月の聖霊さまに間違えられた僕の話

いんげん

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一人のうちに

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コンコンとノックの音が聞こえた。

「ガイウス?」

夜までには帰るといっていたので、てっきりガイウスかと思ったら、別の人物が入ってきた。

あっ、この天然パーマの切れ長の目の人、牢屋で会った……えっと……誰だっけ?

「ごめん、期待させちゃって。ダーリンは、もうすぐ戻ってくると思うよ」

青年は、ベットの上に座る僕のそばまで、ゆっくり歩いてくる。

今は、よく知らない人が近づいてくるの嫌だけど、この青年の雰囲気はノリの軽さがあり警戒心を抱きづらい。それに、ずっとニコニコしている。

ガイウスに関しては、ダーリンでは無いけど、いまいち僕の設定がどうなっているか分からないので指摘しないでおこう。

「さては、その顔、俺が誰だか分かってないな?」

「……」

「あれ?喋れるようになったんでしょ? 牢屋で会った、レジスタンスのリーダー、アディリただいま23歳!アディってよんでね!」

「……あっ……はい、よろしくお願いします。こころです」

アディのテンションにまだ付いていけず、まごまごしながら答える。

レジスタンスってなんかアニメとかで聞いたことあるけど、なんだっけ?

きっと何かの組織なんだろうけど、リーダーって社長?代表ってこと?

僕と3歳しか違わないのに凄いな。

この世界の人って、年齢より落ち着いているのかな?

僕らの世界がふわふわしているだけ?



「昨日の夕方から飲まず食わずだけど、大丈夫? 水とろうか?」

アディがテーブルの上を見て問う。

そうだよね……普通変だよね。

「さっ、さっきガイウスに貰ったから大丈夫」

「……そう?」

すごく疑われているきがする。

僕、演技は経験あるけど、嘘は苦手だ……。

「それにしても、将軍凄いね」

「え?」

アディが勝手に椅子を持ってきて、腰掛ける。

「だって、あれからメチャクチャ駆け回って、色々な人間集めて、指示出して、いつの間にか、俺たちの事も、マーロウの部下たちもすっかり掌握してんだもん。リーダー形なしだよ。まぁ、目的が一気に近づいてるから良いけど。 そりゃ、こんな人間離れした恋人もいるよね」

人間離れ……。これは……どうしたら……聖霊だとかいうもんだいも、実際自分でもフワフワしているし。触れないでおこう。恋人設定も。

「ガイウスは、とっても凄い人だと思います。あの……アディの目的って…」

「もちろん、この国をまともにする事だよ。こころは、ビザンの事しらない?」

コクンと頷く。

寒くて、トレノスと仲悪いくらいしか……。



「ここは、王様の独裁国家でね、酷いものだよ。雪に覆われている土地が多いから作物も多く育たないし、海も少し行くと凍っているから、国を挙げて海賊行為してんの。 それでも、国民は飢えてるやつばっかりだし」

「……海賊……冒険して宝物を探しに行くの?」

僕が思い浮かぶのは、映画とかアニメとかに出てくる、帽子かぶってて、お宝を探す感じなんだけど……。

「っぷ、ははは! なんだそれ! 海賊っていったら略奪だろ! 宝物!?っぷ。こころは頭の中もお花畑かよ!ははは!」

「ごっごめん!」

なんか、馬鹿にされているけど、この世界の人の常識なんてゼロだから……しょうが無い。

「あーなんか、分かるぅ。ガイウスの気持ち。殺伐とした汚いよのなかに、ぽつんと咲いてる綺麗な花なのね。貴重だよ。欲しくなっちゃうよね」

「???」

アディが笑いすぎて涙を浮かべながら、こっちを見てくる。



「あー、うん、なんていうか、難しいこと抜きで簡単に説明すると」

「うん」

「この国をもっとよくしたい人間が集まって、事件を起こそうと思ってたんだ。出来れば、他の国とかの力も借りて。でも、無理だったし、成功するとは思ってなかった。 死ぬの分かっているけど、庶民の力ってのを、ガツンと国の奴らに分からせようとおもって色々計画してた」

今まで僕は、国のことなんて考えたこと無い。

自分の為に働いて、生きてきた。

もっと年をとると、結婚して、子供が生まれたりして家族のために生きる日もくるかもとは思ってたけど。

「ガイウスと、こころが現れて、それが一気に実現可能な事になった。だから、ありがとうって言いたいんだ」

「……僕は何もしてないよ。ガイウスの足手まといなだけだし」





「ごめん。黙ってたけど、俺見たんだ」

「え?」

「マーロウの屋敷に強盗に入る予定で、マーロウの事をはってた、そしたら人通りの無い街道が、突然光って、二人が現れた。 こころ光ってた。伝説の聖霊さまみたいに」

ドキドキと鼓動が早まる。

手に汗握ってきた。

これは、どうすれば?? 手を組むって言ってたけど、どこまで??

「……」

「ごめん、困らせるつもりは無かったんだ。誰にも言ってないし。ただ、足手纏いとかじゃない。こころのおかげだよ」

深々と頭を下げられた。

「それなのに、マーロウの事ごめん。俺たちも、まさかあそこまで酷い変態だとは思わなかった。ほんとアイツ用が済んだら将軍に殺されそうだよな」

き、昨日のこと……アディたちにどこまで知られているのだろう……。

はずかしすぎる。

居たたまれない。

「あっ、ごめん、そろそろ行かないと」

「……うん」

「またな、こころ」

もうまっすぐアディの顔を見れなくて、うつむいたまま居たら、ドアが閉まる音が聞こえた。



昨日のこと……。

思い出したくない記憶だ。

自分があんな事になってしまうなんて……。

しかも、僕のせいでガイウスまで、あんな……。

うわあ!ガイウスの裸やそんな事まで思い出してしまった。

うぅ……。

それにしても、ヒリヒリする。

乳首も、性器も。

よかったよ、おしっこしたくならなくて、痛すぎてもてない。

っ!? なんで、おしっこでないのに、あれは出るの……なんなの僕!?

もしかして、僕も変態? 

これがただの夢だとはもう思えないけど……実は欲求不満だったから、こんな事ばかり起こるの!?



あぁ……。

どうしよう……なんか、また、痒くなってきた。

これが、ぶり返すっていうやつなの!?



でも、どうしよう。

一人にしないってガイウスが言ってたけど、そんな時に帰ってこられたら、そういう世話をさせちゃうってこと??

ダメダメ!!

それは絶対ダメ!



なんとか、なんとかしないと!

自分で……。

ガイウスが戻ってくる前に!

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