我が為に生きるもの

いんげん

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食事

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「伊織さんが言っていたけど、今回は皆で狩りに行ったの?」

僕は席に着いて、水を飲みながら聞いた。
煌一は前の席で、完璧なテーブルマナーでお肉を食べている。

人と群れるのが嫌いで、一人で行動しがちな煌一にしては珍しいと思ったんだ。

いつもは一人でふらっと狩りに行き、帰ってくる。
煌一が他の華と協力している姿なんて想像出来ない。

「誰があんな奴らと……別の場所だ」
「そっか。でも、皆と一緒の方が危なく無いんじゃ……」
怒った目で睨まれた。
「馬鹿にするな」

狩りに危険はつきもの。誰かが死んだなんて聞かないけど、怪我をする華は多い。
煌一に何かあったらどうしようと心配だけど・・・こういう事を口にすると、大概機嫌が悪くなって怒らせてしまう。

「まぁまぁ、あさひさんは煌一様が心配なんですよね。好きだから」
白川さんが見当違いの取りなしをしてくる。

「えっ!あっ、そんなんじゃ……」
手に取った葡萄がコロコロと転がる。

僕たちは、華と蝶で離れられない、幼なじみだし…好きとかそういう……。
「………」
ほら、白川さんのせいで煌一の機嫌がもっと悪くなってる。

僕らは、生まれた時からそばに居て、ずっと一緒で…。
今は、僕はお荷物だし。

「そういえば、海外で仕事をしていた華が帰ってくるそうですね」
「え?」

ドキンと胸が高鳴った。
まさか・・・。

「白川!」
煌一が乱暴にナイフを置いた。
ガチャンと大きな音が響いた。

「煌一! 帰ってくるのって朔夜兄さんなの!?」
思わず立ち上がって膝に置いたナプキンが落ちた。
僕が知っている海外に行った華は朔夜兄さんしかいない。

朔夜兄さんは血のつながりは無いけれど、僕と煌一のお兄さん的存在だった。

いつも優しくて、大好きだった。
沢山遊んでくれたし、僕に音楽を教えてくれたのも朔夜兄さんだった。
三年前に蝶の減少について海外の様子を調べに海を渡った。

その朔夜兄さんが帰ってくる!?

「………」
「ねぇ! 朔夜兄さんなんでしょ?」
煌一が食事を途中でやめて、口を拭った。
席を立って此方に向かってきた。

「白川、出て行け」
「はい」
白川さんが一礼して部屋を後にした。

僕の目の前までやってきた煌一が背広を脱ぎ捨てた。
きっと高級なものだろうけど・・・無造作に床に放り投げられている。

むしり取るように襟飾をとった。

ボタンが外されて痣がむき出しにされた。

「朔夜が帰ってきたらお前は、朔夜のを吸うのか?」
「……煌一……」
僕の座っていた席に座り、腕を引いて膝の上に座らされる。

お腹は空いてないけど、まだ昨日のが残っているのか、甘い匂いがする・・・。
目の前に出されると、食べたくなる。

「お前は昔から、朔夜になついていたからな・・・。喜んでお前の華にするんだろ」
「……そんなこと……」
煌一の痕から血がにじみはじめる。

「……どうだか。ほら、もう吸いたいんだろう。まだ残ってるぜ……」
血の誘惑に耐えられず、鎖骨の下に顔を寄せる。
甘い匂い。

昨日の新鮮なものよりは落ちるけれど、十分おいしそう。
舌の上にのせる。

美味しい。

「……んっ……」
ピチャピチャと音がする。

「……くっ……っ」
残りものだから量が少ない。
もう滲んではこないから、ちゅうちゅうと懸命に吸い出す。

ちょとずつ出てくる。

もっと、もっと・・・。

「……ちゅっ……ん……ふぅ……」
「……うっ……く……」

僕のお尻の下で、煌一性器が、ズボンごと押し上げてくる。
痛そうだとおもうけど、蜜を吸うのがやめられない。
もう中々出てこない。

「……こ…う…いち……出ない……」
出てこない蜜に焦れて、つい痣に歯を立ててしまう。

「ぐっ!!……くそ………」
ドクンと煌一の性器が跳ねて、お尻の下が温かくなった。
それと同時に痣から蜜が飛び出て、それを味わう。
お腹がいっぱいになって、まぶたが閉じてくる。

昨日夜に起こされたこともあり、煌一の腕の中で眠りについた。


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