1 / 27
卵の中から、はじめまして
しおりを挟む
あっ…
そう思った時には、もう体は傾いていた。
抱きしめていた、マリリンの限定ポスターは、宙を舞い、僕の体も商業ビルから伸びる長い長い外階段のてっぺんから、階段落ちよろしく、見事に転がっていった。
落ちる
転がる
転がる
ぶつかる
転がるぅぅ
運動神経のうの字も無い僕に、受け身など不可能。
ロール、ローラー、ローレスト!!
終わったな。
僕の人生は、きっと享年18歳。
割とオタク、そして、もちろん彼女も出来たことなどない。そもそも、二次元の女性にも性的な興奮は少なく、絶食系だった。ただカワイイもの、美しいものを見るのが好きなんだ。
その対象が日本のオタクアートだっただけだ。
だから、自室には見られて困るものはそんなに無い。
それがせめてもの救い…。
父さん、母さん、親孝行もせずごめん。
でも兄弟5人いるし…あとはみんなに任せた…。
ぐはっ……。
END
だったはずなのに、此処はどこでしょうか??
生きているなら、病院のベッドかと思うのだけど、全然違う。
何か大きな卵型の中に、水分が入っていて、そこにプカプカ浮いてます。
不思議と息はできてます。
痛い所は何処もない。
「むしろ、気持ちいい…落ち着く…」
周りには、小さい子が公園で投げたりしている柔らかい、ぷにぷにのボールみたいなのが、10個くらい浮いてる。
「なんか美味しそう…」
凄く食べたい。
でも得体のしれないものだし、おしっこや、ウン○でもしたら大惨事だから、凄い我慢してる。
この中は、光が通るから、外の明暗は分かる。
「多分…さっき日が登って朝になったのかな?これは、最新の治療マシーン?」
いやいや、うちは一般家庭だ、万が一にも、そんな治療をするお金は無い。
「まさか…まさか……これは、転生??えっ…僕、なろう系主人公??TUEEeeしちゃう??それとも、ざまぁしちゃう??いや……読むのは良いけど、実際のざまぁは、最初凄いケチョンケチョンのドアマットだから嫌だ……」
というか、卵ってことは、僕…ドラゴンとか!?
手足は人間のそれだけど、竜人とか!?
「それ…めっちゃチートの予感しかしない……」
性的に女の子をどうにかするハーレムとかは興味ないけど、可愛い子に頼られたり、感謝されるのはやぶさかではない。
いやぁ、まいったな。
僕、ソロソロ爆誕しちゃう??
試しに殻をガツンと殴ってみた。
右の拳には大した衝撃は得られなかった。
そうだな…この水、ちょっとトロっとしてるから、勢いがつかない。
「フン!!」
割れ無い。
「とりゃ!!」
「えい!!」
「くそぉ!!」
「……」
だめですね。中からの物理攻撃では、割れ無いみたいです。
これは、念じるしかない!魔法的なソレで。
割れろ…
割れなさい…
パッカーン!!
パリパリ!!
コンコン!
開けごま!!
「……あぁ…おなか空いた…」
フヨフヨと浮かぶボールを抱きかかえ、空腹に耐える。
目の前を色素の薄い髪の毛が漂い今の自分がロン毛だと知る。
もしも…僕が孵化できない可哀想な子だったらどうしよう…。
嫌な予感に心臓がドキドキと走り始めた。
そういえば、今度の人生のお母様は何処でしょうか??ペンギンだと父が卵を温めるんだっけ??
そもそも、ドラゴンは卵を温めないのですか??
「まさか…僕は…みなしごドラゴン…」
なんて事だ。ハードモード転生!!
この世界の右も左も分からないまま、一人で生き抜くのか。
「はっ…なら、卵ごと食べられないうちに何とかしないと!!」
守ってくれる親は不在!!自分で何とかしないと!
なんか、お料理好きなネズミ族みたいのが二人来て、歌いながら担いで、卵を料理に使おうとするかも!!カステラにされる!!
出なければ!!
自分の最初の敵は、殻だ。
そして僕は、その戦いに敗北した。
「無理……ヒビすら入らない…」
やさぐれて、タプタプの卵の中をただ浮かんでます。
四肢を投げ出して浮いてるのは、とても気持ち良い。
考えて見て、程よく温かいトロっとしたお湯に浸かって、フヨフヨ浮かぶんだよ。
全身の力が、ふあーっと抜けて、あぁ、僕だいぶ肩に力入ってたんだなって気づくよ。
ぷかぷか
ほかほか
良いよぉ…
心地よい…
眠くなる…
お腹空いてるけど、もう寝ちゃおう。
後で、浮いてるボール食べてみようかな…。
そう思った時には、もう体は傾いていた。
抱きしめていた、マリリンの限定ポスターは、宙を舞い、僕の体も商業ビルから伸びる長い長い外階段のてっぺんから、階段落ちよろしく、見事に転がっていった。
落ちる
転がる
転がる
ぶつかる
転がるぅぅ
運動神経のうの字も無い僕に、受け身など不可能。
ロール、ローラー、ローレスト!!
終わったな。
僕の人生は、きっと享年18歳。
割とオタク、そして、もちろん彼女も出来たことなどない。そもそも、二次元の女性にも性的な興奮は少なく、絶食系だった。ただカワイイもの、美しいものを見るのが好きなんだ。
その対象が日本のオタクアートだっただけだ。
だから、自室には見られて困るものはそんなに無い。
それがせめてもの救い…。
父さん、母さん、親孝行もせずごめん。
でも兄弟5人いるし…あとはみんなに任せた…。
ぐはっ……。
END
だったはずなのに、此処はどこでしょうか??
生きているなら、病院のベッドかと思うのだけど、全然違う。
何か大きな卵型の中に、水分が入っていて、そこにプカプカ浮いてます。
不思議と息はできてます。
痛い所は何処もない。
「むしろ、気持ちいい…落ち着く…」
周りには、小さい子が公園で投げたりしている柔らかい、ぷにぷにのボールみたいなのが、10個くらい浮いてる。
「なんか美味しそう…」
凄く食べたい。
でも得体のしれないものだし、おしっこや、ウン○でもしたら大惨事だから、凄い我慢してる。
この中は、光が通るから、外の明暗は分かる。
「多分…さっき日が登って朝になったのかな?これは、最新の治療マシーン?」
いやいや、うちは一般家庭だ、万が一にも、そんな治療をするお金は無い。
「まさか…まさか……これは、転生??えっ…僕、なろう系主人公??TUEEeeしちゃう??それとも、ざまぁしちゃう??いや……読むのは良いけど、実際のざまぁは、最初凄いケチョンケチョンのドアマットだから嫌だ……」
というか、卵ってことは、僕…ドラゴンとか!?
手足は人間のそれだけど、竜人とか!?
「それ…めっちゃチートの予感しかしない……」
性的に女の子をどうにかするハーレムとかは興味ないけど、可愛い子に頼られたり、感謝されるのはやぶさかではない。
いやぁ、まいったな。
僕、ソロソロ爆誕しちゃう??
試しに殻をガツンと殴ってみた。
右の拳には大した衝撃は得られなかった。
そうだな…この水、ちょっとトロっとしてるから、勢いがつかない。
「フン!!」
割れ無い。
「とりゃ!!」
「えい!!」
「くそぉ!!」
「……」
だめですね。中からの物理攻撃では、割れ無いみたいです。
これは、念じるしかない!魔法的なソレで。
割れろ…
割れなさい…
パッカーン!!
パリパリ!!
コンコン!
開けごま!!
「……あぁ…おなか空いた…」
フヨフヨと浮かぶボールを抱きかかえ、空腹に耐える。
目の前を色素の薄い髪の毛が漂い今の自分がロン毛だと知る。
もしも…僕が孵化できない可哀想な子だったらどうしよう…。
嫌な予感に心臓がドキドキと走り始めた。
そういえば、今度の人生のお母様は何処でしょうか??ペンギンだと父が卵を温めるんだっけ??
そもそも、ドラゴンは卵を温めないのですか??
「まさか…僕は…みなしごドラゴン…」
なんて事だ。ハードモード転生!!
この世界の右も左も分からないまま、一人で生き抜くのか。
「はっ…なら、卵ごと食べられないうちに何とかしないと!!」
守ってくれる親は不在!!自分で何とかしないと!
なんか、お料理好きなネズミ族みたいのが二人来て、歌いながら担いで、卵を料理に使おうとするかも!!カステラにされる!!
出なければ!!
自分の最初の敵は、殻だ。
そして僕は、その戦いに敗北した。
「無理……ヒビすら入らない…」
やさぐれて、タプタプの卵の中をただ浮かんでます。
四肢を投げ出して浮いてるのは、とても気持ち良い。
考えて見て、程よく温かいトロっとしたお湯に浸かって、フヨフヨ浮かぶんだよ。
全身の力が、ふあーっと抜けて、あぁ、僕だいぶ肩に力入ってたんだなって気づくよ。
ぷかぷか
ほかほか
良いよぉ…
心地よい…
眠くなる…
お腹空いてるけど、もう寝ちゃおう。
後で、浮いてるボール食べてみようかな…。
41
お気に入りに追加
489
あなたにおすすめの小説

運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました
十夜 篁
BL
初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。
そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。
「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!?
しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」
ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意!
「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」
まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…?
「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」
「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」
健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!?
そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり…
《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。


性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる