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過保護化する豹兒
しおりを挟む「さぁ、今日も頑張ってトレーニングするぞ!」
今日は午後からずっと屋上の片付けとか、レッドと一緒に周辺の片付けとか色々頑張った。
体は、クタクタだけど、トレーニングは毎日やってこそ意味があるんだ。
夕食も大分消化されたし、寝る前に豹兒のトレーニングに便乗しようと思って部屋を訪れ声をかけた。
「今日は、ポチは、しなくていい」
部屋の真ん中のテーブルで、灯りを頼りに難しそうな本を読んでいる豹兒は、ちらっと俺を見て言った。
「何で?」
いつもは、もっと早く走れるようになれとか、高い所にも腕の力で登れるようなったほうが良いとか……コツとか教えてくれながら付き合ってくれるのに。
なんで、スンってしてるの?
「今日は、体動かすことが多かった。昨日は、ぐっすり寝れてないし……早く寝なよ」
本に視線を戻した豹兒は、なぜか俺を見ようとしない。
「……そう?」
何か変だなと思いながらも、台風騒ぎにゾンビ騒ぎで、豹兒も疲れているのかなっと思った。
ゆっくり読書して休みたい日もあるよな。
うん、ここは静かに退散しよう。
「じゃあ、今日はしない。邪魔してごめんね」
「邪魔じゃない」
豹兒が本から目を離して、俺の斜め上くらいを見ている。
「そっか、ありがと。じゃあ、俺もう行くね」
俺は、右手を上げてドアを閉めようとすると。
「ポチ!」
「ん?」
半分閉めかけたドアを止めて、顔を覗かせる。
「……あのさ……疲れたり、具合が悪くなったら……俺に言って」
「え?う…うん」
突然どうしたのだろう?
あっ、あれ?
そういえば、今日、夕食の時に豹兒がやたらジフを見てて、ジフは凄い渋い顔してたけど、台風とかの気圧で頭が痛くなるタイプとか?
豹兒、心配してたの?
優しいなぁ。俺はそういうの無い。むしろ筋肉痛すら無い、若くて健康体だ。
「大丈夫、俺元気。一番寝てて健康的に暮らしてるから!ありがとう、豹兒」
「……そう……良かった…」
豹兒の顔の緊張がほぐれて、ほんの少しだけ笑った。豹兒の艶々の前髪が揺れた。うん、なんか可愛いね、豹兒。
「じゃあ、おやすみ!」
俺は手を振ってドアをしめた。
そして、寝室ではなく守衛室に居るはずのジフの元へと急ぐ。
頭痛に効くのって何だろう。
半分が心地よさで出来ている頭痛薬とかこの世界に有るのか謎だしな。
「……お前、まだ起きてたのか」
守衛室についた途端、ジフにそう言われた。
いや、え?
もうそんな時間だっけ?
俺が知らない間に時間が倍速で流れたのかと心配になり、時計を見た。時計の針は、午後9時を示している。
「ジフ、まだ9時だよ」
時計を指さしながら、椅子に座って本を読んでいるジフの側に立った。
今日はジフも難しい本を読んでいる。なんか、人体の絵とか書いてる奴だ。なに?今、読書の秋来ているのかな?
「こどもは寝る時間だろ」
今日は眉間の皺が2本になっているジフ。こめかみに血管まで浮いている。やっぱり気圧で頭痛い族なのかな?
「ねぇ、ジフ頭痛い?」
ジフの椅子の後ろに立って、うねり系の癖毛の頭頂部をよしよしした。今日もジフのハーフあっぷは可愛い子犬の尻尾だ。
「ああ?お前が来てから頭痛ぇことばっかりだぜ」
ジフが本を閉じて、テーブルに置いた。な、なんて事をいうんだ、そんな……本当の事を!
俺はジフの言葉に慌てた。頭痛いのって肩揉んで良いんだっけ?悪化する?温めた方が良いのかな?
「お世話になってまーす」
俺は、後ろからジフの首に腕を回して、頭に頬を寄せて抱きついた。温まれ、痛いの飛んでけ。
「……」
「俺が生きてられるのは、3人のお陰だよ。ありがとう、ジフ。俺の事拾ってくれて」
こんな時こそ、素直に感謝を伝えてみる。
「……お前、そいういうのがフラグって言うんじゃねぇのか?」
ジフが首をひねって俺を見た。
ジフの顔って目つき悪くて細いし、豹兒や蒼陽みたいに美しい、毛穴レスなつるつるじゃない。
傷だらけだし、唇ひび割れている普通に男なんだけど、そこがやっぱり男らしくて格好いいよなぁ。
滲み出る渋み?歴史?ビンテージ感?俺もこんな風になりたいな。
「……じゃあ、失礼して」
首の前で組んでいた腕を、下におろして、ジフの雄っぱいを揉む。
「いやぁ、やめて、ポチ……」
ジフが、俺の耳元で棒読みの台詞を吐く。
しかも声、低!
耳がゾワゾワする。
でも、辞めない。まだ雄っぱいが揉みたいから。
でも、ジフの雄っぱいを揉み揉みしても、ジフは全然気持ちよさそうじゃ無い。
「ねぇ、ジフ雄っぱい気持ち良くないの?豹兒も無反応だったし……」
「お前は、変質者かよ」
「俺が下手だから?」
ジフの肩に顎をのせて、ジフの雄っぱいにブラジャーみたいに手をのせる。そして、人差し指で乳首を擦る。
「下手だな。どうしょうもねぇ」
「ええ!何が駄目なの?なんで?俺、ちょっと豹兒に擦られただけで、酷かったのに!」
ムキになって、ジフの乳首を摘まんだ。
「おい……弟分のそんな話ききたかねぇよ。つーか、てめぇ、あの豹兒にやられてよがってるなんざ、チョロすぎだろ」
ジフが鼻で笑った。
「チョロくない!っていうか、豹兒……見てるだけで……エロいもん……」
あの、ちょっと潤んだ熱くて、強い眼差しとか……濡れた紅い唇とか…迷いながら触れてくる大きな手とか。エロ過ぎる。
「だから、気持ち悪いこと聞かせるなつーの、俺はアイツがエロいなんて感じたことねぇよ」
「…そっか…そうだよね。あっ!ジフ、じゃあ蒼陽は!?」
チャンスだ!ここはジフの気持ちを確認するチャンスだ!俺は仕方なく雄っぱいを諦め、ジフの肩を優しく撫で擦る。
「ああ?」
「蒼陽はエロい?抱きたい?抱かれたい?」
「てめぇ……ふざけるな。なんで俺が抱かれるんだよ、気持ちわりぃな」
ジフのノースリーブから出ている逞しい腕に鳥肌が立っている。本当だ……本当に嫌なんだ。じゃあ、ジフ×蒼陽?
「じゃあ……蒼陽のこと抱く?」
ジフと蒼陽のセックスバトルみたいな睦み合いかぁ……や…やば!
「だー、お前。その顔で抱くとかいうなよ……こっちがセクハラされてるつーのに、逆の気分になるぞ。いいか、変な妄想するな。俺はあんな、でけぇ筋肉質の男に欲情しねぇ」
ジフは立ち上がり、俺を一瞬でテーブに押し倒した。俺がビックリして目を見張っていると、ジフの顔が鼻先が触れるほど近づいた。
「……お前が豹兒で物足りなくなったら言えよ……壊してやる」
獣に喰い殺されるのかと思って、全身に震えが走った。傷のある唇が引き攣れて動く様子をジッと見ていると……最後には意地悪く微笑んだ。
「ふぉおぉ!」
同級生の豹兒とのエロトーク、エロ遊びに飽きたら、俺が大人のお宝見せてやるぜ的なやつ!悪い大人のやつ!!やばぁ……格好いい……震える!
「さっさと寝ろ餓鬼。すくすく育てよ」
俺の体は、ジフによって起こされて、俺の手には煮干しのような小魚がパラパラと落とされ、背中を押されて追い出された。ジフの顔は、もう険しくない。頭痛は治まったのかな?
「おやすみなさい、ジフ」
「あぁ」
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