転生して羽根が生えた僕の異世界生活

いんげん

文字の大きさ
上 下
4 / 27

兄弟ですか?

しおりを挟む
わんこ蕎麦の如く、出されるボールを次々に食べ、5つ食べた所で、お腹がいっぱいになった。
男の手にはあと1つのっている。最初に10個あったけど4個は駄目になったみたい。
でも大丈夫、もうごっしゃんです!!

『どうした?もう一つ食べろ…』

男が青のボールを差し出して来る。

「あっ…僕、もうお腹いっぱいなんで、よければ鳥人間さんがどうぞ…」
男の手を押し返して、彼の口元にボールを近づけた。

『駄目だ…ただでさえ、小さくなった上に何個も無駄にした…頼む、食べてくれ』

男は首を振って、僕に再び差し出してきた。これは、残さず食べろって事だろうか?
でもお腹いっぱいだし、何だかさっきから、背中がムズムズ痒くてしょうがない。

色々、衝撃の展開で気にして無かったけど、僕、今裸だ。
見下ろすと、股間には毛が生えて無いけど、小さめの雄の印がついている。
胸まで伸びた金色の髪が視界に入った。

「おぉ…金髪なのか…」

面白くなって自分の髪を掴んで、引っ張る。
あっ…ロン毛にしたこと無いから気が付か無かったけど、背中が痒いのは髪の毛のせいかな?
男の膝から立ち上がって、背中を振り返り、髪の毛を見る。

『おい…遊び始めないでくれ…食べろ……あー……仕方ない…』

僕が、自分の尻尾を追いかける子犬のようにジタバタと後ろを振り返っていると、立ち上がった男に抱きしめられ、いわゆる顎クイをされた。

「ん??」

顎を強く掴まれて、ポカーンと口を開けて見上げると、食らいつくようにキスをされた。

「んぁ…あっ…んん!!」

口の中に広がる、あのボールの味!
これは…無理矢理ボールを食べさせられてる!?

えっ…なんで??

まさか…この男は僕のパパなの!?
そういえば、同じ金髪だしなぁ…でも、まだ若いし、お兄さんか!?

「ちょ…まった!!食べるから!!」

ぐいーっと遠慮なく美青年の顔に手を当てて、引き剥がした。触るとより鼻が高くて彫りが深い事が分かる。

再びキスされないよう、鳥人間の手に齧りつく勢いで、ボールを食べた。

これで良いか!と若干怒り顔で見上げると、吊り目気味の眼差しが、少し緩み微笑んだ。

『良い子だ…』

男の手が僕の頭を、優しくポンポンとたたく。

「……」

僕は美青年の破壊力抜群の行為に、これだからイケメンは…と顔を赤くしながら怒りを覚えた。
思いっきり頭の上の手をはたき落とし、距離をとった。

「…あの…ちなみに、貴方は、僕のお兄さんですか?僕はドラゴンじゃない??」

失礼かと思ったけど、思いっきりゆび指して聞いた。

『…まだオーブの力は効いて無いのか…お前が、なにを言っているのか分からない』

仕草は世界を超えた!
鳥人間が、両手を軽く広げて、あっはー?のジェスチャーをした。

「ユーは、ミーのブラザー、オーケイ??」
相手を指して、自分を指して、兄弟ジェスチャーは無いわぁと飛ばして、手で丸を作った。

『…は?…あー、お前は俺の番の卵かって聞いてるのか?』

男が同じ丸のマークを、手で作ってくれた。
うそうそ!!英語通じるの!?

「イエース!ユーは、ブラザー?」

『ああ、俺がお前の番だ』

コクリと男が頷くと金髪が顔にかかり、それを手でかき上げる仕草が滅茶苦茶カッコイイ。

「ホントに!?やったー、お兄ちゃん凄い美青年!!なら僕も将来、美青年!!」

鍛え上げられた肉体に喜んで抱きついた。
いつか僕も、こんな良い身体になるのか…悪くない!!

驚いた兄が僕をぎゅっと抱きしめ返してくれた。

『……すまない…本来なら、孵化する前から側に居るものなのに…間に合わなかった……』

兄が何やらとても神妙な感じで話している。
まさか…両親は他界しているという話だろうか?

今の僕にとって、新しい両親に会えないのは残念だけど、兄が居てくれるだけで、とても助かる。

ハグする腕から抜け出して。ニッコリと微笑んだ。すると兄の目には、うっすらと涙が浮かんだ。

『……この命が尽きるまで、お前を愛し、守ると誓う』

兄が、僕の右手を取った。
兄弟二人で力を合わせて頑張ろう的な??

僕は、左手で同じように兄の手をとって頷いた。


しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました

十夜 篁
BL
 初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。 そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。 「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!? しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」 ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意! 「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」  まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…? 「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」 「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」 健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!? そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり… 《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

弟が生まれて両親に売られたけど、売られた先で溺愛されました

にがり
BL
貴族の家に生まれたが、弟が生まれたことによって両親に売られた少年が、自分を溺愛している人と出会う話です

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...