太陽と可哀想な男たち

いんげん

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ラブラブ

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「……んが…」

目が覚めたら、隣に亮平が寝ていた。
シングルベッドに男ふたり。
昨日セックスした訳でもないのに、いつの間にか潜り込まれている。確かに寝る前には居なかったぞ。
壁に俺を追い詰めるように、自分の腕を枕にして寝ている亮平。

俺はうつ伏せから、横向きに体勢を変えて亮平と向き合った。

正式に付き合うようになってから、好きって気持ちも、独占欲も隠さなくなった亮平の圧が強い。

スマホを見てても、本を読んでいても…ぐっと抱き寄せられる。
逞しい腕で囲われて、見づらくなったスマホを持ち上げて首を上げた所に、唇を寄せて口付けられ…多分キスマーク付けられている。ほぼ毎日。まぁ…亮平がそれで満足なら良いけど。俺の指定席か!ってくらい亮平の足の間に座っている気がする…。

「……よし」

たまには俺もキスマークでも付けてみるか。

もぞもぞと亮平の首元に近寄って、喉仏でけぇなぁ…なんて感想を抱きながら、上になっている方の首元に、ちゅーっと吸い付いた。顔を離して見てみるけれど、跡はついていない。
意外と難しいぞ…。仕方ない…噛むか。
くっわっと口を開く。

「朝から可愛い事をするな!…噛むなら腕にしろ」

おでこを押されて、ベットに沈められた。

「なんだよ、起きてたのかよ」
「キスの一つでもしてくれるのかと期待したんだけど」

砂糖を吐きそうなくらい甘い顔で微笑まれ、腕を顔の前に差し出された。

「もう、噛まねーよ!」

目の前の腕を、ポイっと投げ捨てた。

「なんだ…残念。跡が残っている間、ずっと楽しめるのに」

冗談で無く残念そうに言う亮平に引く。

「はぁあ?やばい、もう思考がヤバいだろ……亮平まさか……恋人の名前体にタトゥー入れちゃうタイプ?」

それは流石に重い。ぶっちぎりに無しだわ。

「まさか。プールも温泉も入れなくなるだろ?レオンを一人でそんな所に行かせられない。それに、今更所有者の名前書いて貰わなくてもなぁ」
「……」

さらっと…凄いこと言われている気がする。
いや…亮平って俺に甘いし、凄い好きだろうとは思ったけど……想像以上というか、突き抜けているというか。

「レオン…」

亮平の右手が俺の頬にのせられて、ぷにぷにと頬の肉が挟まれる。
その幸せそうな顔に、自然と此方の顔も微笑んでしまう。
朝からベッドでニヤニヤ笑い合って…付き合いたてのカップルだなぁ…アホだなぁっと思うけど……堪らない。

「好き」

素直に言葉にしてニカッと笑う。
すると…亮平の眉間に深い皺が刻まれた。
なんで?なんでだよ!

「……可愛いが過ぎる……やめろ……俺…明日死ぬかもしれない……嫌だ…捨てられるまでは絶対に死にたくない」

でた!妙な闇思考になるネガティブ亮平。
亮平、根っこが闇のタイプだから、ちょっと面倒くさい所あるけど……しゃーないな。ひっくるめて亮平だからな。

「俺、未亡人になりたくないし、ずっと二人でラブラブしようぜ」

キスを強請るように唇をタコのようにした。

「……」

亮平の顔がゆっくりと近づいてきて、俺達の唇が重なった。
うーん!幸せで寿命が延びる。

「……なぁ、ちょっとまて……レオンが未亡人とか……ヤバい……嫌な予感しかしない…まじで……俺…お前の骨拾って埋葬するまで死ねない……」
「やめろよ!怖えぇし!はぁ……まぁ、頑張って俺より長く生きて面倒見てな」

目の前の亮平の顎を押しのけ、すり抜けるようにベッドから抜け出した。

つーか、俺が先に死んだあと……後追って来そうで怖ぇな。
あれ…あの川なんだっけ?
サンズの川を渡る船待ちしている間に、追いついて来て「一人で何処行くんだ」とか言いそうだな。

いや……付き合っている内に、良い感じに満たされて俺への執着も薄くなるかな?

ちょっと寂しいような、安心なような。

「レオン」
「ん?」

腰パン状態になっている短パンを引き上げながら振り返った。
ベッドから立ち上がった亮平が、こちらに歩いてくる。

「おはよう」

腰を抱かれ、頬にチュッと口付けられた。

「……おっ……おぉ……おはよう…」

こいつ…釣った魚に餌あげすぎて駄目なタイプかもしれない。
甘すぎて胸が……胸が…ドキドキ五月蠅い。

「レオン、今日も格好いい、愛してる」

亮平がドアを開けて、二人でリビングへ向かう。

「知ってる」
「良かった」

二人でクスクス笑いながら朝食の用意を始めた。




おしまい
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