断る。一生治らないと手紙に書いておけ」
オルニスが痛いくらいに僕を抱きしめた。

「オルニス様…」

えっ…

オルニスの羽根

一生治らないの……

そんな…

鳥人間にとって、もう飛べないって凄く残酷な事なのでは…

「……」

何か、オルニスのために出来る事は無いのかなぁ。





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