我が為に生きるもの

いんげん

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再会

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今日も、煌一は迎えに来た白川さんと車に乗り出社して行った。
そして僕は、いつも通り洋館へ向かった。

優しいチェロの音が聞こえる。

低く伸びやかな音色。

「朔夜兄さん!!」
僕が音楽室に飛び込むと、そこには、やはり朔夜兄さんが居た。

椅子に腰掛け、チェロを抱き、その美しい音を奏でる。

あぁ、なんて素敵な音なんだ。
再会を喜びたいけれど、今はこの音色に包まれていたい。



曲が終わり、朔夜兄さんが楽器をしまい、僕の方へ歩き出した。
僕は、朔夜兄さんに抱きついた。

「・・・お帰り朔夜兄さん。」

朔夜兄さんの首元に顔を埋める。
柔らかい兄さんの髪が気持ちいい。
安心する。

「ただいま。あさひ、会いたかったよ。」
「うん。僕も朔夜兄さんに会いたかった。」

ぎゅうっと抱きしめられて、心が温かくなる。

あぁ…良かった。
無事に帰ってきてくれた!

海を渡る船旅も、海外で出会うかもしれない【灰】との戦いも、とても心配していたんだ。

僕は宝物を扱うように、そっとソファに下ろされ、朔夜兄さんも隣に腰をおろした。

「あさひ、元気にしていたかい?」

朔夜兄さんの手が伸びて、僕の頬に触れる。
変わらない優しい手。

「うん。朔夜兄さんは?」
「私は、あさひに会えなくて、とても寂しくて・・・早く仕事を終えて帰りたかったよ」

朔夜兄さんの青い目に見つめられて、ドキドキする。

「お仕事は上手くいった?」
「そうだね。 その話はまた、煌一も居るときにね」

なんだか朔夜兄さんは、前よりも大人の魅力が増している気がする。

三年も海を渡って仕事してきたんだもんね。色々な経験をしてきたんだろうな・・・沢山話が聞きたい。
僕は、この屋敷から出ることも少ない。

世の中には【灰】が増えすぎて、灰に会うだけで具合が悪くなる【蝶】は殆ど外に出ない。

灰が出てくるのは夜が多いけど・・とくに僕は弱い個体だから・・・。煌一が許可してくれない。

「仕事の話よりも・・・あさひ・・・覚えている?」
「え?」

「帰って来たら、私をあさひの【華】にしてって言ったこと…」

朔夜兄さんが、僕の手を取り、自らの肩に当てた。
そして着物の袷を開いて痣を出した。

「朔夜兄さん!?これ!?」

僕は驚いて息をのんだ。
朔夜兄さんの左の鎖骨の下にある華の痣が・・・傷だらけだった。

なぜ・・・確かここは華にとって、とても敏感な場所だって聞いた。

煌一も、僕がうっかり噛むと息をのんでいる。
なのに・・・なんで此処が、切り傷だらけなんだろう。

「あぁ、ごめんね気持ち悪かった?」
「ううん!そうじゃなくて…」

どんなに痛かっただろうか。
なぜ??

「私は、あさひの【華】になりたいんだ。それ以外の蝶に吸われるなんて耐えられない・・・だから、ちょっと絞っただけだよ。」

「そんな!?まさか…ずっと!?」

「和国に居た時は別の蝶に吸ってもらっていたけれど・・・あさひが煌一の蜜を吸うのをみてから・・・君の事しか考えられなくなってね…」

僕の鼓動が五月蠅いくらいに騒いでいる。
朔夜兄さんの青い瞳に吸い込まれてしまいそうだ…

「朔夜兄さん…でも…僕、煌一しか…」
僕は…今まで煌一の蜜しか吸ったことがない。

蜜を吸われると、華は発情すると知って、より他の華が怖くなった。

「大丈夫だよ、あさひ。あさひが嫌がるような事はしないよ。あさひが私の蜜をすってくれるだけで幸せなんだ…」
「朔夜兄さん…」

朔夜兄さんの痣から蜜が溢れはじめた。
傷だらけの痣が痛々しい。
なんとかしてあげたい。僕の大切な朔夜兄さん。

僕は、朔夜兄さんの体に乗り上げて、鎖骨に顔を寄せていく。

良い匂い。
煌一の蜜とは違う匂いだ。
ペロリと蜜に舌を当てた。

「っ!!」
朔夜兄さんが息をのんだ。

あぁ…これは……甘いだけじゃなくて……まるで、アルコールみたいだ。

クラクラと酔ってしまいそう。

蜜って人によって味が違うんだ。

味わいたくて、再び舌を寄せてペロペロと蜜をなめた。

「‥あさひが私の蜜を吸ってる‥‥夢に見た光景だよ」
蜜は後から後から滲み出てくる。

美味しい。

「んっ‥」

舌が傷跡で引っかかり、上手に舐めれず、口元に飛ぶ。
それをもったいなくて舌で綺麗にする。

「‥‥あさひ‥‥うぅ‥‥気持ちいい‥」

溢れ出る蜜を舌を使って舐める。
僕の吐息が朔夜兄さんの痣にかかる。

「っう!あさひ……いいよ…っ……堪らない…」

朔夜兄さんの吐息が、僕の項にかかり、ゾクゾクする。
僕のお尻に当たる性器が、僕を押し上げる。

「‥‥ん‥朔夜兄さんの‥‥煌一と、違う味‥‥」
「‥‥うっ‥‥くっ‥あぁ…」

布越しでも自分のお尻が濡れているのが分かる。

美味しい。
朔夜兄さんの蜜は一度だけ口にしたことがある、ワインみたいだ……

ワインは美味しいと感じなかったけれど、これは極上の味だ。

「ん……っ…んむ……」
「あさひ……・気持ちいいよっ!…全部あげる…飲み干して……っ……」

もう舐めるだけじゃ止まらない。
口を当てて直接吸い上げる。

「ふぅ‥ん」
コクコクと喉を鳴らして飲む。
美味しい。いっぱい出てくる。

「うぁあ……くっ!あさひ…あさひ!最高だよ!!」

朔夜兄さんの性器がドクドクと震えている。
もう、僕のお尻の部分の着物がぐちょぐちょに濡れている。

「あぁ!‥‥愛する蝶に吸われるのが‥‥くっ‥‥こんなに‥あぁ!」

朔夜兄さんのものが硬く突き上げてくる。
震えている。

「んっ……あっ…ふ…」
段々蜜が少なくなって来た。

あとちょっと、最後まで!
強く、強く吸い上げた。

「あさひ!!あぁ!あさひ!!愛してる!」
朔夜兄さんの性器が一際大きく跳ねて、僕たちをベタベタにぬらした。

部屋に厭らしい匂いが充満する。

あぁ……僕…朔夜兄さんの蜜に酔ってしまったみたい。
クラクラする。
僕の性器もピクピク揺れて…

うぅ…

「あぁ……あさひ、なんて歓喜と快楽なんだ…こんな幸せな気持ちは初めてだよ……」
朔夜兄さんが、僕の頬に口付ける。

「ごめんね、あさひ。あさひのお尻がびちょびちょに濡れている」
「……朔夜兄さん…僕…酔っちゃった……」

目の前がクルクル回る。

また……眠ってしまう…

起きて居られないよ……



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