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騎士の親切心 R18
しおりを挟むスローモーションのように思えた。
僕の上に降り注ぐはずの蝋は、ロウソクの炎ごと、後ろから騎士さんに握られた。
そしてそのまま、投げ捨てられた。
驚く国王の首を絞めて
国王は動かなくなった。
「………」
僕も全く動けない。
え?国王は殺されたの?
「……しめて、落としただけです。生きています」
僕の疑問に答えるように騎士さんが話す。
そして国王をベットの端に放りなげる。
「この部屋には朝まで誰も近づきません。このまま、逃げましょう」
「……えっ……あっ…でも……」
未だに服さえ直せずに、ただ呆然と彼を見つめる。
綺麗な金髪は後ろで一つに結ばれている。
改めて見ると、華やかな雰囲気のある美しい青年だ。
「……貴方に迷惑がかかります……」
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「……ありがとうございます。」
「しかし、貴方はこの男に捕まってしまった。この時まで何も出来ずに申し訳ありませんでした」
騎士さんが、ベットの下で跪く。
「そんな!!貴方には感謝しかありません!」
「セドリックとお呼びください、聖霊様」
セドリックさんが顔を上げる。
「さぁ、参りましょう。こんな所に長居は無用です」
「……はい」
騎士さんが詰め襟の制服を脱いで僕に着せてくれた。
膝近くまで、すっぽりで温かい。
セドリックが国王の服を漁り、鍵を取り出した。
「聖霊さま、失礼します」
ガチャっと音がして足の鎖が外れた。
鎖のところが少しすれている。
何でもない怪我だけど、セドリックが悲しそうに見ている。
「ありがとうございます。あと僕のことは、こころって呼んで下さい」
ベットサイドまで這う。
「では、こころ様。すみませんが、布にくるませて頂きます」
「あっ、はい」
全身シーツにくるまれて、いわゆるお姫様抱っこをされた。
「申し訳ないのですが、私が良いと言うまで死んだふりをしていて下さい」
えっ死体ってこと。
了解しました。やったことあります。ゾンビ映画のエキストラで。
でも何故?
「国王は、閨の相手で気に入らないものの首を絞めたり、斬りつけることも有りましたので」
僕は疑問が顔に出ていたのか、言いにくそうにセドリックが答える。
何て酷い……。
今更ながら恐怖が蘇り、震え始める。
「……こころ様…」
「あっ……すいません。あれ……止まらない……あれ……」
なぜだか涙も出てくる。
止めようとしても、手の震えも収まらないし……。
死体役なのに!
「こころ様。すみませんでした。もっと早くお止めすれば良かった……」
横抱きのまま強く抱かれて、震えが止まった。
「ありがとうございます。もう大丈夫です」
「では」
部屋をでて少し歩くと、誰かに声をかけられた。
「セドリック殿、それは?」
セドリックが止まる。
動いちゃだめ。でも脱力。
「……王の夜の相手だ。可哀想に」
「ひい!早くいけ!」
夜の相手を殺して、疑われないとは……。
本当に人間的に問題のある男なんだと感じる。
それにしても、セドリックは僕を抱いたままで疲れないのかな?
すごいなぁ。
そんな事を考えていたら、セドリックがどこかの部屋に入り、止まった。
「こころ様、一度おろします。動いて大丈夫ですよ」
程よい硬さの場所に降ろさてた。
顔にかかる布を払われる。
簡素なベットとチェスト、木の椅子がある。小さい部屋だ。
入ってきたドア以外にもう一つドアがある。
「兵士の仮眠に使われている部屋の1つです。外で水を汲んできます」
セドリックが反対のドアを開けて出ていった。
一人になると、乳首がジンジンと痛い。
現代日本で、暮らしていた僕は、ロウソクなんてケーキの上にのっているイメージしかない。
まさかあんな使い方をするなんて……。
性器の上に落とされなくて本当に良かった。
僕は、ベットに起き上がり、気になってセドリックに借りた制服の前を開いた。
胸の前を開くと、両方の乳首に赤い蝋が張り付いている。
少し取れている左の蝋を指でつまむと、周りが少しボロっと取れた。でも、ジンジン痛い。
「……んっ」
周りからポロポロ取っていく。
乳首の所についた蝋が綺麗にとれない。
爪でカリカリ引っ掻くと、乳首にビリビリと痛みが走る。
「あっ……つぅ……ん」
でも、取ってしまいたくて、必死に引っ掻く。
すると、セドリックが木の桶を手に戻ってきた。
「!?」
「おかえりっ、なさい……」
セドリックが呆然としている。
どうしたのだろう?
あぁ、乳首の蝋必死に取っている僕が滑稽なのか。
それにしても取りにくい。
「セドリックっ、ん……ロウソクってどうしたらっ……あっ……取りやすい?」
「……」
セドリックが固まって真っ赤になって、震えてる。
そうだよね、笑いたいよね。馬鹿みたいだよね。
「……いいよ」
思いっきり笑って。と手を開く。
すると、桶を床に落としたセドリックが僕のもとへやってくると、乳首に口を、当てた。
「ん!?あっ!」
どうゆうこと!?何でぇ!?
僕が驚いて困惑してると、セドリックは僕の乳首を丁寧になめ、蝋に歯を当てる。
そうか!温めながら取ってくれて居るんだ!
そうだよね、蛇口をひねればお湯が出るわけじゃないし、傷は舐めておけみたいな世界っぽいイメージだし。
セドリックの親切心なのか。
セドリックの金髪が胸に当たってくすぐったい。
「……はぁ……はっ…」
「んっ、っう……」
真剣に、乳首を吸うセドリックの吐息が‥。
背中を抱く強い腕が……。
ヴァジル……今どこにいるのかな……。
会いたいよ。
「あっ!!んん!ひゃあぁ」
「っ!」
ヴァジルに思いを寄せていると、蝋が取れた乳首に、セドリックの歯が当たった。ジンジンとした痛みと、ビビッとした快楽が走り、変な声が出てしまった。
恥ずかしい……。
左が綺麗になると、セドリックが右へと移る。
セドリック、蝋どこいったの?
まさか食べちゃった!?
大丈夫なの?
ふと思い浮かんだ疑問は、再び乳首を舐めしゃぶられる恥ずかしさで霧散した。
「んっ……あっ…ごめ……なさ…い。こんなっ!ああ!こと……」
「……はっ……ん…こころ様っ……私に……おまかせ下さいっ…」
これが誰にでも優しい騎士道ってものなのか。
男の乳首を綺麗にするなんて、絶対に嫌だろうに。
「んっ!!やぁあ!!……あっ……」
再び、蝋が取れて乳首を、食まれた。
電流が走る。
「……」
セドリックが無の表情になり、ゴクリと音がした。
ええ??この世界のロウソクって食べれるの???
そんなこと無いよね??
いやでも食品の上に乗せるし、ちょっとくらい平気なの??
とグルグル悩んでいると、セドリックが落としたけど、無事だた桶の水で手ぬぐいを絞りやってきた。
「失礼します」
セドリックが僕を拭こうとしてくれた。
「あっ自分でやります!」
しかし伸ばした手は、セドリックのてをつかめなかった。
「いいえ。私の唾液がついていますので、お手が汚れます」
きっぱりと言われ、セドリックが僕の胸を優しく拭き始めた。
「っひゃ……」
汚くなんてないと言おうとしたけど、セドリックの口の温かさから、布の冷たさにびっくりして声を飲んだ。
セドリックは、丁寧に乳首を拭う。
はっ…恥ずかしい!
凄く!!
こんなキチンとした騎士さんに、乳首拭かれるなんて……。
しばらくして、ようやく開放され、服を直された。
「こころ様。朝方、兵が集まってくる混乱に乗じてここを出ましょう」
「はい」
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